#372 春風に誘われて

 昨晩から雨が降り続いています。昨日の日中までは晴天が続き、大牟田市内の桜も満開でした。久しぶりに春風に誘われて各地の桜を見に行きました。市内の桜見物には車を使う必要はなく、自転車で見て回りました。
 金曜日にはまず歩いて5分ほどの距離にある大牟田市動物園に隣接した延命公園の桜を見ました。コロナ禍による花まつり中止のために、桜を見る人はほとんどいませんので花見を独占できました。ほとんどがソメイヨシノですので、一斉に開いた姿は見事の一言です。
 次に県境にある四つ山まで足を延ばして桜見物をしました。四つ山は厳密には荒尾市にありますが、その名の通り標高50mほどの小さい山が4つ並んでおり、頂上には四つ山神社があり、山全体が桜の花で包まれています。「虚空蔵こくんぞさん」の愛称で親しまれ、有明海に臨む四ツ山山頂に鎮座四山神社は、6世紀後半に造られ、虚空蔵菩薩が降臨した地とされる四山古墳に、延久2年(1070)菊池氏初代の菊池則隆がお堂を建立したのが創建とされます。
 ここから見る雄大な有明海の風景は素晴らしく、有明海の対岸には雲仙普賢岳がそびえています。また天気のよい日には有明海のはるか彼方には天草の島々も小さく見えます。この四つ山には小学生のころ歓迎遠足で毎年来た記憶があります。小学1年生は小学6年生に手を引かれて山に登っていました。桜が満開の頃でしたので、今でも記憶に残っています。
 昨日土曜日には大牟田市の北部に行きました。北部で有名なのは甘木山の桜ですが、今回は見送って、大牟田市動物園を舞台に撮影された映画「いのちスケッチ」に登場した堂面川河畔の桜を見て回りました。桜並木を春風に吹かれて自転車で動き回り、川面には散った桜花が浮かび、花筏ができていました。この季節ならではの風景です。その後堂面川に沿って有明海まで進み、夕暮れにたたずむ有明海対岸の太良町や諫早の街明かりを見ることができました。
 3月も終わりを迎え、当塾の授業も月曜日から再開しますが、久しぶりにのんびりしたひとときを過ごすことができました。人気のない満開の桜を見ることは周囲を気にせず、桜と一体となり、いつまでも心行くまで楽しむことができます。コロナ禍後の花見が始まれば、喧噪の中の花見となることでしょう。静かな花見は今年だけの事かもしれません。今年は桜たちも静かな時間を過ごしていることでしょう。

2021年03月28日