#310 Gifted(ギフテッド)

 今日は梅雨の中休みで昼過ぎから晴れ間が見えるようになりました。今年も梅雨入りして、かなりの雨が降りました。洪水警報が出るような降り方はまだありませんが、降る時とそうでない時がはっきりしていますので、警報に対する準備はしやすいと思います。
 さて、世の中には様々な人がいます。優れた才能や能力を持つ人も確かに存在しており、平凡な私から見ればうらやましい限りです。以前NHKでも放送していましたが、ギフテッドと呼ばれる人々がいます。知能指数(IQ)がずばぬけて高く、いわゆる天才と言われている人たちです。この人たちに関する面白い記事を見つけましたので、ご紹介します。
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『天才の原石“ギフテッド” 基礎学習に使う時間短く議論好む』
 高いIQを持ち偉業を成し遂げた人を天才と呼ぶならば、その“原石”といえる人たちがいる。「ギフテッド」と呼ばれる人たちだ。ギフテッドは“天から才能を授かった人”を意味する。おおよそIQ130以上という高い知能や才能を生まれつき持つ人を指し、その人数は諸説あるが「人口の約2~5%」といわれる。全人口の約70%はIQ85~115の間に収まるとされるので、ギフテッドがいかに高い知能を持つかがうかがえる。
 米シリコンバレーにある「ヌエーバスクール(以下、ヌエーバ)」は、そんなギフテッドを対象にした学校、いわゆる「ギフテッドスクール」の1つだ。ギフテッド教育の専門家で、ヌエーバで15年にわたって日本語を教えてきた川崎由起子さんは次のように言う。
 「ヌエーバは1967年に創立された、ギフテッド教育の先駆けといえる存在です。入学できるのは、IQが135以上と認められた子だけ。1学年18名の定員に100名以上が応募するため、“ハーバード大学よりも厳しい競争率”といわれています」
 ヌエーバのようなギフテッド教育(才能教育)で先行してきたのはアメリカだという。才能教育の第一人者で、関西大学教授の松村暢隆さんが解説する。
 「20世紀の初め頃にアメリカが才能教育に取り組み始め、20世紀後半になって世界でも活発化してきました。その背景にはアメリカと旧ソ連を巡る東西冷戦があります。ソ連が世界初の人工衛星の打ち上げに成功したことで、アメリカは“ソ連に負けるな”と国をあげて才能教育を活発化させたのです」
 アメリカでは1978年、才能教育の対象となる「才能児」が法律によって定義付けされた。「知能、創造性、芸術、リーダーシップ、また特定の教科が著しく優れた能力がある子」だという。才能児には、普通の学校のカリキュラムではない特別な才能教育が行われるようになっていった。そうした動きはやがて、世界全体へと広がっていく。
「中国や韓国、シンガポールでは“国家に役立つ人材養成を目指す”という教育理念のもと、才能教育が行われています」(松村さん)
 ヌエーバのようなギフテッドスクールはその代表例だ。「ヌエーバではさまざまな分野の次世代のリーダー育成を目指して、才能教育が行われています。制服もチャイムもなく、席も決まっていない。生徒の自主性に任せた校風です。時間になれば生徒は教室に来て、好きな場所で自由に勉強します。
 国語や数学などの基礎学習も行われますが、得意な教科があれば先に進めるようにマンツーマンで教えるなど“得意を伸ばす”教育が重視されています」(川崎さん・以下同)
 そうした教育方法を取ることで、通常のカリキュラムよりもずっと短い時間で学習を進められるようになるそうだ。そもそも、ギフテッドは記憶力が高く、基礎学習に使う時間が非常に短いという。
「日本語の学習でも、普通の学校なら50音の修得に3か月かかるところ、ヌエーバの生徒は1か月もかからず覚えていました。ギフテッドの子は学習能力も意欲も高く、例えば『あいうえお』を教えなくても、興味を持つと自然に五十音を覚えて本を読めるようになります」
 実は川崎さんの娘さんもギフテッドで、4才からヌエーバに通っていた。
「小さい頃から変わった子でした。3才の誕生日には“今日からおむつはいたしません”と宣言して、実際におむつをはかずに過ごすような子でした(笑い)」
