#82 シスター渡辺の思い出

 昨年末(12月30日)に岡山のノートルダム清心学園理事長のシスター渡辺和子さんが帰天されました。偶然その日に当塾に参加している受験前の生徒にシスター渡辺の著書を紹介したことを奇縁に思っています。私はシスター渡辺とは直接面識はありませんが、若い頃よりシスターの著書を何度も読み返し、市販されている本はほとんどすべて所有しています。シスターの講演会のCDも持っています。
 またシスターの講演会には3回ほど参加したことがあります。最初は今から20年ほど前に福岡雙葉学園創立60周年の記念講演会でシスター渡辺は心温まる講演をなさいました。当時は背の高いシスターの印象を受けましたが、3年ほど前に福岡で行われました講演会では小柄なおばあちゃんシスターの印象に変わりました。シスターの話では骨粗しょう症で身長が12㎝ほど低くなったとのことでした。世間には「置かれたところで咲きなさい」の小冊子が有名だと思いますが、PHP文庫からもシスターの本がたくさん出ていますので、興味のある方は一度ページをめくって見て下さい。シスター心温まる珠玉の言葉がいたる所に見出せます。
 思い返せば、私のこれまでの人生で多くのシスターに助けられてきました。福岡雙葉学園の幼きイエス会のシスター方、特に故シスター・アガタには大変お世話になりました。私が教科主任をしていた時に入試問題の添削をシスターにいつもお願いしていました。病弱でありながら、快く引き受けてくださいました。シスターが入院されたときにお見舞いに行きましたが、最後のお別れの際に握手して頂いた手の感触は今でも残っています。
 それからオーストラリア留学時代にお世話になったジュディス:ウィーリー。彼女には英語だけでなくオーストラリアの文化や人々の考え方、生き方も教えてもらいました。彼女も3年前に帰天しました。4年前にオーストラリアでお会いした時には、80歳を過ぎていましたが、毎日車を乗り回しており、当時私を空港まで迎えに来ていただき、それから2時間ほど高速道路を運転して彼女の暮らす修道院まで連れて行ってくれました。もっと長生きされると思っていましたが、3年前の7月のある日、眠るように息を引き取られたと同僚のシスターから手紙が届きました。
 進学や就職、結婚など人生の節目には必ず人生を左右する人物や書物、出来事に誰もが出会うものです。それを生かすどうかは、その人の人生観や生き方にかかっています。人生は長いようでも光陰矢のごとく過ぎ去っていきます。与えられた命を有意義に使って行きたいものです。

2017年01月06日