#328 核兵器禁止条約、来年1月発効

 今日は10月最後の日曜日で、朝から快晴です。通りを歩きますと、ほのかな甘酸っぱい香りが漂っています。キンモクセイの香りです。この香りが無くなりますと冬に向かって季節は走り始めます。
 さて先ほどビッグニュースが飛び込んできました。国際連合が核兵器禁止条約を決議し、来年1月に発効する予定です。時事通信の速報を掲載します。
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『核兵器禁止条約、来年1月発効 批准50到達、使用や威嚇を禁止―保有国は不参加』
【ニューヨーク時事】核兵器禁止条約の批准書や受託書を国連に寄託した国・地域が24日、発効に必要な50に達した。ホンジュラス国連代表部が同日の批准書寄託を確認した。条約は90日後の来年1月22日に発効する。核兵器の使用や保有を初めて違法化する国際条約となる。
 ただ、加盟国以外に効力は及ばず、現状では核保有国や日本を含む同盟国の参加は絶望的。条約発効だけで核軍縮につながる可能性は極めて低い。今後、こうした国の加盟に向けて、いかに圧力を強めていくかが課題になる。
 核兵器禁止条約は2017年3月、核軍縮の停滞を背景に非保有国の主導で制定交渉が始まり、同7月に採択された。核保有国やオランダを除く同盟国は交渉に参加せず、軍縮条約としては異例の速さで採択に至った。
 条約は前文に被爆者の「受け入れ難い苦痛と損害」に留意すると明記。核抑止力を意味する「核兵器を使用するとの威嚇」も禁止した。一方、核保有国が交渉に参加しなかったため、具体的な軍縮措置は盛り込まれなかった。
 核兵器禁止条約制定を働き掛け、ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」で国連を担当するセス・シェルデン氏は「条約発効で(核兵器は違法という国際的な)規範が強まることで、非加盟国の行動に影響を及ぼす可能性はある」と指摘。核保有国などに加盟を促す活動を続けていく方針だ。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020102500169&g=int)
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 広島、長崎に原爆が落とされて早や75年経ち、ようやく世界が核兵器禁止へと動き出しましたが、核保有国はこの条約に反対し、独自の道を動き出すことでしょう。ここに現在の国連の力の限界があります。第2次世界大戦の戦勝国で作られた国際連合は当時の5大国に拒否権を与え、その後の様々な改革をこの拒否権により多々中断されてきました。
 上記の記事にありますように核保有国はこの条約には加盟しておらず、現在自由陣営と共産主義陣営に分かれて対峙しています。お互いに相手に対して恐怖と不信感がある限り軍縮は進まず、まして核兵器を廃棄することはありえないでしょう。また核兵器を廃棄すると見せかけて、秘密裏に保管するなど、常に上位に立ち、相手を威嚇する手段を残すはずです。
 この人類の愚かな性癖は国家レベルだけでなく個人にも当てはまります。自分の利益を追求して他人を貶める行為は社会のいたる所で見られます。このような利己的行為が無くならない限り、本当の平和は実現しません。戦争は国家レベルの行為ではなく、私たち一人ひとりの心の中に棲んでいる悪感情の表れです。遥か未来に別の生命体がこの惑星に登場し、過去の地球の歴史を調べると、この地上にかつて人類という愚かな種族が存在したことを発見するでしょうか。嘆かわしい限りです。

2020年10月25日