#493 チコちゃんが叱られた!

 大牟田地区は7月21日より夏休みが始まり、子どもたちはコロナ後の久しぶりに制限のない夏休みを楽しんでいます。その一方で水の事故が後を絶ちません。夏休み初日には宮若市の女子小学生3人が川で水死する痛ましい事故が起こっています。また全国的にも大人を含めて多くの人が海で亡くなっています。中には流された子どもを助けるために海で溺死したお父さんもいらっしゃいます。自然と触れ合うのは良いことですが、自然の中で自分の身は自分で守る必要があります。特に海は本来安全な場所ではありません。離岸流や急に深くなっている場所がありますので、海で泳ぐときはできるだけ大人数で周囲を見ながら異常がないかを常に確認する必要があります。
 さて、毎週金曜日にNHKで放送されている「チコちゃんに叱られる」ですが、年齢にかかわらず家族で楽しめる人気のクイズ番組です。ところが先週放送された番組内容が不適切だとチコちゃんが叱られました。事の顛末は次の通りです。ヤフーニュースより転載します。
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『NHKの「チコちゃん」が叱られた!
   「海水がしみこまない理由」を「完全におかしい」複数の専門家が指摘』
 7月14日に放送されたNHK『チコちゃんに叱られる!』の放送内容について、SNSで「間違いではないか」と指摘する声が上がっている。
 問題となっているのは、「水は地面にしみこむのに、なんで海の水はなくならないの?」という疑問に対する答え。チコちゃんの答えは「海底が水圧でカチカチだから」というもので、大学教授が解説をおこなった。教授は、水圧によって、地上と海底では水が岩石にしみこむスピードが違うと説明。深い海底にある岩石には高い水圧がかかることで、岩石の隙間が圧縮され、水を通しにくくなる、と解説した。
 この説明に対し、《チコちゃんの「海水が染み込まないわけ」の説明は完全におかしい》と指摘したのは、京都大学大学院の成瀬元准教授。堆積学を専門とする成瀬氏は、7月18日にTwitterで《岩石の圧密は岩石自体の上載荷重が原因で、水圧はむしろ圧密を妨げている。静岩圧が静水圧を上回るから圧密が進行する。陸上の砂が大気圧で固結しないのと同じ。浅海の表層堆積物に比べて深海の軟泥は別に固結していない》と説明。《なぜ天下のNHKでこんな単純なミスが…》と嘆いている。
 成瀬氏に話を聞いた。
「番組では、深海で高い水圧がかかり、岩石の隙間がなくなるという説明をされていましたが、そんなことはありません。そもそも、水中で堆積物の隙間にある水の水圧は、全方向に向かって作用しており、深海の海底でも柔らかい泥が、水圧でガチガチに固まることはありません。番組では水圧の説明で、カップ麺の容器が水圧で圧縮される場面もありましたが、あれはプラスチック容器に含まれる空気が圧縮されるため。最初から水を含んでいる深海の岩石とは、まったく関係がありません。地表で水がしみこむのは、地下水位が地表面よりも低いためです。地下水面と水位が等しくなっている河川や湖では、水はしみこみません」
 また、愛知教育大学教授で、日本地質学会副会長の星博幸氏も、Twitterで《NHKプラスで先週のチコちゃんを確認した。驚いた。これは完全にダメである。出演した大学教授が完全に誤解している。制作陣はこの教授の言説を鵜呑みにし、その真偽の確認(別の専門家に確認すること)もしなかったと推測される。正しくは成瀬さん @HajimeNaruse が仰っている通り》
《とにかく今回の番組はひどい。これは専門家がNHKにクレームをつけるべき案件である》
 と指摘。ほかにも、海洋地質に詳しいという人物の《海底の堆積物は軟泥といってやわらかい泥です。それが数百万年数千万年にわたり積もる堆積物の荷重より脱水し続成作用による鉱物の沈殿で固結します。水圧は全く関係ありません》とのツイートもあった。
 完全にチコちゃんが“叱られた”格好だが、NHKは、この指摘についてどう考えるのか。本誌は7月18日13時、NHKに対し見解を問うメールを送信。20日14時過ぎ、再度、NHKに連絡をしたが「事実確認中」(広報局担当者)というのみで、締め切り(7月20日16時)までに回答は得られなかった。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6469901
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 上記の説明は専門的な解釈で、文系の私には理解できない部分があります。「チコちゃんにしかられる」は国民的人気番組でチコちゃんとゲストの掛け合いが面白く、ゲストへの質問に対する答えが奇想天外で、視聴者をびっくりさせることでも人気があります。しかし、調子に乗っていると今回のようなミスが発生します。特に科学的な専門課題は様々な仮定から生じているものがあり、専門家の意見も異なります。したがって慎重に内容を吟味する必要があります。
 NHKは時々ポカをすることがあります、番組スタッフが詳細な検討をしなかったり、外部に発注したものが間違っていたりします。最近のニュースではコロナワクチンで死亡した遺族の取材をコロナウィルスで亡くなった遺族と報じるなど、重大なミスが目立ちます。「国民から受信料を取る天下のNHK」ですので、番組制作には何事も慎重であってほしいものです。

2023年07月23日