#213 遥かなるクリスマス

メリークリスマス
二人のためのワインと それから君への贈り物を抱えて駅を出る
外は雪模様 気づけば ふと見知らぬ誰かが僕にそっと声をかけて来る
振り向けば小さな箱を差し出す 助け合いの子供達に僕はポケットを探る
携帯電話で君の弾む声に もうすぐ帰るよと告げた時のこと
ふいに誰かの悲鳴が聞こえた 正面のスクリーン激しい爆撃を繰り返すニュース
僕には何にも関係ないことだと 言い聞かせながら無言でひたすら歩いた

メリークリスマス
僕達のための平和と 世の中の平和とが少しずつずれ始めている
誰もが正義を口にするけど 二束三文の正義 十把一絡げの幸せ つまり嘘
僕はぬくぬくと君への 愛だけで本当は十分なんだけど

本当は気づいている今のこの時も 誰かがどこかで静かに命を奪われている
独裁者が倒されたというのに 民衆が傷つけ合う平和とは一体何だろう
人々はもう気づいている 裸の王様に大人達は本当の事が言えない
いつの間にか大人達と子供達とは 平和な戦場で殺しあうようになってしまった
尤も僕らはやがて自分の子供を 戦場に送る契約をしたのだから同じこと
子供達の瞳は大人の胸の底を 探りながらじわりじわりと壊れていく
本当に君を愛している 永遠に君が幸せであれと叫ぶ
その隣で自分の幸せばかりを 求め続けている卑劣な僕がいる
世界中を幸せにと願う君と いえいっそ世界中が不幸ならと願う僕がいる

メリークリスマス
僕は胸に抱えた小さな 君への贈り物について深く考えている
僕は君の子供を戦場へ送るために この贈り物を抱えているのだろうか
本当に愛している 永遠に君が幸せであれと叫ぶ
本当に君を愛している 永遠に永遠に君が幸せであれと叫ぶ

メリークリスマス
凍てつく涙を拭いながら
生きてくれ生きてくれと叫ぶ
雪の中で雪の中で雪の中で
白い白い白い雪の中で

メリークリスマス
メリークリスマス 


♪さだまさし「遥かなるクリスマス」


 今日はクリスマスイブですが、クリスマスイブが振替休日となるのは今年が最後でしょう。昨日の天皇誕生日の祝日が今年で終了するからです。将来は分かりませんが、12月23日を祝日としない限りクリスマスイブが日曜日以外の休日となることは2度とありません。その意味では感慨不快ものがあります。
 さて今日はクリスマスイブ。街中が賑やかな雰囲気で満たされていますが、世界中の人々が素直にこの日を喜んでいるわけではありません。今も戦闘の中で逃げ惑う子ども達や弱者がいるのです。平和な世の中で暮らしている私達には理解しがたいですが、サンタからの贈り物をもらえない子ども達がたくさんいます。上記の詩にある「ふいに誰かの悲鳴が聞こえた 正面のスクリーン激しい爆撃を繰り返すニュース僕には何にも関係ないことだと 言い聞かせながら無言でひたすら歩いた」という人が多いことでしょう。自らの幸せのみを追求する多くの人がいるなかで、「伊達直人」のような身寄りのない子ども達にランドセルを寄贈する人もいます。
 人々の様々な思いが交錯する中で、今年もクリスマスがやってきました。争いのない平和な世の中で愛する人たちと一緒に過ごすことのできるクリスマスを幸せに思わなければなりません。宗教の違いを超えて世界中の人達が平和の尊さを祝える日にしたいものです。Merry Christmas!

追伸: さだまさし「遥かなるクリスマス」はYouTubeで聴くことができます。一度検索してみてください。

2018年12月24日