#312 香港は死んだ!

 また今年も梅雨末期の大雨で大きな犠牲者が出ました。線状降水帯による大雨で、熊本県南部の球磨川が氾濫し、数十名の死者・行方不明者が出ています。報道番組で洪水の激しさを映像で流しています。今回の災害は未明に発生し、わずか数時間で最大10メートルの浸水が発生したそうです。今週中はまだ激しい降雨が予想されますので。特に川の近くにお住まいの方は川の増水に対して厳戒態勢でお願いします。
 さて、世界中に衝撃が走りました。7月1日は香港が1997年にイギリスから中国に返還された記念日ですが、返還後50年間は香港に1国2制度を約束していた中国がこの記念する日に「香港国家安全維持法」を施行しました。そして抗議のデモ隊に対して数百人が逮捕されました。この「国安法」に基づいて中国政府は最低3年の禁固から無期懲役まで人権を無視して自由に法を利用できます。つまり中国共産党に歯向かうものは誰でも処罰できる法律です。さらにこの法律が悪辣なのは中国に敵対する外人に対しても適応可能であると国安法に書いてあることです。
 世界が新型コロナウィルス対策で右往左往する中で、火事場泥棒的に新しい法律を制定し、ただちに施行したことに中国の恐ろしい現状が垣間見えます。日本のマスコミはほとんど報道しませんが、中国の悪企みは香港に対するだけではありません。チベットへの殺戮虐待、民族浄化や新彊ウィグルにおける数百万人の強制隔離などはアウシュビッツ強制収容所でのナチスドイツの蛮行に匹敵する行為が平然と行われています。ここでは詳細は省きますが、言葉にするだけでもおぞましい行為が日々行われています。
 このことは対岸の火事ではありません。実際、尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは83日連続で、日本の領海である尖閣に我が物顔で踏み込んでくる様は異常としか言えません。日本はじっと我慢していますが、中国と日本の間に尖閣を巡る衝突が生じた場合に、中国は自国の領土として尖閣を占領するでしょう。この微妙な関係がどこまで続くか、日本政府も思慮深く対応するしかありません。中国が尖閣を狙う理由はずばり尖閣周辺に存在する「海底油田」の存在です。かつては見向きもしなかった絶海の孤島に海底油田が発見されて以来自国の領土を主張しています。
 さらに、南シナ海を中国は「自分のものだ」と主張し、周囲のフィリピン、カンボジア、ベトナムなど力の弱い国々に圧力をかけています。中国は古代より常に拡張主義を取り、周囲の国々や地域に侵略し、自分のものにしてきた歴史があります。欧米や日本のような民主主義国家とは異なり、共産党支配による独裁国家です。中国国民のための国家ではありません。共産党が一声を発すれば国全体が動きます。一例として、新型コロナ対策として武漢のような大都市を即座に封鎖する力を持っています。
 このような独裁国家が新型コロナの影響下にどのような行動を起こすか注視する必要があります。香港の次は台湾、そして尖閣、さらに沖縄を奪取することも考えています。「沖縄?」と思われる方もおられると思いますが、中国は沖縄を日本とは思っていません。琉球王国と中国の朝貢関係を今でも考慮し、沖縄からの援助があれば即座に琉球王国保護の名目で沖縄に侵攻することでしょう。このことは沖縄関係の専門家も声をそろえて危惧しているところです。
 日本は70余年平和を満喫してきましたが、その間世界は大きく動いてきました。日本がこれからも自由な国であるために、周辺の国々、特に中国や北朝鮮に常に注視する必要があります。
 現代の戦争は核兵器による戦争ではありません。核を使用すればお互いが消滅する可能性が大きいからです。現代の戦争は情報戦です。簡単に言えば、武器を使わずに敵国を弱らせ、内部崩壊させることです。今のアメリカが良い例です。白人警官が黒人を殺したことで発生した様々なデモや破壊行動の裏で誰が指導し援助しているのか、冷静に見ていく必要があります。現代史は5~10年単位で動きます。今から10年後にどのような世界が登場しているか、平和な世界か争う世界か、あくまでも私たち生きている人々の生き方、行動の仕方によります。

2020年07月05日