#145 平成の終わりと、はしだのりひこ逝く

 久しぶりにブログを書いています。実は非常勤講師をしている学校で現在期末試験が行われており、私が担当している授業のテストを3種類作らなければならず、その作成に時間がかかりましたので、ブログの更新ができませんでした。現在は採点に追われています。加えて成績締め切り日まで試験後の3日間の猶予しかなく、テスト返却後にすぐ成績処理をしませんと間に合いません。今月は師走ですが、学校の先生方はテストの採点や成績処理、親子との個人面談の準備で大忙しの日々を過ごすことになります。
 さて先日皇室会議が開催され「平成」が再来年の4月30日に終わることが正式に公表されました。これで平成は31年間で終了することになります。天皇陛下がご存命中に元号が変わるのは200年ぶりとのことです。元号名の「平成」は必ずしも平和な時代ではなかったと思います。昭和と違い平成は戦争に介入するはありませんでしたが、それでも様々な大事件や大事故が続けて発生し、異常な殺人事件も多く起こりました。事件や事故が起こるたびに以前の出来事が忘れ去られ、年末の特集番組でようやく思い出すようなことが続いています。
 思い返せば1989年(昭和64年)1月7日は昭和の終わりと平成の始まりという2つの時代が重なった1日でした。この日の不可思議な一日を今でも覚えています。早朝に昭和天皇の崩御が報じられ、国内は正常な生活が営まれていましたが、どことなく空虚感が漂っていました。一時代が終わり、新しい時代が始まった一日でした。再来年の平成の終わりと新しい時代の始まりをどのような雰囲気で迎えるのでしょうか。今から楽しみです。
 個人的に大きなニュースが昨日ありました。はしだのりひこ氏の逝去です。はしだのりひこ、と言えば年配の人達はご存知でしょうが、フォーククルセダーズのメンバーで、名曲(迷曲?)「帰ってきたヨッパライ」で世の中を風靡しました。この歌の微妙なリズムと歌詞の内容はそれまでの歌謡曲の範囲を超えた奇妙な衝撃を世の中に与えました。特にテープレコーダーの回転数を変えて曲作りを行った奇抜なアイデアには世の中が驚きました。勿論ビートルズからの影響です。また彼はシューベルツの「風」、クライマックスの「花嫁」を不朽の名曲として世に残した人物としても知られています。またフォークソングを世の中に広めた一人でもあります。両曲ともに作詞はきたやまおさむ、作曲ははしだのりひこです。彼の曲は特に親しみやすく、誰でも口ずさむことができるメロディーです。「風」は教科書に載せられ、「花嫁」は1971年に発表され、その年の紅白歌合戦に出場しています。特に「風」は一度は誰でも口ずさむ名曲中の名曲です。

「風」 作詞 きたやまおさむ
    作曲 はしだのりひこ


人は誰も ただ一人旅に出て
人は誰も ふるさとを振りかえる
ちょっぴりさみしくて 振りかえっても
そこにはただ風が 吹いているだけ
人はだれも 人生につまずいて
人はだれも 夢破れ振りかえる

プラタナスの 枯葉舞う冬の道で
プラタナスの 散る音に振りかえる
帰っておいでよと 振りかえっても
そこにはただ風が 吹いているだけ
人は誰も 恋をした切なさに
人は誰も 耐え切れず振りかえる

何かをもとめて 振りかえっても
そこにはただ風が 吹いているだけ
振りかえらず ただ一人一歩ずつ
振りかえらず 泣かないで歩くんだ
何かをもとめて 振りかえっても
そこにはただ風が 吹いているだけ
吹いているだけ 吹いているだけ

 寒い季節に歌いたい1曲ですが、タイトルの「風」について北山修氏があるエッセイでこのようなことを書いていました。「自分は京都駅近くの家で幼いころ暮らしていましたが、いつも京都駅を乗り降りしている人々を興味深く見ていました。その人々の動きから一陣の風が吹くことをいつも感じていました。そのような経験から「風」という市が生まれました。」人生は生きて愛することの繰り返しです。過ぎ去ったものを振り返っても、そこには風しか吹いていません。一歩前に進めることが必要です。
 はしだのりひこ氏はフォークルのメンバーであった故加藤和彦氏と今天国で語り合っていることでしょう。彼のご冥福を祈りたいと思います。

2017年12月03日