 3才児とは思えない大人びた発言だ。ギフテッドには大人と話すのが好きで、大人びた子供が多いという。「同年代の子供と話すのでは、もの足りないのかもしれません。ギフテッドは好奇心が強く、興味を持って調べたことを誰かに伝え、議論することを好みます。ヌエーバの中学生の中には、日本の『禅道』について自ら調べ“自分ならこう考えるけど、日本人はこう考えるよね。先生ならどう考える?”と尋ねる子もいました」
 ギフテッドはボキャブラリーが豊富という特徴も持つ。“ひふみん”の愛称で親しまれる棋士の加藤一二三九段(80才)も、そのずば抜けた記憶力からギフテッドとされる。いまでもプロ63年の対局すべてを思い出せる、常人離れした記憶力の持ち主だ。
 川崎さんの教え子の1人に、米フェイスブック社のシステム部門幹部を務めるアマン・クマール氏がいる。現在32才のクマール氏は、エストニアのIT分野の国家アドバイザーも務めている。「彼は日本語の50音を1日で覚える抜群の記憶力を持っていました。ハーバード大や米プリンストン大学といったエリート大に合格する、素晴らしいギフテッドでした」
 1946年には高IQの人々が知的交流を深める「MENSA」が設立され、2016年にはソフトバンクの孫正義会長が「孫正義育英財団」を設立するなど、“世界の天才”を支援する場所は年を経るごとに増えている。
 才能教育を受けたギフテッドが、その才能を生かして世界で活躍する例は多い。“世界一のIQを持つ”といわれるマリリン・ボス・サバント氏(73才)もその1人だ。「米ミズーリ州で生まれたサバントさんは、10才のときに成人向けの知能検査に全問正解しました。そこで、『IQ228』『精神年齢22才11か月』という桁外れの記録を打ち立て、才能教育を受けるようになりました。“映画は受動的で頭を使わない。脳によくないので見ない”という、独自の考えを持っていると聞きます」(海外メディア関係者)
 サバント氏の「IQ228」という数字はギネス世界記録に認定された。一般に、東大生のIQの平均は120といわれ、アインシュタインのIQは160~190と推定される。サバント氏は、“アインシュタイン超え”の才能の持ち主といえるだろう。
 彼女は現在、コラムニストとして活躍している。米誌『パレード』で「マリリンに聞く」というコラムの連載を持ち、25年以上読者の質問に答えてきた。
 読者からの投稿は多岐にわたり、「モンティ・ホール問題」という確率論の問題や“妻やマッサージ師に足を揉んでもらうと気持ちいいのに、自分で揉んでも気持ちよくないのはなぜか”という素朴な疑問など、さまざまなものが寄せられた。サバント氏はそうした質問に対して、「人に対する洞察力が深まるので、いつも楽しみにしている」と述べている。
 ちなみに、先の質問の答えは「自分自身でくすぐってもくすぐったくないのと同じ。人間の体は四六時中刺激を受けているから、自分が与える刺激は弱く感じるように脳が進化した」のだという。
(https://www.news-postseven.com/archives/20200614_1569697.html?DETAIL)
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いかがでしたか。ギフテッドのみならず、人は様々な才能や素質を持って生まれてきます。私のように長年教師をしていますと、高い学力や優れた運動能力を持っている様々な生徒に出会います。もちろん、その割合はごく僅かですが、確かに存在します。また一方ではLD(学習障害)の持つ生徒も確かに存在し、人間の能力の幅が大きいことに驚きます。
 しかしながら、このことは人間の優劣ではなく、単にその人間の個性と思うほうがよりふさわしいかも知れません。ギフテッドに生まれついても、必ずしもその才能を活かせるとは限らず、またLDを持っている子供でも幸せに生きる人生が待っているからです。短い一生の間に、いかに自分らしく生き切ることが本当のギフテッドだと言えるのではないでしょうか。

2020年06月21日