#461 未だ見ぬ景色へ

 サッカーワールドカップも準決勝のチームがすでに出そろい、来週の日曜日深夜には決勝戦が行われます。日本チームは決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦で敗れましたが、そのクロアチアは準々決勝でも強豪ブラジルを再びPKで破り、準決勝ではアルゼンチンと戦うことになります。
 今大会ではPKによる勝敗が多いように感じられます。特に試合終盤になって同点に追いつき、延長戦でも勝敗がつかず、PK戦で強豪が敗れる波乱が続いています。そう考えますと、日本がPK戦で敗れたことは、勝負運が無かったと言えるのでしょう。
 さて、今後日本チームがベスト8以上に進むには何が必要なのでしょうか。森安監督はテレビインタビューでしみじみと語っています。「日本チームが今以上に強くなるためには選手一人ひとりの力を向上させるとともに、チーム全体の実力を向上させる必要があります。」現場を指揮してきた監督らしい言葉です。
 確かにサムライジャパンはこれまで以上に海外で活躍している選手が増え、海外の各チームで堂々とプレーしています。しかし、これだけでは何かが足らないのです。例えばメッシやロナウド、ネイマールに匹敵するようなスーパースターはまだ日本にはいません。チームを引っ張っていけるほどのスーパースターがこれからの日本には必要です。また試合戦術として日本は守備力を中心としたチーム力を養成し、速攻で得点を取る戦術を主として用いてきましたが、準々決勝の試合を見ていますと、守備に徹したチームはありません。守備にも攻撃にも臨機応変に戦術を変えていけるような本物の実力を持ったチームを創り上げることが、ワールドカップで優勝できるチームと言えるでしょう。日本サッカー協会は2050年までに優勝できるようにチームを作りたいと言っていますが、選手個人の実力をさらに磨き、日本人らしい戦術を考え、その両輪がうまく回った時に優勝への道程が見えてくるものと思います。
 さて、他のスポーツではどうでしょうか。日本プロ野球が誕生した経緯は、1934年11月ベーブ・ルースら米大リーグ選抜チームが全日本チーム等と16戦を行い、全勝しました。12月には、この全日本チームを中心として大日本東京野球倶楽部(現在の読売ジャイアンツ)が誕生しました。 そして1936年には東京巨人、大阪タイガース、名古屋、東京セネタース、阪急、大東京、名古屋金鯱の7球団により日本職業野球連盟創立、プロ野球のリーグ戦がスタートしました。プロ野球は90年ほどの長い歴史があります。その結果アメリカ野球と肩を並べるほどの実力を身につけ、イチロー選手や大谷選手のような大リーグで堂々と活躍できる選手が登場しています。
 一方、日本サッカーのプロ化は1993年に始まったに過ぎません。日本サッカーが日本プロ野球と同じくらい長く歴史を刻めば、それなりの輝かしい歴史を作ることになるでしょう。何事も訓練と経験の賜物です。ヨーロッパや南米のプロサッカーは長い歴史を持っています。サッカーは歴史でありその国のスポーツ文化でもあります。サムライジャパンの今後の成長を見守りながら、少しでも早くワールドカップでベスト8以上に進める日が来ることを楽しみに待ちましょう。

2022年12月11日