#455 笑点に女性大喜利回答者誕生か?

 秋らしい日が続いています。朝晩は気温が10度近くまで下がりますが、日中は20度を超える気温になり、湿度も低いので、遠くの山々が鮮やかに姿を見せています。紅葉まではまだ時間がかかりそうですが、スーパーマーケットの果物や惣菜コーナーには秋の食べ物が並べられ、「食欲の秋」を満喫できます。
 さて今日は芸能の話題を一つ。毎週日曜日の夕方に放送されている人気番組「笑点」ですが、私は毎週欠かさず楽しみにしている番組の一つです。円楽師匠の死去により、その座が空席となっています。毎回様々な落語家がその席に座り、名(迷)回答を繰り広げています。おそらく日本テレビは後継者を探していることでしょうが、ある女性落語家に今スポットが当たっています。本日のブログはこの女性落語家を紹介します。
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『「笑点」史上初の女性大喜利回答者として大注目!ーー落語家・蝶花楼桃花「“女”なことはプラマイゼロ!」』
 今年の3月に真打昇進後、7月には過去最速で主任(トリ)を務めた落語界のホープ。ルックスと実力を兼ね備える彼女はどうやって現在の地位まで上り詰めたのか。
 うまい、かわいい、華があると三拍子そろった “寄席のプリンセス” は2022年3月、真打に昇進。蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)という美しい高座名で活動していくことになった。前座名は春風亭ぽっぽ、二ツ目時代は春風亭ぴっかり☆。
「師匠の春風亭小朝から、『破裂音は耳に残る』と教えられていたのでまたパ行の名前かとも思っていたんですが、さらに素敵な名前をいただきました。真打はお披露目もあるので、師匠に一門全員が呼ばれたんです。高座名が何になるかは1ミリも知らずに行ったら『では、ぴっかり☆の新しい名前を発表します』って。師匠が『デレレレレレ』って口でドラムロールしながら一文字ずつ出していくという(笑)。蝶、花……蝶花楼だー! って頭の中で思いました。まさかの! って感じでしたね」
 七代目馬楽が2019年に亡くなってから誰も名乗っていなかった蝶花楼は、落語界の亭号のひとつ。小朝師匠の大師匠(師匠の師匠)である林家彦六が五代目蝶花楼馬楽を名乗った時期があり、一門には縁のある名前なのだ。
「蝶花楼とはなんて素敵なところを見つけてくれたんだろうと思いました。すごく嬉しかったですね。大きな名跡であるうえに女性が継いだことがないですし、字面がきれいじゃないですか。さすが師匠って思いましたね」

宝塚に憧れる少女が突然落語の世界に
 いまや注目の噺家として大活躍の桃花師匠だが、もともとは舞台女優に憧れていた。
「幼稚園に移動ミュージカルが来まして、それを観て舞台に立ちたいと言いだしたのが最初。小学生で宝塚歌劇団にハマって……涼風真世さんが好きで、ファンクラブにも入ってました。宝塚に入りたかったんですけど、私、すごいちびっ子なのでとても無理だと挫折して。それで尚美ミュージックカレッジ専門学校を出て、演劇倶楽部『座』に研究生として入ったんです」
「座」は日本語を美しく語ること、日本の伝統的身体表現(落語・歌舞伎・狂言・日本舞踊)に力を入れている育成所。そこで、桃花師匠は天啓を受けることになる。
「ある日、鈴々舎馬桜師匠が講義に来て『いろんな伝統芸能を観たほうがいいよ』って。それで寄席に行き始めたんです。たくさんの伝統芸能を観たんですけど、落語がいちばん自由だなって思いました」
 寄席に通ってさまざまな師匠の噺を聴き、多くの本を読んだ。そして、春風亭小朝師匠へ入門をめざすことになる。
「小朝の弟子になりたいと思ったのは、師匠の落語が大好きっていうのはもちろんですが、なんでも受け入れてくれる柔軟な考えができる方だと感じていたので。自分が女として落語をやっていくことを考えたとき、師匠みたいな噺家になりたいと思ったんですよね」
 最初は落とされるつもりで小朝師匠のところへ行ったという。「何回か断わられて、『親連れてこい』とかね……そういう弟子入りの儀式みたいなものがあるのだろうなと思っていました。とにかく一回断わられに行こうと、いろいろ調べて府中の独演会の昼夜の間に乗り込んでいったんです。いきなり楽屋へ行って『弟子入りしたいんです』って言ったら『弟子入りっ!?』『師匠、弟子入りで女のコが来てますー!』みたいな。
 それでも一所懸命に気持ちを伝えたら、マネージャーさんに『このコ、採るよー』って師匠が言ったんです。えっ、採ってもらえるの? と思っていたら『明日から来なさい』と言われ、翌日に横浜の独演会に行きました。そこで『君、ぽっぽって名前になったから』『ありがとうございます!』となったんです。そのときからいきなりバーンと落語家人生が始まっちゃいました」

