#173 高校の「朝課外」揺れる現場

 今日で4月が終わり、明日から5月になります。新学期が始まり、あっという間にひと月が過ぎたことになります。福岡県内の高等学校では2020年の大学入試改革に備えて、様々な改革が行われています。また文科省でも新形式の入試に備えて全国の指定された高校で新形式の模試を繰り返し、そのデータを集めています。入試改革に備えて待ったなしの状況が続いています。
 さて冒頭のタイトルですが、これは西日本新聞で現在取り上げている福岡県内の公立高校の朝課外についての報道です。(詳細はhttps://www.nishinippon.co.jp/nnp/anatoku/article/410668/をご覧ください。)福岡県内の公立高校では1970代より「朝課外」の名目で普通科の高校を中心に早朝7:30頃より授業が行われています。ほとんどの学校で生徒に授業を強制的に受けさせており、この朝課外授業に対して不満に思っている生徒が少なくありません。この状況に対して県教育委員会は各高校に対して朝課外授業の状況を調査しており、朝課外を選択制にするように通達しています。当塾に通っている生徒の話によると、今年度から朝課外が選択制となり、学校の対応の苦慮が見られます。
 私が聞いた話では朝課外授業は鹿児島県から始まり、現在九州各県で行われています。この習慣は関東や関西では見られませんが、70年代当時大手の予備校が九州に進出していなかったので、都会の生徒の学力に追いつこうと、授業時間を増やすために始まったと考えられます。その背景には大学入試の合格者を増やそうという各学校の思惑があります。特に普通科の公立学校では大学入試合格者数によって評価される傾向があり、入試結果は教員の人事移動にも影響します。
 生徒の中には早朝から授業を受ける意味がないと考える者も多く、この点で学校側と生徒側の意識のずれがあります。また朝課外授業だけでなく、放課後の課外授業もあります。放課後の課外授業も多くの学校で行われており、たいていは16:00~18:00まで授業を行っている学校が多くあります。生徒たちはその後部活動に参加し、福岡市内の県立学校の生徒達は7時半過ぎに校門を出ています。
 70年代と異なり、各県には大手の予備校があり、そこで勉強する生徒も多い現状では、果たして高校生にとり朝課外が必要なのか、この朝課外については今後も検討する大きな課題だと思います。

2018年04月30日