#110 日本卓球の躍進とブラック部活(2)

 日本卓球の大躍進が伝えられています。卓球・世界選手権個人戦で平野美宇が銅メダルを獲得しました。また混合ダブルスで吉村・石川ペアが48年ぶり金メダルを獲得しました。昨今の卓球界における大活躍は卓球協会の長期計画が見事に実った結果でしょう。どのスポーツにも言えることですが、スポーツをマスターするのには10年ほどの年月がかかります。現在活躍している10代の卓球やフィギュアスケートなどの選手は2,3歳からスポーツを始めています。その成果が10代で表れている証左になります。
 福岡県では福岡県タレント発掘事業が行われており、参加する小学生や中学生の適性を専門家が観察し、彼らに相応しいスポーツを勧めます。そのようにして将来活躍する能力を持っている選手を発掘し育てています。一種のスポーツエリート教育です。確かに才能を持っている子どもで、適性に応じたスポーツを奨励することは本人にとって将来を切り開く芽を与えることになります。才能のある子どもたちに頑張ってもらいたいと思います。
 一方で、前回のブログでも述べましたが、ブラック部活と学校の体制に疑問詞がつくような話を聞きました。当塾に中学生が6名ほど通っていますが、生徒から聞いた話では今月の下旬から中体連の予選が始まるそうです。(このことは大牟田市内のことだけかも知れません。)私は中学生の頃、ソフトテニス部に所属していましたが、中体連の予選は1学期の終業式が行われる7月20日以降に始まりました。昨今の中体連の予選がひと月以上も早まった理由は分かりませんが、問題はその予選が平日に行われていることです。高体連の予選は週末や連休中に実施されることが多いのですが、なぜ中体連の予選が平日に行われるのか正直言って分かりません。
 特に問題なのはクラスの中で中体連に参加する生徒がいた場合、授業が自習になるそうです。授業を担当する先生が顧問として生徒の引率に当たることもありますが、クラス全員が予選に参加することはありえません。たとえクラス生徒の1/3が参加としても残り2/3の生徒は授業を受けることが可能なはずです。予選参加により授業を受けることができない生徒に対しては放課後に補講等の対策が取れるはずです。それをクラス全員に自習させることは考えられない状況です。中学校はこのような状況を把握した上で、放任しているのでしょうか。そうだとしたら学校全体で教育を放棄していることになります。生徒の部活動は大いに賛成ですが、一部の生徒のために大多数の生徒が犠牲になっては本末転倒です。前回のブラック部活に合わせて、教育界に警鐘を鳴らしたいと思います。

2017年06月04日