修行の日々に染みた厳しさと優しさ
 そこから1年弱が見習い、そのあとの前座としての毎日。あわせて5年の修行の日々。
「前座は全員そうですけど、自分の時間は1秒もないです。365日寄席か師匠の家に行く。師匠のおつかいをしたり、カバン持ちをしながら、合間には稽古もつけてもらいましたし、ほかの師匠のところに出稽古にも行きました。菓子折りを持って『お願いします』ってお伺いして、教えていただく。
 たとえば、いきなり(立川)志らく師匠のところに行って『小朝のところのぽっぽと申します。噺を教えてください』ってお願いしたり。すると『君、誰?』みたいな顔をしながら、ホントはすごく優しくてちゃんと教えてくださる。落語ってそんな世界なんです」

<入門5年で二ツ目に昇進、春風亭ぴっかり☆となる>
「名前に☆がついて(笑)。そのときもいきなり『君、ぴっかり☆だから』って。二ツ目になると師匠の名前から一文字をもらったりすることが多いんです。私も師匠の文字が欲しかったので、少し抵抗したんですよ。でも皆さんがすぐに覚えてくださるので、結局『ぴっかり☆』も大好きな名前になりました」

緊張していないふりをしていた『笑点』
 真打昇進以降、多忙な桃花師匠。そのなかでも世間にインパクトを与えたのは、今年9月4日の『笑点』(日本テレビ系)への出演だろう。
「『堂々としていたよ』と言われますが、本当は緊張していないふりをするのに手いっぱいでした。やっぱりあの舞台に立たないとわからない独特な空気感がありましたね。歳の近い宮ちゃん(桂宮治師匠)にはかなりニヤニヤされましたが、あのメンバーのなかでレギュラーをやっていることをあらためて尊敬しました」
 注目された大きな要因は『笑点』史上初の “女性” 大喜利回答者であること。 “女性落語家” と呼ばれることを本人はどう考えているのだろうか。
「全然なんにも気にしてないです。気を遣っていただいて “女性” ってつけない方もいらっしゃいますが、お気持ちだけありがたくいただくことにしています。私をちゃんと認めてくださる方の言葉なら、なんと呼んでいただいても嫌ではありません。女性であることで、損することもあるんですけど、そのぶん得することもあるから、プラマイゼロかなと思っていますね」

<階段を着実に上り続ける彼女に、今後の目標なども聞いてみた>
「独演会を中心にいろいろなことをやりたいですね。ミュージカルだって、お話が来たらやりますよ! 来ないと思うけど(笑)。あとは寄席に託児所を設けるとか、見やすい環境を整えられればなと。寄席って長時間なんですよ。さすがに4時間は長いし、ハードルが高い。どうしたら女性や若い方が見やすくなるのかを考えた取り組みはしていきたいですし、広く愛される落語界にできたらいいなと思っています」

<ちなみに独身の桃花師匠。さらにおめでたい話などは?>
「結婚ねえ……。最近興味がなくなってきちゃって(笑)。二ツ目の最初のころは、本気で結婚しようと思っていて、モテようとしていた時期があったんですけど、この歳になるともういいかなって。まあ今は落語で手いっぱいですけど、頑張ってるといい話があるかもしれないですよね」

蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)
二ツ目時代に「浅草芸能大賞」新人賞受賞。「NHK新人落語大賞」では3度にわたり決勝進出。11月1日なかのZERO(東京)、11月7日今池ガスホール(名古屋)、12月19日ABCホール(大阪)で真打昇進披露公演を開催
https://smart-flash.jp/entame/207442
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 どの芸の道も厳しい修業がありますが、特に話芸には師匠について長年修業を続けても大成しない弟子がたくさんいます。もし蝶花楼桃花さんが笑点の正式な回答者になられたら心から応援したいと思います。

2022年10月30日