#603 ローマ字表記
残暑厳しい日々が続いています。例年ですとクマゼミの鳴き声がツクツクホウシに変わり、夏の終わりが近づきますが、クマゼミはまだ威勢よく泣き続けています。今年も来月までは真夏日が続くようです。
さて今日はローマ字表記について述べたいと思います。ネットの情報によりますと、ローマ字は古代ギリシャ文字から発展し、古代ローマでラテン語の表記に用いられました。日本で日本語をローマ字表記する文化が始まったのは室町時代末期で、キリスト教の宣教師が布教のためにポルトガル語で日本語を表記したのが起源です。その後、ヘボン式ローマ字が広まり、現在も使われています。
そのローマ字ですが、70年ぶりに改訂されるようです。共同通信は次のように報じています。
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『ローマ字表記「ヘボン式」に 内閣告示70年ぶり改定へ』
文化審議会は20日、ローマ字の表記方法について、現在広く使われている「ヘボン式」に基づくつづり方を採用するとの内容を阿部俊子文部科学相に答申した。政府は本年度中に現行表記法を定めた1954年の内閣告示を改定する。ローマ字表記の国の決まりが約70年ぶりに変わることとなる。
内閣告示は「し」を「si」と表す訓令式を用いると定めるが、社会生活では「shi」のヘボン式が浸透しており、文化審議会が昨年5月に諮問を受け、統一的な表記を検討してきた。
答申によると、ヘボン式の採用により、「つ」は「tsu」、「じ」は「ji」、「しゃ」は「sha」、「じゃ」は「ja」になる。
また、はねる音「撥音」の「ん」は「n」を用い、「anman(あんまん)」などとし、つまる音「促音」は最初の子音字を重ねて「teppan(鉄板)」などと表記する。
長音で発音される語は横棒の符号「マクロン」を付ける他、母音字を並べることも可能。母音字を並べる場合は現代仮名遣いと同様にし、「大雨」は「ooame」、「王様」は「ousama」と書く。
https://www.47news.jp/13038754.html
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詳細は文化庁「改定ローマ字のつづり方(素案)」に説明してありますが、ローマ字表記は一部の例外を除いて「ヘボン式」に統一されるようです。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/roman/roman_10/pdf/94230301_01.pdf
ただし表記について発音しにくい文字もあります。例えば「オウ」または「オー」の発音です。ローマ字では「o」または「oo」と表記しますが、ソフトバンクの王会長は「ou」ではなく[oh]と慣用的に書かれています。[o]だけでは「オ」なのか「オウ」なのか判断しにくいからでしょう。また「オウ」(「オー」)として「oo」を用いた場合に、英語では[u]または[u:]と発音することが多いのです。例えば「大雨」を上記のように「ooame」と書いた場合に「ウアメ」か「ウーアメ」と誤解される場合があります。
ローマ字はあくまでも日本語表記の手段ですが、外国人からすると混乱を招く可能性があります。アルファベットを使用したローマ字を使用する限り、厳格な発音を表現することは簡単なことではありません。
日本語のように4種類(ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字)も文字を使用する言語はないと思います。この複雑な言語表記体系をこなすのに日本人でさえも何年もかかります。明治時代や終戦後の一時期に言語習得するに英語を日本の公式言語とする意見が出ましたが、日本語の書き言葉を理解するのにこの複雑な言語体系が役に立っていることも事実です。日本人である限り、複雑怪奇な日本語と終生付き合わなければなりません。