#608 似たり寄ったり
今日は9月最後の日曜日です。今週の水曜日から10月が始まりますが、秋の気配は全く感じられず、残暑がまだまだ続きます。そして短い秋の後に一気に冬が訪れることでしょう。徐々に秋になってくれれば体調管理がしやすいですが、一気に寒くなりますと今度は寒さ対策に充分な工夫が必要です。
さて、日本の今後を決める自民党の総裁選挙が10月4日(土)に実施されます。次回のブログが出る頃には新しい総裁=総理大臣?が決定しているでしょう。はたして誰が総裁になるでしょうか。マスコミも様々な情報を流して予想していますが、候補者の情報を公平に伝えているわけではありません。あくまでも自分たちの都合の良い情報を流しています。自民党員でない大半の国民にとって、ふさわしい総裁は誰か気になるところです。そのような情報が溢れる中で、一風変わった情報を与えてくれている人がいます。国際関係アナリストの北野
幸伯氏です。今日は彼独自の視点から総裁選の見方述べている彼のブログから転載します。
(パワーゲームメルマガ 9/27付)
----------
『次期総裁に相応しいのは誰?5人を徹底比較』
パワーゲームメルマガ読者の皆さま こんにちは!
今日本で一番話題なのは、「誰が自民党の次期総裁になるか」でしょう。5人候補がいますが、どんな人なのでしょう?「勝ちそう」な有力候補は、高市さん、小泉さんといわれていますが。少し、5人の候補について知っておきましょう。
▼小林鷹之さん(50歳)
この方は、親中の二階派に属していました。一方で、東京大学法学部を卒業し、ハーバード大学ケネディスクール(=ケネディ行政大学院)を卒業した知米派。
小林さんの「気になる点」は、元財務官僚であることです。1999年に東大を卒業し、大蔵省に入省しています。2010年に退官しているので、11年間大蔵省、財務省にいたことになります。
9月22日の演説では、「所得税の定率減税」などを訴えました。減税期間は、2年間だそうです。しかし、2年間の定率減税の後に、より抜本的な「所得税制改革を行う」としています。
2024年の衆議院選挙で示された民意は、「国民負担が重すぎる!」「手取りを増やしてくれ!」「減税してくれ!」です。だから、「手取りを増やす!」の国民民主党が、議席を4倍増できた。というわけで、小林さんの「所得税の定率減税」は、「国民に寄り添っている」といえます。
とはいえ、「定率減税の内容」「抜本的な所得税制改革」について、もう少し具体的にいってもらわないと、よくわかりません。「抜本的な所得税制改革」で増税されたら、たまったもんじゃありません。
▼茂木敏充さん(69歳)
東京大学経済学部卒業。大学卒業後、丸紅、読売新聞社に勤務。ハーバード大学・ケネディ行政大学院を修了。行政学修士を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。東大を卒業し、ハーバード大学・ケネディ行政大学院修了というのは、小林さんと同じです。
茂木さんは、2019年から2021年まで外務大臣でした。そして、「茂木派」という派閥の長でした。茂木派は、正式名称を「平成研究会」といいます。平成研究会の起源は親中派のボス田中角栄です。そこから竹下登が独立し、経世会を作りました。1994年に平成研究会と名前が変わっています。DNA的に、「親中派閥」といえるでしょう。
とはいえ、高橋洋一先生によると、茂木さんは「それほど親中ではない」そうです。茂木さんは、増税派なのでしょうか?茂木さんは、前回の総裁選で、【 増税ゼロ宣言 】をしていました。今回は宣言していないようで残念です。国民は、何を恐れているかというと、【 増税 】です。
「増税クソメガネ」と呼ばれた岸田さんの「長い増税リスト」を見たら、貧血起こしそうになりました。
@@必読!長い増税リスト↓
https://www.primecg.co.jp/20240116125010
ですから、茂木さんが再び「増税ゼロ宣言」をすれば、国民から好かれると思いますが。今回茂木さんは、物価高対策として数兆円規模の生活支援特別地方交付金を創設するとしています。財源は税収の上振れ分で十分対応可能だそうです。
う~む。国民は、石破給付金に「NO!」を突きつけました。茂木さんの、「数兆円規模の生活支援特別地方交付金てなんだろ~~??」という感じではないでしょうか?イメージできません。
国民に提案する政策は、国民民主党の「103万円の壁を178万円に」のように、「わかりやすい」「イメージしやすい」ことが大事だと思います。
▼林芳正さん(64歳)
旧岸田派。東京大学法学部卒業。ハーバード大学ケネディ・スクール修了。1994年、参議院議員に。防衛大臣、農林水産大臣、文部科学大臣、外務大臣などを歴任しました。日中友好議員連盟の元会長で、「親中派」と見られています。2014年、2019年の消費税引き上げに賛成。
財政再建について、「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を達成し、常に財政健全化を進める姿勢を堅持することが必要」としています。つまり「財務省の姿勢そのまま」といえるでしょう。
一国民から見て林さんの一番の問題点は、【 岸田、石破路線を継承する 】と宣言したことです。
意図は、わかります。要するに林さんは、岸田さんに支持して欲しいし、前回当選した「石破さん票」を取り込みたいのでしょう。
ですが、岸田さんは「増税クソメガネ」と嫌われて失脚した。石破さんは、1年間で衆議院選挙、都議会選挙、参議院選挙で大敗し、国民に全然支持されていません。林さんが【 石破路線を継承する 】ということは、【 国民から嫌われる 】【 必敗の道 】を歩むと宣言していることになります。林さんは、誰もが認める優秀な政治家ですが、「石破路線を継承する」は、「まずすぎるだろう」と思います。
