#239 償いー交通事故の悲惨さを歌う

 今日は5月の第2日曜日、「母の日」です。子供たちはきっとお母さんに素敵なプレゼントをしているでしょう。ところで最近母子や幼い子供たちが巻き込まれる交通事故が相次いでいます。4月19日に東京・池袋で高齢者運転の車が暴走し、3歳の女の子と母親が死亡した事故。5月8日に大津市で散歩中の保育園児の列に車が突っ込んだ死傷事故。5月10日に愛知県西尾市で2歳の男の子と33歳の母親が乗用車にはねられた事故など、多くの子供達が死傷する事故が増えています。特に大津の事故では子供たちを見守る保育士には過失はなく、園長先生の涙ながらの会見は涙を誘いました。
 交通事故は自分が注意していても避けられない場合があります。車を運転する人は細心の注意をして車を運転すべきでしょう。ちょっとした油断が事故を引き起こし、かけがえのない命を失わせることになります。また、その後の賠償金や治療費などは一生かかって払い続けることにもなります。
 今日は、さだまさしの「償い」という歌を紹介します。交通事故を起こした若者がどのようなことになるか如実に語っています。この歌は実話に基づくもので、また2001年に東京都で、4人の少年が40代銀行員の男性に対し、車内で足が当たったと口論の末、三軒茶屋駅のホームで暴行を加え、くも膜下出血で死亡させる事件がありましたが東京地裁において判決公判が行われ、主犯格少年2人に対して、裁判長がこの「償い」を聞くように諭したことでも有名な曲です。YouTubuで聞けますのでぜひお聴きください。

「償い」(作詞・作曲 さだまさし)
月末になるとゆうちゃんは
薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へ
とび込んでゆくのだった

仲間はそんな彼をみてみんな
貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑っても
ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

僕だけが知っているのだ
彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ

配達帰りの雨の夜横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった
彼はその日とても疲れてた

人殺しあんたを許さないと彼をののしった
被害者の奥さんの涙の足元で
彼はひたすら大声で泣きながら
ただ頭を床にこすりつけるだけだった

それから彼は人が変わった何もかも
忘れて働いて働いて
償いきれるはずもないがせめてもと
毎月あの人に仕送りをしている

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣きながら走り込んで来た
しゃくりあげながら彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えてようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

「ありがとうあなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました
だからどうぞ送金はやめて下さい
あなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのです
あなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」

手紙の中身はどうでもよかった
それよりも償いきれるはずもないあの人から返事が来たのが
ありがたくて ありがたくて ありがたくて ありがたくて ありがたくて

神様って思わず僕は叫んでいた
彼は許されたと思っていいのですか
来月も郵便局へ通うはずの
やさしい人を許してくれてありがとう

人間って哀しいね
だってみんなやさしい
それが傷つけあってかばいあって
何だかもらい泣きの涙が
とまらなくて とまらなくて とまらなくて とまらなくて

2019年05月12日