#602 手のひらを太陽に
お盆休みも今日で終了し、明日からまた普通の生活に戻ります。社会人は各々の職場に戻り、中学生・高校生は課外授業や部活動が始まります。小学生はあと1週間夏休みがありますが、福岡市は8月27日より2学期が始まります。なお大牟田市では公立の小中学校は2学期始業式が26日となっていますが、今年度より小学校は2学期制を採用していますので、9月末までが前期となります。ひと昔前は9月1日が2学期の始業式となっていましたが、1学期中に台風や梅雨末期の豪雨のために臨時休校が増えたためでしょうか、最近では始業式が数日前倒しになっています。つまり夏休みが短くなっています。子供たちにとっては不幸な変更です。
さて、「僕らはみんな生きている…」で始まる「手のひらを太陽に」という歌がありますが、私が小学生の頃に流行していました。てっきり童謡だと思っていましたが、この歌の作詞は「やなせたかし」氏だったことを後で知りました。現在NHKの連続ドラマ「あんぱん」は「やなせ夫妻」をテーマにしていますが、金曜日の放送の最後の場面で、この歌の歌詞の一部が登場しています。
なやせたかし氏は「アンパンマン」の作者として特に有名ですが、彼のマンガが売れるまでにかなり苦労した作家です。この件については「あんぱん」でもかなり詳細に描いています。いわゆる大器晩成型の人物と言えるでしょう。やなせ氏が作詞した「手のひらを太陽に」に関してのいきさつをウィキペディアでは次のように説明しています。
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『手のひらを太陽に』
「手のひらを太陽に」(てのひらをたいように)は、日本の童謡。作詞はやなせたかし、作曲はいずみたく。1961年に制作され、翌1962年にNHK『みんなのうた』で放送された。
1961年、作詞者のやなせたかしは日本教育テレビ(NET、のちのテレビ朝日)の朝のニュースショーの構成をしていた。その番組内の今月の歌として、自身で作詞した「手のひらを太陽に」を知り合いのいずみたくに作曲してもらい発表したもので、歌は宮城まり子が歌った。
当時のやなせは仕事は順調だったものの、劇画の時代に付いて行けず、先行きに不安を感じていた。夜中、眠くならないように暖房を消して一人で仕事をしていて、筆がとまったときに電気スタンドで手を温めていると指の間がきれいに赤く見え、子供のころに懐中電灯で手を照らして真っ赤に見えて面白かったことを思い出した。
こんなにも落ち込んでいるのに血は元気に流れていると励まされたような気がして、歌詞の一節が思い浮かんだと述懐している。また、元々は童謡ではなくホームソングを作るつもりで書いたという。なお歌詞の中でアメンボが出てくるが、これは当初はナメクジであった。
1962年、 NHK『みんなのうた』で、宮城まり子とビクター少年合唱隊の歌唱、映像はやなせ自身制作のアニメーションで放送された。当時、歌は反響もなくヒットしなかったが、
1965年にボニージャックスが歌ってキングレコードから発売され、その年の紅白歌合戦で歌唱すると、反響を呼び広く知られるようになった。
1969年からは小学校6年生の音楽の教科書に掲載された。2006年に日本の文化庁と日本PTA全国協議会が、親子で長く歌い継いでほしい童謡・唱歌や歌謡曲といった抒情歌や愛唱歌の歌101曲を選定した日本の歌百選にもなっている。
2011年7月27日には「手のひらを太陽に」制作50周年を記念して、「手のひらを太陽に」を含む「作詞:やなせたかし、作曲:いずみたく」コンビの楽曲を収録したCDブック『手のひらを太陽に50周年記念CD 生きているから歌うんだ!』が3000セット限定生産で発売された。
なお、宮城まり子が歌唱した『みんなのうた』版については、1981年9月23日にNHK総合テレビで放送された『みんなのうた20年』で一部が放送されたのみで(この時点では映像は存在していた)、定時番組では長期に亘って再放送が行われていなかったが、
2011年から始まった「みんなのうた発掘プロジェクト」で音声が提供され、 2012年2月12日にNHKラジオ第1放送で放送された『リクエスト大全集・第3夜』で1番のみが放送、そして2013年2月よりラジオのみで実に51年ぶりの再放送、2021年2月にも8年ぶりに再放送された。2022年8月に三度再放送される。手話バージョンも制作されている。現在は、小学校2年生の教科書に掲載されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/手のひらを太陽に
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アンパンマンは困っている人に自分の顔を食べさせますが、これはやなせ氏が一兵卒として中国で過ごした時に飢餓状態に陥った経験から思いついたものです。ちなみに福岡市の博多リバレインモールに「福岡アンパンマン子どもミュージアム
in モール」があります。
やなせ氏は94歳で他界しましたが、彼の人生体験に基づいた素晴らしい至言をたくさん残しています。最後にそのいくつかを紹介します。(星雲社「やなせたかしの言葉」より)
・逆転しない正義は献身と愛だ
・うまくいかなかった人生も糧となる
・困難な状況でも楽しみを見つけよう
・人生は苦楽が混じり合うからこそ味わい深い
・人は誰かを思い、誰かに守られながら生きている
・運は努力して呼び込むもの
・幸運はあきらめない人のところにやってくる
・成功するために命がけで考えろ
・努力する日々こそ価値がある
・つらい経験は最良の修業と捉える
など、全部で80あります。興味がある方はぜひ購入してください。
星雲社「いくつになっても夢を追い続ける やなせたかしの言葉80」桑原晃弥