#262 変な教育方針!?

 昨日は日本ラグビーチームの大勝利に国中が沸いた一日でした。現在行われているラグビーワールドカップで日本がアイルランドに勝利し、日本の強さが改めて世界に示された日でもあります。現在ではラグビーはサッカーほど人気がなく、ラグビーワールドカップ前には観客が集まるかどうか懸念されていましたが、どのゲームも観衆が集まり、日本国内ではかつてないほどラグビーに注目が向けられています。しかし私が幼いころにはサッカーよりもラグビーの方が人気があり、「これが青春だ」のような青春ドラマには必ずラグビー部が舞台設定で使用されていたものです。これからも日本チームの快進撃に期待したいと思います。
 さて先日の西日本新聞の記事に「変な計算指導」の記事が載っていました。筆算の横線を定規で引くことへの疑問です。本日はこの記事を引用します。

----------
筆算の線、手書きダメ? 小5、160問「書き直し」
(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/545572/)
 「なぜ筆算の横線を、全て定規で引く必要があるのでしょう」。福岡県内の小学校に通う小学5年男児の親族の女性(34)から、特命取材班に相談が寄せられた。夏休みの宿題を提出したところ、横線が手書きだったとして、担任に「書き直し」を命じられたという。指導の背景を探った。
 女性によると、担任は日ごろから定規を使うように指導。男児は疑問を抱きつつも注意されるのが嫌で基本的に従ってきた。今回、筆算の一部は「別にいいだろう」と自分で判断し、手書きで線を引いたという。
 すると、担任から保護者に書き直しを求める電話があった。対象は160問分。理由を尋ねると「計算ミスが減るし、みんなにやらせている」。女性は「計算のリズムが崩れるし、自分なりのノートの取り方を見つけるのも勉強ではないか」と不思議がる。
 同様の指導を行っている県内のベテラン教諭に理由を聞いた。定規で線を引く動作は意外と難しく、「小学2年の習い始めは2割しかできない」という。筆算の線引きはこの練習になるというわけだ。高学年では「手書きより見直しやすいし、面倒くさがらずにやる子の方が学力が伸びる」と説明する。
 このような理由を、男児の担任は保護者に説明していない。県内の別の学校では小学6年も定規の使用を指導しているが、疑問を抱いた父親(39)が理由を問うと、「学年で決めています」との返事だったいう。
 いつ、どう広がったのかは不明だが、「30年前にはそう指導していた」という小学校教諭の声もあった。
 「教師自身が考えなくなっている」。定規の利用など、教員が十分に理由を説明できないルールが数多くある実態について、東京大大学院の村上祐介准教授(教育行政学)は警鐘を鳴らす。
 村上氏は2015年度、自治体ごとに授業の受け方や生活態度を定めた「スタンダード」と呼ばれるルールの有無を全国調査した。回答を得た445自治体の約2割が導入していた。
 スタンダードの内容は自治体ごとに異なるが、「足の裏を床につけて座る」「手を真っすぐ挙げる」などの規律や、「子どもが自分で課題を解決する時間を確保」といった授業の手法が記されている。
 こうした画一的なルールの広がりについて、村上氏は若手教師の授業の質を一定水準に保つ役割はあるとしつつも、「守ることが目的化してしまう危険がある。教師自ら判断することを望んでいない傾向があるのではないか」と懸念する。
 教師の間にも異論はある。勤務先の小学校で18年度にスタンダードが導入されたという福岡県の男性教師(60代)は「学校にとって理想の子ども像が書かれている」と話す。
 机上に置くノートや筆箱の位置、発表や話を聞く態度、あいさつの仕方、廊下の歩き方に加え、靴や傘、トイレのスリッパの置き方、休み時間の遊び方の注意点まで書かれている。「子どもには、ルールを作っていく力こそが必要なのに…。スタンダードが浸透するほど枠組みになじめない子が排除される心配もある」。ベテラン教師のそんな疑問は、スタンダードを推し進める校長の前でかき消されがちだという。
------------

 算数で定規を使うことは、例えばグラフや表を作成する際には必要ですが、果たして筆算の横線を引く際に使用するかどうかは意見が分かれます。上記の記事にあるように「教師自身が考えなくなっている」ということは一理あります。生徒が置かれている状況を考慮し、何が一番必要か、どのような道具を使用するかは授業内容によります。
 画一的な指導が必ずしも良いとは限りません。教育現場では教師一人ひとりの創意工夫が必要とされる所以です。それをしないと、ただ機械的に指導しているだけで、その場に応じたふさわしい指導が欠如することになります。
 昨今話題になっている事故が続出している組体操の在り方やブラック校則など、生徒の現状に応じた指導が必要となってきます。「以前はこうだったから」や「長年ずっとやっている」は通用しない時代です。生徒の能力をいかに引き出し、開花させるために従来の指導方法に拘らず、その時代に応じた指導方法を考える必要があります。それが教師の「独創性」ということになります。

2019年09月29日