▼小泉進次郎さん(44歳)
無派閥。いうまでもなく、小泉純一郎元総理の次男です。関東学院大学を卒業。コロンビア大学大学院を卒業。政治学修士。戦略国際問題研究所(CSIS)非常勤研究員を経て2007年に帰国。小泉純一郎の私設秘書を務める。2009年、衆議院議員に。2019年から2021年まで環境大臣。
44歳で若く、ルックスがよく、英語が堪能で、奥さんが美人な国際派。農水大臣として、備蓄米をじゃんじゃん放出し、少し人気者になりました。小泉さんは、高市さんと並んで「有力候補」と言えるでしょう。
今回小泉さんは、「党改革・政治改革」「解党的出直し」などを訴えていて、「物価高対策」とか「成長戦略」については、ほとんど触れていません。一国民として気になるのは、加藤勝信・財務大臣が、選挙対策本部長に就任したことです。
加藤さんは、ただの素人財務大臣ではありません。1979年に大蔵省(現財務省)に入省し、1995年大蔵省大臣官房企画官を最後に退官。16年間大蔵省にいたことになります。「財務省派」ということで、小泉さんが総理になれば、「増税派」「緊縮派」「暗黒時代」がつづく可能性が高そうです。
▼高市早苗さん(64歳)
無派閥。神戸大学経営学部経営学科卒業。1989年テレビ朝日のキャスターに。1990年、フジテレビのキャスターに。1993年、衆議院議員に。内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、科学技術政策、少子化・男女共同参画、食品安全、イノベーション担当)、自民党政務調査会長、総務大臣、経済安全保障担当大臣などを歴任。保守の代表的な政治家として知られています。
高市さんは、財務省とは真逆の「積極財政派」です。高市さんは、自分の経済政策を、「日本経済強靭化計画」「ニューアベノミクス」「サナエノミクス」と呼んでいました。「サナエノミクス」とは、「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「大胆な危機管理投資、成長投資」です。「アベノミクス」に似ています。
宮前 耕也 (SMBC日興証券日本担当シニアエコノミスト)さんは、高市さんについて、〈保守派のうち、高市経済安全保障相は、2021年の総裁選でアベノミクス継承を強く打ち出していた。当時、「サナエノミクス」の3本の矢として、「金融緩和」「緊急時の機動的な財政出動」「大胆な危機管理投資・成長投資」を掲げ、PB目標の一時凍結と財政出動の必要性を強調していた。現在でも、金融緩和と積極財政を推進するスタンスに大きく変わりはないとみられる。〉としています。
現状ですが、今回は、経済よりも「外国人問題」を強調している気がします。高市さん9月22日の演説は、【 保守色全開 】でした。奈良の鹿をいじめる外国人の話から入っています。
@必見 高市さんの演説。↓
https://www.youtube.com/watch?v=p_abv0Jdni4
これは「参議院選で参政党に入れた自民党員の票を確保する」目的なのでしょう。とはいえ、高市さんは、大昔からブレていないので、「変なことを言い始めたぞ」という感じはしません。
▼自民党を復活させえる人は?
2024年10月の衆議院選挙で、できたばかりの石破自民は大敗しました。勝利したのは、「手取りを増やす!」を掲げた国民民主党です。議席4倍化を実現しました。この選挙で示された民意は、「国民は、減税を望んでいる」ということです。2025年7月の参議院選挙で、石破自民は、また大敗しました。勝利したのは、
「手取りを増やす!」を掲げた国民民主党。そして、「日本人ファースト」の参政党です。 この選挙で示された民意は、「国民は、移民政策、外国人政策の厳格化を望んでいる」ということでした。
では、5人の総裁候補の中で、この二つの民意を理解している人は誰でしょうか?そう、高市さんです。
高市さんは、大昔から「日本人ファースト」。そして、大昔から「積極財政派」です。高市さんは、国民民主党と参政党の「いいところ」をミックスしたような存在です。それで、私は高市さんを支持します。
註:
このメルマガ の著者:国際関係アナリスト 北野 幸伯
「卒業生の半分は外交官、半分はKGBに」と言われたエリート大学:ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学を日本人として初めて卒業。その後、カルムイキヤ共和国の大統領顧問に就任。大国を動かす支配者層の目線から世界の大局を読むことで、数々の予測を的中。自身のメルマガは、ロシアに進出するほとんどの日系大手企業、金融機関、政府機関のエリート層から支持されている。
----------
北野氏は総裁候補者を「国民の利益」という立場から明確かつ簡潔に候補者を説明してくれています。国民総選挙で選ぶ総理大臣なら国民の民意が示されますが、自民党内の選挙では様々な利権が裏で操られ、党内のパワーバランスで総裁が決定します。その結果、日本国民にふさわしい総理大臣になるとは限らないのです。
総裁選挙運動中にSNSで自分の候補者に有利になるよう、また競争相手を貶めるように働きかけた陣営があります。また総理になれば過去のハニトラ事案で、即退陣に追い込まれそうな候補者もいます。さらに石破政策を継承すると明言する者もいます。これでは石橋氏が辞めた意味がありません。
混迷を続ける世界情勢の中で日本丸を無事に操船できる候補者を選んで欲しいものです。自民党が「終わりの始まり」を迎えるか「再生の道」を進むかは今回の総裁選挙にかかっています。