#234 高齢者ドライバーは老害?

 ゴールデンウィーク10連休がいよいよ始まりました。この長い連休を利用して海外や国内の観光地を訪れたり、里帰りや近くの山や海に出かける方が多いと思います。また家でのんびり過ごす方もいらっしゃることでしょう。せっかくの10連休ですので有意義に過ごしたいものです。一方ではデパートなどのサービス業に携わっている方々は残念ながら連続して休みを楽しむ機会がないと思います。そういう意味では国民全員がこの10連休を楽しむわけではありません。
 さて、連休と言えば多くの人が近場で楽しむのではないでしょうか。地元の繁華街での買い物や近くの公園等で家族と過ごされる方が多いと思います。しかし、この時期に気を付けておかなければならないのが交通事故です。市街地や高速道路で頻繁に交通事故が起きています。自分の身の安全は自分で守らなければならない時世です。それでもどうしても避けられない事故もあります。昨今頻繁に発生している信号無視等による車の突っ込み事故です。特に問題になっているのが高齢者による交通事故です。
 先日通勤の準備をしている時にたまたまテレビをつけていたのですが、高齢者による事故の瞬間を特集していました。信号無視はもちろんのこと、逆走、線路内への車の侵入、そして先日池袋で発生した87歳の高齢者による親子2人の死亡を含む多数の死傷事故など枚挙にいとまがありません。もちろん交通事故はドライバーの年齢にかかわらず、全世代を通じて発生しますが、歩行者を巻き込む事故は圧倒的に認知症を含む高齢ドライバーが原因となる場合が昨今では多いようです。
 このような悲惨な状況をどうして避けることができないのでしょうか。事故を起こした高齢者の家族は以前より自分の高齢の親に運転を止めるように説得してきましたが、本人が納得しなかった旨の発言をしています。確かに小さい子供を叱るのは簡単ですが、高齢者を納得させて運転免許を返納させることは本人の自尊心もあり、とても難しいと思います。まして子供を叱るように自分の親を叱ることはなかなかできないと思います。一度死亡事故を起こしたら、若い人は一生かけて賠償金などの償いができますが、高齢者は経済的な理由や余命の関係などで不可能です。事故を起こした加害者が寿命で亡くなりますと、当然被害者への補償は高齢者の家族が引き継ぐことになります。つまり親子2世代にわたり被害者への償いをすることになります。高齢者ドライバーはこのことを十分理解しておかなければなりません。死傷事故を起こした場合は自分だけの問題では済まないのです。
 家族による高齢者ドライバーの免許返納が難しい現状では、残念ですが運転免許に法的規制をする必要があるでしょう。一案として次のようなことが考えられます。
(1)70歳以上の運転免許所持者に対して毎年筆記試験と実地試験を行う。筆記試験では選択問題だけ
   でなはく、筆記試験も行う。筆記試験を行うことで認知症の度合いを判定できる。
(2)実地試験では自動車学校や公立の運転免許試験場を使用して、複数の車を走らせて実際の運転に近い
   状況を作り出し、運転技術を確認する。脱輪や信号無視等の違反は免許更新ができない。
 上記の試案では認知症のドライバーを排除できるとともに、年齢にかかわらず元気な高齢者は何歳になっても車を運転できることになります。公的な試験を課すことにより、運転を続けたい高齢者なそれなりの努力(交通法規を覚え直したり、自分の運転技能を見直すなど)をする必要があります。試案のポイントはこの試験を毎年実施することです。毎年行うことで高齢者の認知症の程度を把握できますし、体力や身体上の問題を抱えている高齢者に注意を促すことになります。ただしこれを実施するには多額の費用や負担が生じますが、現状のままでは高齢者による事故が増加の一途をたどり、次の令和の時代には大きな社会問題と発展するでしょう。それを防ぐためにはどうしても法的規制が必要になると思います。ただし、運転免許返納者への考慮として特に地方の公共交通機関の充実が望まれます。少なくとも30分おきにコミュニティバスが利用できる等の利便性が必要です。より安全な社会となるよう、様々な工夫が求められます。
 せっかくの10連休です。事故のない楽しい連休となるように交通事故には十分注意して、平成の終わり、そして令和の始まりに相応しい思い出になるような休日をお過ごしください。

2019年04月28日