#152 新センター試験への懸念

 今年も大学入試センター試験が昨日と本日行われています。昨日は国語、社会、英語が実施され、今日は数学、理科が実施されています。昨日は大雪の関係で地域によっては試験時間を繰り下げる措置が取られました。また寒い時期でもあり、風邪やインフルエンザなどで体調を壊す受験生が少なからずいると思われます。とにかく受験生には最後まで頑張ってもらいたいと思います。
 さて、現在実施されているセンター試験は2020年度から「大学入学共通テスト(仮称)」となり、試験内容も大幅に変更になります。国語や数学では記述式問題が採用され、そのプレテストが現在全国の指定された特定の高校で実施されています。その結果をもとに新たな入試問題を作成するようです。
 問題は英語です。文科省は新テストで英語の入試を廃止し、代わりに民間の英語検定試験の成績を採用すると発表しています。共通テスト開始から3年間は現在のセンター試験形式の問題を併用して、その試験結果を入試に反映するようです。個人的な意見ですが、はたして英検などの検定試験が公正かつ公平に実施されるのでしょうか。
 まず英検(英検協会が主催する実用英語検定試験)ですが、現在1級から5級までのグレードがあります。このうち実際に入試の合否判定に使用できるのは入学試験に対応する2級、準1級、1級の3種類になると思われます。2級はセンター試験程度のレベル、準1級は難関私立大学(早稲田や慶應など)の入試レベルとなります。1級に合格できる高校生はほとんどいませんので、ここでは論じません。この2級、準1級の問題構成ですが、主として語彙問題、メール問題、長文問題から構成されており、解答はすべてマークシート方式となっています。この点で文科省が提唱している記述問題の導入に反しています。また語彙問題はあくまでも英単語を覚えているかが焦点となり、文法や表現を問う問題はほとんどありません。単語を暗記していれば解ける問題です。言いかえれば小学生でも単語を覚えれば解ける設問です。他の問題も解答は選択式ですので、答えが分からない問題も勘で解答できます。また採点方式ですが、英検協会では最近「英検IBA CSEスコア」を採用しており細かな点数基準を定めています。果たしてこの採点方式が公正な評価かどうか意見がが分かれます。(詳細は次のURLを参照してください。http://www.eiken.or.jp/eiken-iba/)
 英検を採用する際に一番心配なのが、高校などの試験実施会場では事前に試験問題が送ってきますので、学校関係者が事前に試験問題を見て、それに応じた問題を生徒に演習させることが可能になります。つまり教員による不正行為が簡単にできることになります。現在のセンター試験では試験問題が厳重に管理されていますが、民間の検定試験、特に英検に関しては不正が横行することがあり得ます。この点を文科省がどう対応するかが課題です。
 他の検定試験(TEEP, TOEIC, TOEFL, IELTSなど)にはそれぞれ一長一短があり、受験料、受験開催地数をふくめ、全国の高校生に公平に受験できる機会を与えることは不可能です。また成績をどのように入試に反映するかが今後の課題となります。現在の中学3年生から大学入学共通テストを受験することになりますが、英語に関して、どのような方針を出すのか、文科省は詳細をできるだけ早く提示する必要があります。

2018年01月14日