#557 読者が選んだ昭和の名曲(1)

 「歌は世につれ、世は歌につれ」と言いますが、流行した楽曲はまさにその時代の特徴を如実に示しています。先日産経新聞で『プレイバック「昭和100年」』の一環として「読者が選ぶ昭和の名曲―フォーク・ロック・ポップス部門」が発表されました。昭和時代に流行した今日のJ-POPにつながるフォーク・ロック・ポップスの名曲が読者により選ばれました。その結果は次のようになっています。産経新聞より転載します。
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『四畳半フォークか、ニューミュージックか 読者が選んだ昭和の名曲、好み分かれた男女別発表』
産経新聞社と産経リサーチ&データが募集した「読者が選ぶ昭和の名曲―フォーク・ロック・ポップス部門」では男女別の特徴もみられました。

<男性1312人の投票結果>
①なごり雪(イルカ)昭和50年 384票
②神田川(かぐや姫)昭和48年 363票
③時代(中島みゆき)昭和50年 294票
④22才の別れ(風)昭和50年 265票
⑤学生街の喫茶店(ガロ)昭和47年 242票
⑥心の旅(チューリップ)昭和48年 239票
⑦風(はしだのりひことシューベルツ)昭和44年 195票
⑧帰って来たヨッパライ(ザ・フォーク・クルセダーズ)昭和42年 188票
⑨酒と泪と男と女(河島英五)昭和51年 182票
⑩異邦人~シルクロードのテーマ(久保田早紀)昭和54年 179票
⑪卒業写真(荒井由実)昭和50年 178票
⑫ジョニィへの伝言(ペドロ&カプリシャス)昭和48年 155票
⑫昴-すばる-(谷村新司)昭和55年 155票
⑭いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年 153票
⑮知床旅情(加藤登紀子)昭和45年 149票
⑯クリスマス・イブ(山下達郎)昭和58年 146票
⑰精霊流し(グレープ)昭和49年 145票
⑱白いブランコ(ビリー・バンバン)昭和44年 142票
⑲戦争を知らない子供たち(ジローズ)昭和46年 139票
⑲『いちご白書』をもう一度(バンバン)昭和50年 139票

<女性700人の投票結果>
①時代(中島みゆき)昭和50年 199票
②なごり雪(イルカ)昭和50年 192票
③卒業写真(荒井由実)昭和50年 134票
④神田川(かぐや姫)昭和48年 130票
⑤いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年 121票
⑥心の旅(チューリップ)昭和48年 107票
⑥異邦人~シルクロードのテーマ(久保田早紀)昭和54年 107票
⑧22才の別れ(風)昭和50年 97票
⑨クリスマス・イブ(山下達郎)昭和58年 97票
⑩学生街の喫茶店(ガロ)昭和47年 92票
⑪あなた(小坂明子)昭和48年 83票
⑫ルージュの伝言(荒井由実)昭和50年 80票
⑬M(プリンセスプリンセス)昭和63年 74票
⑭ルビーの指環(寺尾聰)昭和56年 73票
⑮花の首飾り(ザ・タイガース)昭和43年 69票
⑯精霊流し(グレープ)昭和49年 68票
⑯初恋(村下孝蔵)昭和58年 68票
⑱ジョニィへの伝言(ペドロ&カプリシャス)昭和48年 67票
⑱風(はしだのりひことシューベルツ)昭和44年 63票
⑳勝手にシンドバッド(サザンオールスターズ)昭和53年 62票
⑳フレンズ(レベッカ)昭和60年 62票

 男性のベスト3は全体とほぼ同じ順位でしたが、女性は中島みゆきさんの「時代」(作詞作曲・中島みゆき)がトップ、全体では7位だった荒井由実さんの「卒業写真」(作詞作曲・荒井由実)が3位に選ばれました。
「卒業写真」はハイ・ファイ・セットへの提供曲で、後に荒井さんのセルフカバー曲としてアルバムに収録されました。卒業ソングの定番として知られます。
 他に女性では山下達郎さんの「クリスマス・イブ」(作詞作曲・山下達郎)、小坂明子さんの「あなた」(作詞作曲・小坂明子)も上位に入りました。男性はザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」(作詞・ザ・フォーク・パロディ・ギャング、作曲・加藤和彦)、河島英五さんの「酒と泪と男と女」(作詞作曲・河島英五)がトップテン入りしています。
 「四畳半フォーク」と呼ばれたかぐや姫などの曲は女性より男性の人気が高く、荒井さんや山下さんら「ニューミュージック系」は女性により支持されている傾向が伺えました。
https://www.sankei.com/article/20241019-BM4WH7BYR5G3TMVXWBHM4VINQE/
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 上記の選曲はいずれも時代を超えたまさに名曲と言えます。参加者の年齢層が分かりませんが、おそらくa 40代以上の読者が中心ではないでしょうか。年齢別による選曲の傾向が分析されていれば、さらに選曲の傾向が見られたかもしれません。
 ところで私見ですが、現在のJ-POPと比べて、この時代の楽曲は叙情豊かでメロディも分かりやすく、歌いやすい傾向があります。それに比べて現代の流行歌はその世代に応じたヒット曲が中心になっているような気がします。言い換えれば、世代が異なると全く異なる楽曲がヒットし、世代間を超えた昭和時代の楽曲と違い、その世代のみに楽曲が共有されるようです。この傾向は年末のNHK紅白歌合戦が如実にその傾向を示しています。出場する歌手やバンドはその世代だけに人気がある傾向があります。
 産経新聞による上記の楽曲の多くは世代を超えて歌い継がれた名曲ばかりです。音楽の教科書に採用された曲もたくさんあります。これらの楽曲はあと数10年もすれば、「赤とんぼ」や「ふるさと」のように新しい唱歌として歌い継がれていくことでしょう。(独断と偏見に満ちた解説でした。(笑))

2024年10月20日