#562 戦力外通告
現在「ベースボールプレミア12」が行われていますが、日本は昨晩の台湾戦にも勝利し、次のステージへ進みます。このプレミア12ですが、アメリカのメジャーリーグ主催の「ベースボールクラシック」と異なり、世界野球ソフトボール連盟が主催しています。これに加えてオリンピックでも野球やソフトボールが公開競技種目として存在し、様々な種類の世界大会が存在しています。見る方にとっては楽しいですが、選手や監督にとっては体を休める時間が取れません。加えて、それぞれの大会に出場する代表選手たちを応援する国民の期待もあり、下手な試合もできません。野球は相撲の次に準国技の位置にあり、野球ファンだけでなく、多くの国民が全ての大会で優勝を期待しています。それに応えるチームは期待と不安で大変なストレスを抱えることでしょう。
さて、毎年多くのプロ野球新人選手がドラフト会議を通して希望のチームに入ります。将来を嘱望された優秀な選手ばかりです。しかし5年後・10年後にこのうちの何人が現役選手として活躍しているでしょうか。
今年もペナントレース終了と同時に各チームが来年度の戦略を見直す時期がきており、来年のチーム編成を現在考えています。有能な選手はFA(フリーエージェント)を宣言し、国内の他チームや海外のチームと自由に契約できますが、一方では戦力外通告(いわゆるクビです)を突然言われる選手もいます。つまり年齢にかかわらずチーム内で活躍できなかった選手で、来年度も活躍する見込みが少ない選手が該当します。
これらの選手は野球を引退するか、他の活躍場所を求めてトライアウトに参加するか、プロ野球外の独立リーグで野球を続けることになります。多くの戦力外選手がトライアウトに参加しますが、そのなかでプロ野球に復帰できる選手は毎年1、2名ほどしかおらず、復帰の道は非常に厳しいものです。
野球に限らず、スポーツの世界は実力の世界です。選手本人に実力がなければ、即クビとなる厳しい世界です。同じチーム内でも厳しい競争が毎日繰り返されています。ソフトバンクホークスでは4軍まであり、たとえ球団に運良く入団しても、結果が出ませんと数年でクビになります。その後の人生は様々です。球団職員として野球関連の仕事を続けることができる人は幸いです。大半は全く野球と関係のない仕事に就き、第2の人生を歩くことになります。
野球だけでなく、サッカーやその他のスポーツも例外ではありません。大谷選手のようにアメリカで活躍できる選手は超一流のプロ野球選手でもほんの一握りです。またプロとして活躍できる時間は限られており、野球では最長で20年前後、フィギュアスケートでは大半が20代で引退します。それでも多くの人が自分の夢を追いかけて毎日何時間も練習に費やします。その日々の努力には頭が下がります。しかし一流の選手として開花するかどうかは「不断の努力と運」が大きな要素となります。また負傷せずにどれだけ長く活動できるかも大きな要素にもなります。将来嘱望された才能ある多くの選手がケガが原因で現役を去っていきました。それぞれの競技で今活躍している選手は様々な不調や負傷を乗り越えてきた選手です。ある意味では「強運の持ち主」と言えるでしょう。
これからも夢に向かって多くの若者が自分のスポーツに挑戦していきます。またプロ選手もできるだけ長く活躍するために日々厳しい練習を通して研鑽を重ねます。夢に向かって努力を続ける人たちにエールを送りたいと思います。
注:トライアウト
そもそも日本のプロ野球におけるトライアウトは主に「12球団合同トライアウト」を指します。これは、各球団が独自に行う入団テストとは別に、全球団のスカウトマンの前で参加選手がアピールできる機会となっています。逆に、球団側としては現戦力に足りない選手を補強したり、自チームでは評価しているのに、なぜか他球団を戦力外になった、いわゆる掘り出し物選手を探す機会として有効活用されます。
(https://spojoba.com/articles/618より引用)