#607 シマウマならぬシマウシ!?
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、確かに最近朝夕は秋らしい気配が漂うようになってきました。空の雲を見ても夏空の入道雲と秋の筋雲が同居しています。今年は9月20日から9月26日までが彼岸となります。ところで彼岸という言葉ですが、「彼岸(ひがん)」と「あの世」は、仏教由来の「彼岸」が「あの世(死後の世界)」を指す言葉として、日本で広く使われています。「彼岸」の本来の意味は、煩悩に満ちた「この世(此岸)」から、悟りの開けた理想の世界(彼岸)へ至ること
で、このあの世は西方浄土とも呼ばれます。
話は変わりますが、イグ・ノーベル賞をご存じでしょうか。ノーベル賞は人類に多大の貢献をした人に与えられる賞ですが、イグ・ノーベル賞はノーベル賞のパロディで、「人々を笑わせ、同時に考えさせる研究」に対して与えられ、受賞者には賛辞だけでなく笑いや皮肉をこめて授与されます。今年のイグ・ノーベル賞が決定しました。日本人の受賞は19年連続だそうです。
今年の受賞は「シマウシ」です。9月19日付の日経新聞に次のような記事が載りましたのでご紹介します。
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『イグ・ノーベル賞、白黒模様の「シマウシ」 日本人受賞は19年連続』
人々を笑わせ、そして考えさせるような研究に対して贈られる「イグ・ノーベル賞」が米ボストン大学で18日(日本時間19日)発表され、日本人では農業・食品産業技術総合研究機構の研究者らが生物学賞に選ばれた。研究テーマは牛にシマウマのような白黒模様の色を塗る効果。日本人の受賞は19年連続となった。
受賞テーマは「シマウマのようなしま模様を描いた牛がハエに刺されないようになるかを調べた研究」。19年に論文を発表した。具体的には黒毛の牛に白いスプレーで幅4〜5センチのしま模様をつけ、通常の黒い牛、黒いスプレーを用いた牛の3種類を比較した。
牛の右半身に付いたアブやサシバエの数を調べたところ、通常の牛は平均128匹、黒く塗った牛は111匹だったが、シマウマ模様の牛は55匹にとどまった。吸血昆虫を近づけないことで痛みやかゆみのストレスが減り、牛の発育に好影響があると期待される。
農研機構の児嶋朋貴・任期付研究員は受賞について「今後も努力を続けるためのモチベーションになります」と語った。演説中にはスピーチをハエの模型が邪魔をし、しま模様のシャツに着替えると去っていくという一幕もあった。
イグ・ノーベル賞は米国の科学ユーモア雑誌が主催しており、1991年から始まった。今年で35回目となる。日本人は多く受賞しており、昨年は東京科学大学の武部貴則教授らが、哺乳類がお尻から呼吸する能力を持つことを発見したという業績で生理学賞を受賞している。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG167Y10W5A910C2000000/
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このイグ・ノーベル受賞者は着眼点がすごいと思います。誰も思いつかなかったことを実験して証明する姿勢はすばらしいと思います。またこの理論がウシ以外の生物にもにも適応できるなら、さらに素晴らしい成果を上げることでしょう。例えば虫刺されの多い人が白黒の縞模様シャツを着て手足に白黒まだらの模様を描いて農作業をすれば蚊に刺される回数が減るでしょうか?また虫刺され防止のスプレーに白黒まだら模様を描けるものが発売されたらヒットするでしょうか?白黒まだら模様を用いた興味深い製品がこれから登場することでしょう。「シマウシ」に幸あれ!