#492 夏の風物詩

 昨日は福岡では祇園山笠の「追い山」が行なわれ、4年ぶりの正式な開催となりました。福岡は山笠とともに夏が始まります。大牟田では昨日と今日は「港祭り」が開催され、来週の土日はいよいよ「大蛇山祭り」が行なわれます。夏の風物詩と言えば夏祭りです。今年はコロナ禍も収まり、全国的に制限なしで多くの祭りが行なわれます。
 また花火大会も夏の風物詩の代表です。この花火大会はもともと鎮魂のために行なわれたものが起源だそうです。今年も様々な災害で亡くなられた御霊のために花火大会が開催されます。
 ところで、朝早くからセミが鳴いています。蝉と言えば、これも夏の風物詩の1つでしょう。今年も7月になって鳴き始めました。まだ梅雨明けしていませんが、真夏のように早朝から鳴き出します。まるで目覚まし時計のように枕もとで鳴きます。成虫はわずか1週間の命ですので、心情的には我慢もできますが、やはり頭の近くで鳴かれるとき、鳴き声の大きさは限度を超えています。
 このセミですが、私たちが日ごろ耳にするのは鳴き声によってアブラゼミ、クマゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクホーシでしょうか。どのセミがどんな鳴き方をするか区別がつきますか?詳しく判断できない方は次のサイトで聞き比べてください。
http://www.m-ecokosha.or.jp/semi/semi_koe_index.html
 この中で、最近耳にしなくなったのがミンミンゼミです。以前はマンガの中に描かれるゼミは決まってミンミンゼミで、「ミーン、ミーン」と鳴き声が描かれていましたが、私はこの鳴き声を聞いたことがありません。このセミの分布について、日経新聞は次のような記事を載せています。

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『関西のセミ「ミンミン」鳴かない? 種類や分布に地域差』
 最近、北米で17年に1度大発生する「17年ゼミ」のニュースを耳にした。捕食する鳥や動物が食べきれないほど一気に羽化する光景は圧巻。子孫を残すのに有利な生態なのだという。セミは身近ながら不思議の多い昆虫だ。そういえば日本のセミについても疑問がある。関西では「ミンミン」という鳴き声を耳にしないような……。
 関西のセミはちょっと違う。東京都出身の記者(28)がそう気づいたのは子どもの頃だ。夏休みに神戸市の祖母の家に泊まると、「シャアシャア」という聞き慣れないセミの大合唱で目が覚めた。セミは「ミンミン」と鳴くものだと習ったのに……。祖母は「あれはクマゼミという別の種類だ」と教えてくれた。
 ウェザーニュースは2020年、「一番よく聞くセミの鳴き声」を都道府県ごとにアンケート調査した。大阪府、兵庫県など関西ではクマゼミ、東京都、神奈川県など関東ではミンミンゼミという回答が目立った。
元来、ミンミンと鳴くミンミンゼミは比較的寒冷な東日本、クマゼミは温暖な西日本に多いという。ただ、現在では東京と大阪の気候はそれほど変わらない。それでも両者の勢力分布の傾向にあまり変化がないのはなぜだろう。
 京都大学の沼田英治名誉教授は「セミの飛行距離はそれほど長くない」と指摘する。クマゼミに印をつけて飛距離を測る実験では、長く飛んだものでも1キロメートル強だった。
 さらにセミは生涯のほとんどを土の中で過ごす。木などに産み付けられた卵は翌夏にふ化し、幼虫は自力で土に潜る。土の中で過ごす期間は6~8年とも。植木に紛れて運ばれることはありうるが長距離を移動することはまれで、「地域差が出る理由の一つとなっている可能性はある」と大阪市立自然史博物館の初宿成彦主任学芸員は語る。
 もっとも、かつて関西で主流だったのは「アブラゼミ」だ。初宿氏によるとクマゼミがその地位を奪ったのは1980年ごろ。「都市部を中心に勢力を伸ばした」という。
クマゼミの増加は、温暖化やヒートアイランド現象とも関係があるという。気温上昇で卵のふ化の時期が早まり、梅雨に重なったことで「都市部での生存率が高まった」と語るのは大阪健康安全基盤研究所の山崎一夫主幹研究員。
 都市部の公園は落ち葉などが取り除かれ腐葉土がなく、土は乾燥して硬い。クマゼミの幼虫はアブラゼミより土を掘るのがうまく、その点では優位。だが、潜るのに時間がかかればアリなどの天敵に捕まる危険も高まる。湿気で土が軟らかくなる梅雨時のふ化は、クマゼミの幼虫の生存に有利に働いたとみられる。
 また、山崎氏は「クマゼミの成虫はカラスなど都会の鳥から逃げるのが上手だ」とも指摘する。セミを驚かせてどう逃げるか実験したところ、クマゼミは比較的遠くの木立まで飛ぶのに対し、アブラゼミはすぐ隣の木に移る性質があることが分かった。
 アブラゼミの茶色い体は豊かな森では身を隠しやすいが、都心の並木道では違うようだ。実際、大阪市内でセミの死骸を調べたところ、アブラゼミは捕食されて羽などがバラバラになったものが9割超だったのに対し、クマゼミでは5割にとどまったという。
同じ大阪でも郊外ではアブラゼミが多い。約50年かけて森づくりを進めてきた万博記念公園(大阪府吹田市)では、2015年に園内のセミの抜け殻を採取したところ、8割がアブラゼミだった。10年の調査で大阪市内では9割超がクマゼミだったのとは対照的。クマゼミは「都市環境にうまく適応して増えた」(初宿氏)といえる。
 セミの生態は分かっていないことも多いが、17年ゼミの謎の解明には日本人研究者が貢献したという。この夏、セミ博士を目指し、まずは観察してみようか。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF232HI0T20C21A5000000/
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 上記の記事によりますと、一口にセミと言っても、かなりの地域差があるようです。ちなみに私は3年ほどオーストラリアのシドニーで過ごしましたが、セミが鳴くのを一度も聞いたことがありません。不思議に思いオーストラリアの知人に聞きますと、セミが鳴いていると鳥が食べるそうです。それでセミが鳴かない理由がが分かりました。セミもいろいろです。

2023年07月16日