#426 中国が南シナ海を欲しがる理由

 平成4年度が始まりました。今年度は4月1日に多くの企業で対面による入社式が行われました。また多くの大学で入学式が行われました。昨年はほとんど全ての入社式・入学式がオンラインで行われましたが、今年度は同じコロナ禍でも明るい雰囲気に満ちているようです。しかし徐々に感染者が増えていますので、同じ過ちを繰り返さないように、これ以上感染が広がらない対策や自助努力が必要となることでしょう。
 さて、前回のブログは「13歳からの地政学」の記事を引用しましたが、面白かったので早速ネットで購入して読んでみました。その中で気になった内容をまとめてみたいと思います。まず最初の章になぜアメリカが世界一の大国であるか、面白い説明をしています。簡単にまとめると次のようになります。

・世界の貿易はほとんどが海を経由し、海を支配するアメリカが世界の仕切り役になっている。このためアメリカのドルが世界中の貿易の大半で使われている。
・アメリカは自国通貨で外国からの物を買うことができるので、豊かになっている。
・世界のほとんどのデータは海底を経由し、海の支配は情報を押えることにつながる。
・情報はたくさん集めても、分析して使えなければ、持っていないのに等しい。
・経済成長の度合いは人口と技術の伸びによって決まる。

 上記は現在のアメリカの状況を表しています。国際決済は大半がアメリカドルなので、アメリカが世界の経済を牛耳っています。またインターネット情報はすべてがアメリカ経由で世界につながっていますので、アメリカは簡単に盗聴やデータを盗むことができます。
 次になぜ中国があれほど南シナ海に固執するかを、筆者の独特な視点で説明しています。

・核兵器は①原子力潜水艦②海中からミサイルを発射する能力③深くて安全な海、の3つを揃えて初めて最強のアイテムになる。
・中国は③である南シナ海を支配し、アメリカと対等になることを目指している。
・遠くの国と仲良くして近くの国の脅威に対応する「遠交近攻」は地政学の王道である。
・日本がアメリカと同盟を組んで、中国に対する立場を強めようとするのも、「遠交近攻」の一環である。

 私は中国が南シナ海の領土を主張しているのは単に領土拡張かと思っていましたが、著者によると実は各ミサイルを搭載した潜水艦を隠しておく場所を確保するためのようです。東シナ海などの中国の領海は海底が浅いために潜水艦が空から容易に見つかります。南シナ海は1000mを超える深海のために、空から探査するのは不可能です。著者が指摘しているように核ミサイルの本当の怖さは陸上でなく、深海に潜んでいるミサイルとなります。
 陸上のミサイルはたとえ移動式でも、軍事衛星により正確にミサイルの場所を特定し攻撃破壊することができますが、水中のミサイルは基本的に不可能です。また深海を極秘に進み敵国の領海に入って核ミサイルを発射すれば短時間で目標に到達することが可能で、先制攻撃が威力を発揮します。例えば、北朝鮮が陸上からミサイルを発射すれば警戒警報を出すことは可能ですが、北朝鮮が現在開発している核搭載のミサイルを積んだ潜水艦が就航すれば日本にとり大きな脅威となります。
 また「遠交近攻」は中国や韓国が日本に対して何でも文句を言う「いちゃもん外交」で、いかに日本が間違っているかを世界に発信しています。特に、韓国が世界中に慰安婦像を設置しているのは、日本の立場を悪くする「遠交近攻」の一例となります。
 「13歳からの地政学」には他に少数民族問題やアフリカの貧困など興味深い内容が沢山ありますので、御一読を勧めます。

2022年04月03日