#572 エンゲル係数急上昇

 今日は1月最終日曜日になります。来週の日曜日は2月2日です。1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」と言われますが、月日の経つのは早いものであと11か月で次の正月になります(笑)。もうひと月辛抱すれば春が来ます。寒い冬を何とか乗り切りたいものです。
 ところで、由々しき事態が進行しています。ここ数年続いている急激な物価上昇です。昨年前半まではそれほど意識していませんでしたが、昨年後半から事態はより深刻になっています。様々な食料品が値上がりを続けているのです。特に米価の高止まりは今も継続中で、次のような記事もあります。
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『米の価格の動向 今後どうなる?』
 農林水産省の発表資料によると2024年産の12月のコメの「相対取引価格」は、全銘柄平均で2万4665円/玄米60kgでした。11月の価格をさらに上回り、いまの調査を開始した2006年産以降、過去最高となりました。調査手法は異なるものの、1993年の「平成の米騒動」のコメ価格センター取引の年平均価格2万3607円を上回りました。
 米価が高止まりしている理由として、今夏の品薄をきっかけとした集荷競争だけでなく、2020年平均と比べて光熱動力費が1.3倍、肥料代が1.4倍とコスト増によりJAなどが農家に支払う「概算金」が上がっていることも影響しています。 こうした状況から米価は当面高止まりが続く可能性があります。
https://smbiz.asahi.com/article/15515610
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 さらに米穀だけでなく、あらゆる食品で顕著な価格上昇が見られます。たとえばコンビニでおにぎりを購入すると、以前は1個100円程度で買えたものが現在は150円前後します。またサンドウィッチは以前250円ほどでしたが、現在は350円と価格が上昇しています。
 この傾向はレストランや食堂にも深刻な影響を与えています。例えばココ壱番屋のカレーはサラダ付きで以前は価格が800円から1000円足らずでしたが、現在では1500円払わなければ同じメニューを注文できません。つまり以前の価格のおよそ2倍になっています。同様に定食屋で定食を注文する場合、1000円以下で食べることはほとんど不可能です。
 このように全ての食品が値上がりを続けている状況では、年金生活者が従来の食生活を維持するのはかなり厳しいことになっています。このような状況で次の記事を見つけました。
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『物価高で押しつぶされる「無職世帯」、日銀金融緩和政策の“看過できないマイナス”』
<11月家計調査、無職世帯は実収入も支出も前年から減少>
 ここ数年の物価上昇と賃上げは、国民生活にどのような影響を与えているだろうか? この影響は、世帯のタイプによって大きく違う。勤労者世帯は賃上げの影響を享受しているので生活が改善している面はあるだろう。
 だがそれに対して、高齢者などの無職世帯は、物価上昇の影響だけを受けて生活が困窮していると考えられる。このことは直近の家計調査でも確かめられる。 1月10日に公表された11月分の家計調査報告(総務省)によると、11月の実収入は、勤労者世帯では対前年同月比が実質で0.7%の増になっているのに対して、無職世帯では5.5%の減少だ(注1、2)。
 消費支出も、勤労者世帯は同1.5%増に対して無職世帯は同2.4%減となっている。日本銀行は、将来、物価が上がるというインフレ期待(予想)が生まれれば、消費が増え経済も上向くということで、物価目標政策のもとに金融緩和策を続けてきた。そして高賃上げの波及を物価目標達成の重要なメルクマールとしてきた。
 今週23、24日に開かれる金融政策決定会合でも、今春闘でも高い賃上げが続くとの見通しから、利上げをすると市場ではいわれている。 だが、家計調査が示しているのは日銀が想定しているのと全く逆の事実だ。

