#240 文科省に大喝!

 沖縄・奄美地方はすでに梅雨に入りました。九州地方もあと2週間ほどで梅雨入りになることでしょう。昨日は屋久島で50年に一度の豪雨が降り、現在240人以上の観光客が孤立しています。毎年繰り返されていますが、梅雨時の豪雨には充分注意する必要があります。今まで安全と思われていた地域でも、いつ災害に見舞われるかもしれません。大雨警報が出た場合は避難先の確認も含め、充分な警戒が必要になります。
 さて2020年度の大学入試からセンター試験に代わる新しい入試が導入されます。この件について、このブログでも何度か取り上げましたが、数日前にNHKなどでその採点方法に関するニュースが報道されました。特に英語の採点方法を聞いて私は唖然としました。この件についてご存じない方にNHKが報道した記事をいくつか引用します。

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『大学入学共通テスト 英語の民間試験 海外の業者による採点も』
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190516/k10011917451000.html)
 今のセンター試験に代わり再来年から始まる「大学入学共通テスト」に導入される英語の民間試験。文部科学省がその採点者として、委託された海外の業者なども認めていることがわかりました。専門家は、採点の質の確保や信頼性の観点で懸念があると指摘しています。
毎年50万人余りが受験する今の大学入試センター試験は来年が最後となり、再来年1月からは「大学入学共通テスト」が始まります。
 このうち英語は、書く力と話す力を新たに測定するため、7つの民間事業者による英検やTOEICなどの検定試験が導入されます。再来年1月の受験生は来年4月から12月にかけて、これら民間試験を2回にわたって受け、そのスコアが受験する大学に提供される仕組みです。
 試験の採点者について、文部科学省は受験生が在籍する高校の教職員を除くこと以外、条件をつけていませんが、関係者によりますと、アジアなど海外の委託業者や学生のアルバイトなども採点者として認められていることがわかりました。
 これについて、7つの事業者を取材すると、大卒以上で、英語の指導歴が3年以上あることを採点者の基準としているところがある一方、海外の英語を話す人とだけしているところや、「機密事項」として基準を公表していないところもありました。
 入試制度に詳しい東京大学高大接続研究開発センターの南風原朝和前センター長は「どの国で採点されているかも分からないくらいなので、国の共通テストとして利用するならば、採点者の資質が分かるデータを提供してほしい。外国での採点などは質の確保や信頼性の観点で懸念がある。国は実態を確認し、対策を考える必要がある」と指摘しています。
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『バイトや海外業者も採点 大学入試 英語民間試験 信頼性に懸念』
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190516/k10011918441000.html)
 採点の質や信頼性は確保できるのでしょうか。今のセンター試験に代わり再来年から始まる「大学入学共通テスト」に新たに導入されるのが英語の民間試験です。民間試験では採点を海外の業者に委託することなども認められていますが、すでに採点に疑問があるケースも見つかり、懸念する声がでています。
毎年50万人余りが受験する今の大学入試センター試験は来年が最後となり、再来年1月からは「大学入学共通テスト」が始まります。このうち英語は書く力と話す力を新たに測定するため、7つの民間事業者による検定試験が導入されます。
 再来年1月の受験生は来年4月から12月にかけて、これら民間試験を2回にわたって受け、そのスコアが受験する大学に提供される仕組みです。
 試験開始まで1年を切り、今週、民間事業者が試験の日程や会場などの概要を相次いで公表するなど、準備が進められています。
 文部科学省は民間試験の採点について、受験生が在籍する高校の教職員を除くこと以外、条件をつけていませんが、取材すると、海外の委託業者や学生のアルバイトも採点者として認めていました。そのため採点の質の確保や信頼性に懸念を示す専門家や学校関係者もいます。

<一切利用しない大学も>
英語の民間試験の利用方法をめぐって、大学の対応も分かれています。大手進学塾のまとめでは、82ある国立大学のうち、民間試験を合否判定に利用する大学は筑波大学や広島大学など38校、出願資格などとして利用するものの合否判定には使わない大学は39校です。このうち東京大学や京都大学など8校は出願資格としての提出を任意としています。一切利用しない大学は北海道大学や東北大学など3校。まだ具体的な方針を公表していない大学が2校となっています。文部科学省は「各大学の方針は尊重するが民間試験を活用する方向で検討してもらいたい」としています。

<民間の検定試験導入>
7つの民間事業者による検定試験の具体的なスケジュールは、第1回となる再来年1月に共通テストを受ける人たちの場合は、来年4月から12月の間に、これら民間試験のうち希望したものを2回受けます。そのスコアは大学入試センターを通じて受験する大学に提供され、各大学の判断で出願資格や合否判定に使われます。
民間試験の実施から4年間、つまり2024年1月までは従来どおり大学入試センターによる英語の試験も実施されますが、2025年以降については未定だということです。

