#651 本物不在の時代
梅雨明け後に毎日厳しい暑さが続いています。特に九州北部では35度を超える日が続いており、大宰府では39度を記録しました。また台風9号は石垣島と宮古島の中間を通り現在中国へ向かっていますが、両島に大きな傷跡を残しました。今日現在被害の全容は明らかになっていませんが、今後も同様の規模の台風が発生する可能性がありますので、充分注意する必要があります。
さて実力歌手として知られている菅原洋一氏が亡くなりました。ネットでは次のように説明しています。
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『歌手の菅原洋一さん死去 「知りたくないの」「今日でお別れ」』
「知りたくないの」「今日でお別れ」などで知られる歌手の菅原洋一(すがわら・よういち)さんが5月31日、悪性リンパ腫のため死去した。92歳だった。葬儀は家族で行った。喪主は妻アケミさん。
兵庫県加古川市出身。中学時代からタンゴにとりつかれ、国立音楽大学卒業後、タンゴ喫茶で歌っていた。タンゴ楽団「早川真平とオルケスタ・ティピカ東京」のバンドマスター早川さんに見いだされ、1958年、タンゴ歌手としてデビュー。67年に「知りたくないの」が80万枚を突破する大ヒットを記録した。低音を巧みに生かした味わい深い歌唱で、一躍実力派シンガーの座に上り詰め、同年の紅白歌合戦に初出場。以降も白組のエースとして、88年まで連続22回出場した。
68年には「誰もいない」で日本レコード大賞歌唱賞、70年には「今日でお別れ」で日本レコード大賞を受賞した。
歌謡曲の世界を越え、幅広いジャンルで活躍。「タンゴの王様」のアルフレッド・ハウゼ楽団の公演に参加したり、「カンツォーネの女王」のミルバと共演したりした。2000年代以降は、生演奏と生の歌声にこだわった「ニュークラシカルコンサート」に力を入れた。今年4月にもステージに立ち、生涯現役を貫いた。
https://www.asahi.com/articles/ASV6224F9V62UCVL013M.html
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J-POP隆盛の時代の中でまた一人本格的な歌手が亡くなりました。菅原さんは90歳を超えてもなお美声を維持し、多くのコンサートを開いていました。菅原洋一といえば歌謡曲の歌手というイメージがありますが、実際彼のCDを聞きますと、幅広いジャンルの楽曲をみごとに歌いこなしています。例えば演歌だけの歌手や歌謡曲だけの歌手は少なくありませんが、あらゆるジャンルを歌いこなす歌手はそれほどいません。彼は安心して聴くことができる歌手の一人でした。本当に残念の一言です。
昔の歌手はプロの指導者から歌の基礎を徹底的に教わり、名曲を世に出し、世代を超えて多くの人から愛されていました。それに対して現代のシンガーは自分の世代にのみ通用する楽曲を歌い、まるで学芸会のような雰囲気を醸し出しています。特に年末にNHKの紅白歌合戦を見ていますと、知らないバンドや歌手が多く出演して歌っていますが、はたして何人が全世代に通用するシンガーでしょうか。首をひねるばかりです。
本物の歌手が日本だけでなく世界的にも少なくなってきました。1960年代以降シンガー・ソング・ライターの登場と共に彼らの世代に訴える歌が世に出てきましたが、必ずしも一般の人々に受け入れられているわけではありません。「歌は時代と共に、時代は歌と共に」とよく言われますが本格的な実力派の国民的歌手の登場は少なくなってきました。
歌も商業主義と共に売れる歌しかネットでは配信されず、CDの売り上げも悪化し、国内のCDショップの数が減少してきています。実際CDショップに入店してもCDの数が以前と比べてはるかに少なく、客の入りもわずかです。これでは音楽産業自体も傾いていくことになります。インディーズ・レーベル(自主制作)による音楽の自主活動は評価できますが、以前のように大ヒットするような名曲は生まれないでしょう。本格的な実力派の歌手が登場することを待ち望みたいものです。
これは音楽だけでなく、あらゆる分野に当てはまります。特に政治の分野では大きく劣化しています。例えば福岡県政が今問題となっていますが、全体的に政治家の劣化や選挙に対する市民の意識の低さはこれを如実に物語っています。
それぞれの分野において一人ひとりが本物になる努力をしないと、社会や国自体が疲弊してしまいます。私達一人ひとりが物事にどれだけ真剣に取り組むかによってこの国や世界の将来は決まります。まさに現代は本物不在の時代と言えるでしょう。