<勤労者世帯の実収入は増えたが3割強占める無職世帯は賃上げの恩恵なし>
 家計調査では、「2人以上の世帯」を主に、その収入や消費の動向をみているが、2人以上の世帯には、「勤労者世帯」と「無職世帯」がある。世帯人数で、前者が54.0%、後者が34.5%だ。この他に個人営業の世帯(11.5%)がある。世帯主の平均年齢は、勤労者世帯は50.8歳、無職世帯が75.3歳だ。後者は退職後の年金生活者が中心だ。1世帯当たりの世帯人員は、勤労者世帯で3.2人、無職世帯では2.3人となっている。だが勤労者世帯と無職世帯では、収入の状況も支出の中身なども大きく違う。
 まず、収入の状況をみると、24年11月では、実収入は、勤労者世帯では51.4万円なのに対して、無職世帯では5.6万円でしかない。
 収入差が大きいのは11月が年金支払い月でないことによる。年金支払いがあった10月でも、実収入は勤労者世帯58.1万円に対して、無職世帯は47.5万円(このうち公的年金給付は2カ月分41.8万円)だ。
 11月は増加率でも大きな差がある。こうした差をもたらす最大の要因は、勤労世帯では世帯主の勤め先収入が49.5万円と大きく、かつ実質で1.3%増えているのに対して、無職世帯では定義によって世帯主の勤め先収入がゼロであることだ。無職世帯でも、世帯主以外の勤務先収入はあるが、額は少なく、伸び率がマイナスになっている。
 このように、勤労世帯と無職世帯では、賃金上昇の影響を享受しているか否かという大きな違いがある。賃金上昇がすべての世帯に同じように恩恵を与えているという錯覚に陥りがちだが、決してそうではないことに注意しなければならない。2人以上世帯のうちの3分の1強を占める無職世帯は、賃上げの恩恵に浴していないのだ。

(注1)「毎月勤労統計調査統計」では11月の実質賃金上昇率はマイナスだが、家計調査ではこのようにプラスになっている
(注2)11月の無職世帯の実収入で公的年金は、11月が年金支払い月でないため448円でしかない。なお、2024年で国民年金は満額で月額6万8000円だ。賃金や物価の上昇分は翌年の年金給付にスライドされる建前だが、マクロ経済スライドによって、少子化(現役世代の減少率)や長寿化(平均余命の伸び率)分を差し引いて調整される。

<無職世帯、緊急でないものは買い控え食料品切り詰め、修繕や家事サービスは支出増>
 一方、支出額は、勤労者世帯では40.9万円なのに対して、無職世帯では27.4万円だ。世帯員1人当たりで見れば、勤労者世帯では12.7万円、無職世帯では11.7 万円で、あまり大きな差がない。ところが、物価高騰の影響はどちらのタイプの家計にも同じような影響を与える。だから、支出の伸び率や中身は二つのタイプの家計で大きく異なる。
 家計調査の11月のデータでは、実質消費支出の対前年同月比は、勤労者世帯が1.5%増なのに対して、無職世帯では2.1%の減となっている。また中身を見ると、食料の実質対前年同月比が、勤労者世帯では+1.8%となっている。それに対して無職世帯では-3.6%だ。米が-12.8%、生鮮肉が-12.1%などだ。項目の中には2桁の減少率になっているものがかなりある。
 生活をするためには誰もが食料品には一定の支出は必要なはずだが、無職世帯では食料品の価格高騰のために、実質支出を減らさざるをえない状況に追い詰められていることが分かる。
 一方で無職世帯では、食料品とは対照的に住居関係の実質支出は、前年同月比39.6%増という極めて高い増加率になっている。特に住宅や庭などの修繕や維持の「設備材料」は121.3%の上昇率だ。これはどうしても必要な支出だからだろう。
 ところが家具・家事用品は、どちらのタイプの世帯でも、実質の伸びがマイナスになっている。勤労者世帯では-14.4%、無職世帯では-6.5%だ。こうしたものは緊急に買う必要はないので、価格が高騰したために買い控えていると考えられる。とりわけ無職世帯の場合、家事用耐久財は-38.3%、一般家具は-30.1%、室内装備装飾品は-25.0%だ。
 なお、ホームヘルパーなどの家事サービスについては、勤労世帯が-23.2%なのに対して、無職世帯は10.3%増となっている。勤労者世帯では、家族メンバーが比較的若いために、家事サービスを頼む必要性はそれほど高くない。それに対して無職世帯の場合には高齢者なので、これがどうしても必要だという事情を反映しているのだろう。
 このように、全般的には、無職世帯では支出を切り詰める傾向が強いが、修繕費や家事サービスのようにどうしても必要なものに対しては、価格が高くても支出を増やさざるを得ない状況になっていることが分かる。
https://diamond.jp/articles/-/357947
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 上記のように勤労世帯では最近の賃金上昇のおかげで、物価が上昇してもある程度食費代を工面できますが、無職世帯では何かの出費を切り詰めないと食費の確保ができません。今日のニュースでは生活保護を求める人が増えているそうです。亡国内閣は海外支援に熱心ですが、一般国民に対しては厳しい対応を取っています。自分たちは上級国民なので、一般庶民の苦しみや悲しみが分からないのでしょう。本当に世知辛い世の中になったものです。

2025年01月26日