<専門家「民間任せの弊害 国は対策を」>
入試制度に詳しい東京大学高大接続研究開発センターの南風原朝和・前センター長は「どこの国のどんなレベルの人が採点するのかがブラックボックスとなっていて、採点の公平性や質の確保の観点で懸念がある。国は民間事業者に対して受験料は下げて採点などの質は上げるよう求めているが、それは矛盾している。大学によって活用に差があるのはこれらの試験を信用していないことの表れで、それぞれの大学が影響を小さくする方法を考えているのが実情だ。民間に任せることの弊害として国が実態を確認し、対策を考える必要がある」と話しています。
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『大学入学共通テスト 英語の民間試験 海外の業者による採点も』
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190516/k10011917451000.html?utm_int=detail_
 contents_news-related_002)
 今のセンター試験に代わり再来年から始まる「大学入学共通テスト」に導入される英語の民間試験。文部科学省がその採点者として、委託された海外の業者なども認めていることがわかりました。専門家は、採点の質の確保や信頼性の観点で懸念があると指摘しています。
 毎年50万人余りが受験する今の大学入試センター試験は来年が最後となり、再来年1月からは「大学入学共通テスト」が始まります。
 このうち英語は、書く力と話す力を新たに測定するため、7つの民間事業者による英検やTOEICなどの検定試験が導入されます。再来年1月の受験生は来年4月から12月にかけて、これら民間試験を2回にわたって受け、そのスコアが受験する大学に提供される仕組みです。
 試験の採点者について、文部科学省は受験生が在籍する高校の教職員を除くこと以外、条件をつけていませんが、関係者によりますと、アジアなど海外の委託業者や学生のアルバイトなども採点者として認められていることがわかりました。
 これについて、7つの事業者を取材すると、大卒以上で、英語の指導歴が3年以上あることを採点者の基準としているところがある一方、海外の英語を話す人とだけしているところや、「機密事項」として基準を公表していないところもありました。
 入試制度に詳しい東京大学高大接続研究開発センターの南風原朝和前センター長は「どの国で採点されているかも分からないくらいなので、国の共通テストとして利用するならば、採点者の資質が分かるデータを提供してほしい。外国での採点などは質の確保や信頼性の観点で懸念がある。国は実態を確認し、対策を考える必要がある」と指摘しています。
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『文法もつづりも間違いでも得点 数々の疑問 英語民間試験』
 今のセンター試験に代わり、再来年から始まる「大学入学共通テスト」に新たに導入される英語の民間試験に対しては、さまざまな疑問の声が上がっています。
 西日本の高校で英語を教えている教員は去年、生徒が受けたある民間試験の採点に疑問を持ちました。「地域をきれいにするためにできることは何だと思うか、1つ取り上げて理由を書きなさい」という英作文の問題で、生徒の解答用紙には「I think to inportant」としか書かれておらず、文法や単語のつづりも間違っていました。この教員は、過去に民間試験の採点に関わった経験があり、自身ならば「0点」にすると言いますが、業者から返ってきたスコアは160点満点中41点だったということです。この試験の採点はアジアなど複数の国の業者に委託するなどして行われているといいます。
 この教員は「自分の能力を測定するだけの検定試験なら、生徒のやる気を損なわないため、多少甘い採点もあり、かもしれない。しかし、入試に使われると思うと、満点の4分の1もの点が付いているのは疑問だ。本番でもきちんと採点が行われるか不安があるし、ある試験の採点がやさしいと評判になったらそこに受験生が殺到して結果的に公平な評価にならず問題だ」と話しています。

<各事業者で採点基準が大きく異なる>
民間試験を実施する7つの事業者は、採点者の基準やその公表方針が、それぞれ大きく異なっています。
▽「ケンブリッジ英語検定」は、大卒以上で英語教育に関する資格を保持し、英語の指導歴が3年以上などとしています。
▽「TOEFL iBT」は、大卒以上で英語の指導経験があるなどとしています。
▽「IELTS」は、大卒以上で英語教育に関する資格を保持し、英語の指導歴が3年以上などとしています。
▽「TOEIC」は、大卒以上で英語教育に関する資格を保持し、一定期間の指導経験があることなどとしています。
▽ベネッセコーポレーションが実施する「GTEC」は、海外の英語を話す人で、採用試験に合格した者、などとしています。
▽「英検」、「TEAP」、「TEAP CBT」は、いずれも日本英語検定協会が実施していますが、採点者は国内・海外を問わないが、応募資格などは「機密事項」につき公表できないとしています。

<異なる試験の点数どう平準化 受験料もまちまち>
 採点以外にも課題が指摘されています。1つは異なる試験によるスコアをどこまで公平に平準化できるかです。この手段として国は、国際的にも使われている「CEFR」という指標を用いるとしています。
 しかし、目的や手法も異なる試験のスコアをどこまで公平に評価できるのか、問題視する意見が根強くあります。また、試験によって受験料がまちまちで、6000円ほどから高いものでは2万5000円を超えるものもあります。
 大学入試センターに提出できるスコアは2回ですが、練習で試験を受けることも可能です。このため、家庭の経済状況や地域によって受験機会に格差が生じることも懸念されています。
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注:上記の記事の内容はかなり重複していますが、ここでは別記事として扱っています。

 4つの記事の引用でかなりの長文となりましたが、最後までお読み頂いた方は新しく実施される英語の試験が現在どのような状況になっているのか、お分かり頂けたと思います。文科省は民間試験の採点方法に関して充分な資料を集め、関係者と綿密に連絡を取り、採点方法の裁可を決めなくてはなりません。一国を代表する大学入試問題に変わる試験の採点を全く部外者の外国人に任せる国がどこにあるでしょうか。少なくとも私は聞いたことがありません。
 特に多くの高校生が受験している「英検」はCEFRという国際基準を数年前から採用していますが、具体的な採点基準は公開していません。民間業者の試験を「大学入学共通テスト」に採用するなら、具体的な採点基準を詳細に公表すべきです。またTOEICはビジネスに関する問題が多数出題され、高校生には不利な試験です。また試験問題を持ち帰ることができず、自分の取った点数しか分かりません。
 このように民間の英語試験を利用することは大学入試として多くの問題があり、早急に改善されませんと、2020年度の試験のために来年から民間の試験を受験することになります。文科省はこの問題に対して真剣にかつ緊急課題として取り組む必要があります。受験生の一生が左右される大学入試です。安易に考えてもらったら困ります。わずか1点で合否が分かれる入試を公正にかつ平等に扱う姿勢が文科省に問われています。

2019年05月19日