#180 異常な世界

 この一週間で報道されているニュースに人間の異常性が感じられます。昨晩の臨時ニュースは新幹線内の殺人事件でした。航空機ではチェックインする際に厳しい荷物検査が義務付けられていますが、JRや民間の電車ではまったく荷物検査はありません。当然乗客は安全と思い車両に乗り込むわけですが、今度の事件をきっかけに第2、第3の類似事件が発生しないかと心配になります。言いかえれば、通り魔殺人事件が電車内で発生するようなものです。航空機と違い、電車内に警備員や警察官がいない状況では自分の身は自分で守るしかないようです。これでは電車内で居眠りもできません。
 またここ数日ニュースに登場しているのが「紀州のドンファン」と言われる男性の不可解な死です。遺体から大量の覚せい剤が見つかりましたが、警察は殺人事件とみて捜査しています。また彼の愛犬の遺体も掘り起こされて捜査の対象になっています。彼の自宅には多くの監視カメラが取り付けられており、現段階では不審者の姿は報じられていません。現場にいたのは若い妻と家政婦のみ。それでは誰が彼を殺したのか?ミステリー小説のような何とも言えない不可解な事件です。
 そして多くの人が涙を流した事件が「目黒虐待死」です。文字を覚え始めた5歳の女児の親への哀願は涙なしでは読めません。全部ひらがなで書かれていますが、毎日新聞よりその一部を紹介します。

 ママとパパにいわれなくってもしっかりとじぶんからもっともっときょうよりかあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします
 ほんとうにおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおす これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだから やめるから もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします


両親の悪行は言うまでもありませんが、児童相談所が虐待の状況を把握しておきながら行政として何もできなかったのは問題です。児童虐待や家庭内暴力(DV)に対しては行政側は条例等を改正して積極的に介入すべきだと思います。そうしないと同じような虐待事件が何度も繰り返されます。実際今この時に虐待されている子ども達がたくさんいるのです。犠牲になるのは特に弱い幼い子ども達です。10代の子どもと違い、幼い子ども達はどんなにひどい親でも唯一の信頼できる存在として自分の親を妄信します。親に気に入られるためには自分を犠牲にしても何でもやり通そうとするのです。実際この女児は親が寝ている午前4時に起きて電気をつけずに暗い中で文字を書く練習をしていたそうです。覚えたての文字を使って上記の「遺書」と思える文を書いたのでしょう。この事件に関する記事は涙なしには読めません。梅雨空の中、天も涙しています。
 全く異常な世界が私たちの目前に展開されています。人間の神性が忘れ去られ、猛獣以上の残虐性や獣性が野放しにされている現在です。身の安全は自ら守る時代になったのでしょうか?

2018年06月10日