#175 魑魅魍魎の世界

 久しぶりに雨が降っています。今日の仕事は雨が降る前に冬に使用したダウンコートとマフラーを近くのクリーニング店に持って行き、その後庭の草取りをすることでした。当塾には部屋の南側に16畳ほどの小さな庭があり、春になるとすぐ草が生えてきて、ほおっておけば森のようになってしまいます(笑)。午前中に雨が降る前に何とか大きな草を抜いてしまい、これで2週間ほどは大丈夫でしょう。これから晩秋までは草との壮絶な闘いが続きます(笑)。
 さて本日のブログのタイトルですが、いま魑魅魍魎(ちみもうりょう)が世界に広がっています。ビットコインなどの仮想通貨の話です。昨晩NHKで面白い番組を放送していました。NHKスペシャル「仮想通貨ウォーズ~盗まれた580億円を追え」(再放送は5月17日(木)午前1時となっています)という番組で、NHKのHPでは次のようにこの番組を紹介しています。

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前代未聞、史上最大の“580億円分”の仮想通貨が交換会社から流出した事件。仮想通貨の普及を図る国際団体「NEM財団」は、流出した仮想通貨NEMに目印をつけて追跡を続けていたが、先月、追跡を停止したことを発表した。犯人側は匿名性の高いダークウェブを介して、巨額のNEMをビットコインなど、別の仮想通貨に交換。もはや犯人側の“勝利”かと思われた・・・。しかし、警察や財団とは別に、独自に犯人を追跡しているITのスペシャリスト「ホワイトハッカー」たちは諦めていなかった。「こうした事件を放置すると仮想通貨の未来が揺らぐ」という信念の元、各国のホワイトハッカーが犯人包囲網を構築し、交換後も追跡が可能な“独自のプログラム”を開発し、交換に関わった人物から情報を集めるなど、サイバー空間を舞台に一進一退の追跡劇が続いているのだ。果たして犯人は何者なのか?知られざるハッカーたちの攻防に密着する。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180512(予告動画あり)
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 見ていて背筋がぞっとするような番組でした。この番組は今年の1月に国内大手の仮想通貨交換所コインチェックから580億円が盗まれたその後を追跡しています。犯人を追跡する数名の天才的ハッカー達と犯人との攻防をドキュメンタリー形式で追跡した番組です。私の背筋が寒くなったのは次の事柄です。
 悪事をするためにはお金が必要です。一例として中東のISが国家を維持するためには莫大な金が必要でした。不当に獲得した原油を売ったりして国家を維持していました。資金が無くなりますと国家を維持することができません。ISが消滅した原因の1つは資金の枯渇です。
 ところが近年簡単に大金を手にすることができるようになりました。仮想通貨を盗んで現金に換金することです。コンピュータプログラムを作り出す知識があれば、その知識を用いて簡単に仮想通貨を手に入れることができる現代世界です。世間の人々はビットコインを始めとする仮想通貨に投資して金儲けしようとする投資熱に浮かされていますが、あくまでも国家が運営する現実の金銭ではありません。いつ無くなるかもしれない仮想の金銭です。私はどうしてもこの状況が80年代のバブル期の国内の投資熱と重なってしまいます。仮想通貨がうまく運営されているときには問題は起こりませんが、一端不況や紛争などが発生しますと仮想通貨は雲散霧消してしまいます。文字通り何も残りません。
 この番組を通して見えてきましたのは、世界を動かしているのは国家や経済ではなく、すべてが金だということです。つまり金を所有する者が国家や経済を動かし、人間をも動かし、この世を支配しているという現実に改めて気づかされました。本当に恐ろしい魑魅魍魎の世界です。

2018年05月13日