#268 入試シーズン到来

 月日は早くも2月となり、全国的に入試シーズンを迎えています。大半の中学入試や高校専願入試は1月に実施されましたが、2月5日には筑後地区の高校前期入試が行われ、福岡地区は12日に実施されるようです。また公立高校の前期入試(推薦・特色化選抜)は2月3日、4日に実施され、9日頃に合否が出ます。さらに私立大学入試は現在進行中で、地元の西南学院大学、福岡大学を始めとする多くの大学が今週から来週にかけて行われます。しかしながら進学したくても諸事情によりできない人も残念ながらいます。本日はそれに関する記事を紹介します。

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『「私の願いは…」病院内で受験した女子生徒 生き抜いた“学校生活”』
 病気療養のため、入院中の小中学生に学習の機会を提供する「院内学級」。子どもたちが病院内の教室に登校したり、担当教員が病室に出向いたりして授業する。そこには、治療で体力や気力が減退しつつも、学ぼうとする子どもたちがいる。中には病院内で受験に挑む子どもたちも。「将来や病気への不安に押しつぶされそうな中、生きる希望や目標を得る場所」。教員たちはそう位置付ける。

 昨年12月、福岡市東区の市立こども病院を訪ねた。診察を待つ親子連れがいる1階を通り、2階に上ると院内学級がある。前方にはホワイトボード。2人がけの机が四つ並ぶ。
 ボードには「主語+be動詞+形容詞+that」…。ちょうど英語の授業中。この日は中学2年の女子生徒1人だけで、担任の廣田陽子さん(57)が一緒に英語の音読、日本語訳をし構文の解説をしていた。
 授業は1こま50分。午前と午後に2こまずつある。女子生徒は「前の入院時は院内学級がなくて、暇だった。期末テストが近いので勉強できた方がいい」。少人数だと疑問を口にしやすく、学習がはかどる。
 入院中も学習を続ける意義について、院内学級6年目の廣田さんはこう語る。「生徒は学校に行かないと『置いていかれた』と感じる。当たり前の日常を少しでも取り戻すことができる」
 廣田さんは志願して院内学級の担任になった。病休、復職した後に先輩教員の誘いで見学すると、点滴を受けながら学習する生徒がいた。倦怠(けんたい)感が強かった自身の治療中と重なった。「支えたい」と思った。

<内に秘めた「学びたい」>
 こども病院の院内学級は、近くの市立照葉中の特別支援学級という扱い。照葉中の他の教員が来て授業をすることもあるが、普段は廣田さんが国数英社理の5教科を中心に1人で教える。専門は音楽科のため、「受験生のように予習復習をした」という。
 生徒はそれぞれの病気と向き合う。個性はまちまち。抱える事情も異なる。「一人一人、できそうな学習量ややる気を見極めながら工夫している」。ボードゲームを使った気分転換も取り入れる。
 「入院中に勉強しなくても治療に専念すればいい」「オンラインで完結すればいい」。そんな声もあるかもしれないが、現場を知れば認識は変わるはず。生徒たちは体に痛みを抱えつつも、心の中で「学びたい」「友達と話したい」という意欲を内に秘めている。

<目指したのは「普通の場所」>
 廣田さんを誘った先輩教員の江口尚美さん(69)も、その最前線にいた。福岡市南区の九州がんセンター、東区の九州大病院で2017年度までの計14年、院内学級の担任をした。
 当時は小児がんなどで半年から1年の長期入院をする場合も多く、亡くなる生徒もいた。「この先、どうなるのか」「なんで自分が」-。そんな不安を抱え、子どもたちはやってくる。
 江口さんが目指したのは「病院だけど病院ではない普通の場所」。教科学習に加えて、音楽や運動会などの行事も取り入れ、仲間との時間も大切にした。
 中学3年生は闘病と受験時期が重なる。外出を許可できない体調の生徒のために、地元校、院内学級、受験校で連携を取り、院内受験を実現したこともある。ある女子生徒の姿が心に刻まれている。

<「私の願いは受験すること」>
 回復が見込めなくなる中、「私の願いは受験すること」と勉強に励んだ。受験前日、痛み止めの薬で意識がもうろうとなりながらも、江口さんに「試験中、眠りそうになったら絶対に起こして」と訴えた。
 筆記試験と面接は病院内で受験した。自らの意志で中学の制服に着替え、点滴と酸素吸入をしながら車椅子に座って問題を解いた。面接は「高校で頑張りたいこと」の質問に、「毎日通うことが一番の目標」「夢は保育士」と答えた。
 全日程が終わると、女子生徒は涙を一粒流し、ベッドに横になった。その数時間後、息を引き取った。
 「つらい状況の中、強い思いで前に向かって生き抜いた」と江口さんは思う。家族、病院スタッフ、教員や高校の関係者たちが一丸となって支えた。
 コロナ禍を経て行事を企画しづらくなり、入院をできるだけ短くして自宅療養を基本とするなど院内学級を取り巻く環境も変化している。それでも、子どもが学び、より良く生きるための拠点になっていることは変わらない。

【院内学級】特別支援学校の分校や分教室、小中学校の特別支援学級として運営されている。文部科学省の調査によると、2022年9月1日時点で全国340校が計960学級を設置していた。在籍者は1531人だった。現場では運営上の課題も浮かんでいる。院内学級に入るために転校が伴うケースは「子どもの心は入院前の学校にあり整理がつかない」とも指摘されてきた。また、4月の年度当初に子どもが「ゼロ」だと院内学級が開設されず、子どもが希望しても設置が遅れる場合がある。
https://www.nishinippon.co.jp/item/1452929/
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 上記の女子生徒さんの気持ちは痛いほど分かります。最後まで希望を持って生きようと努力した彼女は若くして病気で亡くなりましたが、次の人生で丈夫な体を持ち、きっと活躍することでしょう。
彼女の冥福を心より祈ります。

2026年02月07日