#284 感染列島

 今日は朝から春霞のかかったような空模様で、2月が始まったばかりですが、3月初旬のような陽気です。この春のような陽気に誘われて近くの大牟田市動物園の上にある貯水塔に久しぶりに行ってきました。ここは延命公園内にあります。正式名称は「延命貯水池展望台」と言います。当塾から歩いて10分ほどの距離です。その途中に大牟田市を舞台にした映画「いのちスケッチ」のロケ現場の動物園がありますが、チケット売り場には親子連れの列ができていました。展望台の上から大牟田市や荒尾市の一部、そして有明海や遠く島原、雲仙も一望できます。冬枯れた街の風景が印象的でした。
 さて最近毎日トップニュースになっているのがコロナウィルスによる新型肺炎の感染です。本日のNHKのニュースでは「今回の感染拡大に伴う死者は300人を超え、患者の数も2590人増えて1万4380人となった」と報道しています。ご存じのように、日本でも感染者の数が拡大しており、日本政府は今回の新型のウイルスによる肺炎などの感染症を感染症法の「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」にする政令を当初の予定より前倒しして昨日施行しました。この新型ウィルスによる感染がいつまで続くのか分かりませんが、確実に世界中に拡大しています。
 この新型ウィルスの感染拡大に関連して、ふと数年前にテレビで放映された映画を思い出しました。妻夫木聡、檀れい主演の「感染列島」です。この映画をご覧になっていない方に長くなりますが、この映画のあらすじをご紹介します。
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 新型インフルエンザの発見から3ケ月後の日本が舞台である映画です。ある日救急救命士の松岡(妻夫木)のもとへ、インフルエンザと思われる患者が運ばれてきます。松岡はインフルエンザとはみなさず、薬を渡して患者を帰します。しかしその翌日、同じ患者がまたしても運ばれてくることに。しかも昨日とは状況がまったく異なっていて、あらゆる処置が効果を発揮しません。患者は口からも目や鼻からも血を流して死亡してしまいました。
 同時に搬送された、患者の妻真鍋だけは助かります。医療スタッフとWHOは、「これは新型インフルエンザではないか」と疑い始めますが、すでに感染は急スピードで広まっているのでした。院内も徐々に戦場の様相を呈していくことになります。
 新型インフルエンザの広まりを食い止めるためにWHOから一人の人物が日本へ派遣されます。それは松岡の元恋人である小林(団れい)でした。小林は、「この感染症が国内に広まったら3ヶ月以内に交通網・都市機能がストップ、6ヶ月後には感染者数が数千万人になる」というショッキングな予測を知らせます。小林も加わって医療チームは懸命に対処にあたりますが、感染を食い止めることがなかなかできません。
 ついには医療スタッフにまで感染が広がり始めてしまいます。焦りと恐怖が募るスタッフですが、小林と松岡はある1つの疑問を抱きます。それは潜伏期がまったくないことと、発症から死に至るまであまりにも早いという2つの特徴でした。これらのヒントから、小林と松岡は、「新型インフルエンザではない」という仮説を立てます。「パンデミック」と名付けた謎の感染症の感染源とウィルスを突き止めるため、二人の新たな戦いが始まるのでした。
 しかしそうしているうちにも感染者の数は全国で数千万人を超える莫大な数に。それまで献身的に働いていた看護師も、夫と娘を残してこの世を去ってしまうのでした。
 松岡は違法と知りながらもウィルスの正体を突き止めるために、ウィルス研究者の鈴木に検体を渡して調査を依頼します。同時に、鳥インフルエンザの権威である仁志とともに、ウィルスの発症となった地を探し始めました。
 第一感染者である真鍋の家を訪れると、真鍋の父は海外で活躍する医師であるが行方不明で帰国時に体調が悪かったことがわかります。その地を訪れると、感染症と似た症状の患者がいて、感染地が判明します。さらに松岡と仁志は、洞窟内に潜むコウモリが感染源であることまで突き止めました。
 その頃、ウィルス研究者の鈴木も病原体の解明に成功し、ワクチンの作成が進められます。しかしワクチンの完成までは半年ほどかかり、それまで生き延びられるかが問題に。
 小林はパンデミックの患者に血清を輸血する方法を松岡に教えて遠方に旅立ちます。しかしとうとう小林もパンデミックに感染してしまいます。松岡と知り合った養鶏場の娘の夏緒も感染していましたが、松岡は第1感染者から採取した血清を夏緒に打ちます。
夏緒は奇跡的に回復し、松岡は血清が効果を出したことを確かめます。
 血清を持って小林のもとへと急ぐ松岡でしたが、小林はすでに命を落としていました。松岡はかつて小林がガンで弟を失ったことを思い出します。どれほどつらい状況でも、「明日はある」と伝えられる医師でいてほしいと、小林の弟は望んでいました。
そのことを伝えられず後悔する松岡。半年経過してようやくワクチンが完成し、パンデミックは鎮静化に向かうのでした。
(https://magazinekuchico.jp/movie/映画『感染列島』のネタバレあらすじ/)
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 この映画の中で感染した患者が病院に殺到しますが、その場面が現在武漢の病院の待合室で多くの人達が診察を待っている姿と重なります。一見するに値する映画です。日本国内で最悪数百万人の重症感染患者が発生した場合にこのような状況になると思われます。
 現在新型ウィルスがどのような広がりを見せ、どのように収束するかは誰も分かりません。このウィルスがインフルエンザのような性格を持つものであれば、夏前に収束することも考えられますが、WHOも現在判断できない状況です。また東京オリンピックも控えていますので早急な防疫対策が必要となります。特にオリンピックには世界各地から選手や観衆が集まってきます。それまでに終息宣言を出しませんと、オリンピック自体が中止になってしまします。今後の新型ウィルスの動向を注視したいところです。

2020年02月02日