#386 福岡雙葉同窓会新53回生の方々へ

 福岡雙葉同窓会の方々、いかがお過ごしでしょうか。会報誌「ふたば」が先日届きました。会誌のスタイルが今年から冊子に変更され、編集に携わった幹事の方々は大変な作業だったと拝察いたします。ご苦労様でした。またコロナのせいで昨年に続き同窓会総会が中止になり、同窓生の方々との団欒の機会が無くなりました。そのために会報誌に20年前の高校3年生の旧担任団の近況報告が載ってますが、紙面の都合上、字数が制限され、詳細な内容が書けませんでした。そこでこのブログを借りて、あらためてご挨拶申し上げます。
 会報誌を開いてページをめくるたびに、改めて20年という年月を感じざるをえません。20年前に学園を卒業なされた皆様がすでに中堅世代としてリーダーになり社会で活躍され、あるいは家庭で子育てに日々過ごされるなど、置かれた場所で着実に花を咲かれていると思います。皆様とお会いしたのは私がまだ40代の頃でした。「歳月人を待たず」と申しますが、私は現在64歳になりました。皆様が学園で過ごされた当時の諸先生方の多くがすでに退職されています。一口に20年と言いますが、10年ひと昔、20年ふた昔で、時の流れの速さに今更ながら驚かざるをえません。
 会報誌にも書きましたが、私は2015年3月に福岡雙葉学園を早期退職して、故郷大牟田市で無料学習塾二コラを創立し、今年度で6年目をむかえます。塾名「二コラ」は皆様もご存じのように幼きイエス会創立者ニコラ・バレ神父様のお名前を拝借しています。
 早期退職して学習塾を創設した理由は会報誌には書いておりませんが、今から6年前高1から高3まで3年連続でクラス担任として、また学年主任として生徒たちと過ごし、卒業生を見送り、そして私が知っている生徒がすべていなくなったことにあります。換言すれば、学園での仕事に区切りがついたことです。もちろん定年まで勤め上げ、非常勤講師で学園に残ることも考えました。しかし残りの人生を何か別の形で過ごすことができればと考え、経済的に学習塾に通えない子どものために学習塾を創設し、終活の一環として少しでも社会貢献をすることができればと思ったのが、学習塾二コラの原点です。
 当塾には毎年8名~10名ほどが当塾で学んでいますが、経済的に困難な生徒はそれほど多くなく、毎年1~2名ほどです。その理由は様々ですが、経済的困難な家庭の両親が教育に対して理解がないことが挙げられます。親が教育に関心が無ければ、その子供たちも学習に関心を持ちません。貧困はその悪循環でもあります。この悪循環を断ち切る唯一の手段が教育です。
 毎年塾生の人数は変化します。今年度は中学3年生2名、高校3年生2名が3月に卒業し、現在コロナ禍でもありますので、新規塾生の募集を一時停止しています。コロナ禍が落ち着けば、また新しい塾生が増えてくると思います。
 現在私は塾の運営費を賄うために地元の明光学園中学校・高等学校で非常勤講師をしています。また大牟田市の学習支援事業のボランティアとして毎週木曜日に公民館で中学生を対象に英語を教えています。大牟田市は現在市内の2か所の公民館で毎週木曜日に学習支援活動を行っています。主に小学生と中学生が集まり、基本的に個別指導の形式で学校の宿題や課題に取り組んでいます。中学3年生は高校入試に向けて受験勉強を行います。
 同窓生の皆様は社会で様々な経験を積み、学生時代には経験しなかった出来事や困難に直面されたことも多々あることでしょう。時には不条理な周囲の非難や態度に振りまわされたこともあるでしょう。これからも様々な嫌なことを経験することと思います。そのような時に学園で学んだことを思い出してください。シスター達から学んだこと、聖書の中の一節、先生たちが励ましてくれた言葉など。当時は気づかなくても自分を励まし支えてくれる言葉が心に残っているものです。学園で学んだものが有形無形となり皆様の人生の指針になってくれます。
 皆様はこれからも様々な場面でご活躍なさると思いますが、学園は人生の教育の原点です。次の世代の方々(子や孫)に学園から頂いた宝物(愛と奉仕の精神)を伝えてあげてください。そして実り多き人生を歩んでください。またいつかお会いしましょう。それまでお元気でお過ごしください。

追記:上記の拙文は福岡雙葉学園同窓会新53回生の方々だけでなく、私が関わった全ての卒業生・同窓生の方々に捧げます。

2021年07月04日