#317 75回目の夏

 毎年8月は私たち日本人にとっては鎮魂の月です。8月6日の広島、9日の長崎、そして15日の終戦記念日と続きます。その間にソ連軍の侵略による樺太や満州での殺戮行為など、戦争の残虐な面が一度に表面化した時期でもあります。
 昨夜NHKのETV特集「焼き場に立つ少年を探して」が放送されました。昨年のこの時期にもブログ#253で紹介しましたが、ローマカトリック教皇がこの少年の写真を紹介したことで、この写真が世界中に知られることになりました。
 ETVの特集番組によると、長崎に投下された原爆後に戦災孤児になった子どもが多く発生して、写真の少年もその一人だったと説明しています。また写真をコンピュータで分析した結果、少年も被爆しており、目や鼻から出血した跡が見られるとのことでした。この少年は亡くなった弟を荼毘(だび)にした後に、どことなく去って行ったということでした。このような戦災孤児は長崎県立の向陽寮で70人ほど生活したとETVは説明していますが、はたしてこの少年がそこで暮らしていたかは語っていません。
 歴史は奇妙に繰り返すことがあります。第1次世界大戦中のスペイン風邪が世界各地で発生し、その後に世界恐慌が発生します。そして第2次世界大戦へと続いていきます。今回の新型コロナウィルスが現在米中の対立を引き起こしていますが、はたして世界はこの先どのような状況を迎えることになるでしょうか。同じ道を繰り返さないように私たちは注意して世の中の動きを見ていく必要があります。
 75年前の悲惨な状況を二度と繰り返さないように、私たち一人ひとりがこの国をと世界の情勢を注視していかなければならない時期に来ています。今日の日本の平和があるのは75年前の終戦から立ち上がって必死で頑張ってきた私たちの祖父母の世代の人たちのおかげです。日本がこれからも平和な国を維持していけるかどうかはすべて今の私たちにかかっています。今日9日は長崎に原爆が投下された日です。長崎は今日鎮魂の鐘が街中に流れています。

2020年08月09日