#329 アインシュタインの言葉

 今日から11月です。歳月の経つのは早いもので、今年も残り2か月となりましたが、全くそのような気持ちになりません。おそらく新型コロナのせいで全国の多くの学校が2か月ほど授業が中止になり、そのせいで時間の流れが心の中で止まっているせいでしょう。また日中の暖かさも相まって、まるで9月末のような感覚でいます。
 さて、書棚で探し物をしていると懐かしい本が出てきました。30年ほど前に私が出した英語の問題集です。「基礎英文問題精講 Brush-Up Test 60」(旺文社刊)の初版で、当時福岡雙葉の生徒のために福田美代先生と私が共同で作成した原稿を旺文社に打診し、問題集にしていただいたものです。この問題集は版を重ねながら今でも発売されています。その中に何度読み直しても心に残るアインシュタインの名文がありますので、ここに紹介いたします。
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 この地上における我々の立場は不思議なものである。我々はみなこの地球を訪れて、つかの間、地上に滞在する。-----なぜそうなるかはわからないが、ときにはある目的を推測することができるように思われることもある。しかしながら、日常生活という観点からすれば、我々が確かに知っていることが1つある。それは、人間は他人のために-----とりわけ、その人々のほほえみと幸せに我々自身の幸せがかかっている人々や、その人々の運命と我々が共感のきずなによって結ばれている数知れない見知らぬ人々のために-----この世に存在するということである。

 Strange is our situation here upon earth. Eachof us comes for a short visit,
not knowing why, yet sometimes seeming to drine a purpose. From the
standpoint of daily life, however, there is one thing we do know: that man is
here for the sake of other men ----- above all for those upon whose smile and
well-being our own happiness depends , and and also for the countless unknown
souls with whose fate we are connected by a bond of sympathy.
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 アインシュタインの名文ですが、構文や文法上難しい表現が目立ちます。古典の香りがする英文です。分かりやすく要約すると次のようになります。
「私たちは何処からかこの世に生まれて短い人生を過ごします。その短い間、他人のために私たちが生き、お互い幸せになるように、生きることが人生の目的です。」
 確かに本人が意識しているかどうかにかかわらず、他人の幸せのために生きている人は幸せです。他人の身体的幸せには医療従事者や介護関係者が当てはまることでしょう。また周囲に笑顔を振りまく人も幸せを他人に与えています。自分がどんな立場に置かれても周囲の人を幸せにするような生き方をしている人は幸いです。それが個人の幸せや社会の幸福につながります。今の世の中に必要な存在です。

2020年11月01日