#299 人の真価が問われる時

 全国に緊急事態宣言が出されて初めての週末を迎えましたが、東京や大阪などの大都市では外出の自粛率が70%を超えているようです。政府が呼びかけた「最低でも7割」を達成しており、このまま新コロのピークが収まるまで続いてほしいと思います。
それでも地方都市では少しずつ感染者が増加しており、ここ大牟田でもついに感染者が出ました。40代の女性だそうです。加えて無症状の感染者はどの町でも少なからず存在すると思われ、手洗いやうがいなど日頃の生活が感染を防ぐのに大切になります。
 日本人は海外から礼節ある国民と評価されていますが、国内の視点(少なくとも私の視点)で見ると、政府の要請に従わない愚輩も少なからずいます。数日前のニュースでは東京でパチンコができない輩が栃木県まで遠征する旨の報道がされましたが、残念ながら、ここ大牟田でも隣の県境の荒尾市までパチンコをしに行っている記事が西日本新聞に載っていました。このような政府の要請を無視してまで、自分の欲に埋没する人たちは、いったい何を考えているのでしょうか。
 このような自覚のない行為が感染を増やすことにつながります。国の存亡にかかわる緊急事態の期間中は不急不要な外出はできるだけ控えてもらいたいものです。
 またこのことは政府や国会議員の言動にも表れています。平時体制であれば国会の審議に時間をかけることは有り得ますが、今は緊急事態です。言いかえれば新コロとの戦争状態です。国の対応が1日遅れれば、それだけいっそう感染が拡大し、被害が大きくなります。
 特に国家の方向を決める国会議員と庶民の意識の間にはかなりの乖離があるように思えます。例えば事業者に対して国は営業自粛を要請していますが、国会議員は現在それに応じて歳費の2割を削減すべく現在審議が行われています。昨夜の報道番組「ニュースキャスタ」によりますと国会議員の年収は次のようになっています。

歳費   約1240万円
期末手当 約640万円
文書通信・交通滞在費 約1200万円
立法事務費 約780万円
年収 約4170万円 2割削減すると約3860万円

 2割削減しても約40000万円が収入として手に入ります。呆れてものが言えません。民間企業であれば事業自粛中はある程度給料保証がありますが、それでも月給の半分程度でしょう。自営業にいたっては営業しなければ収入が入ってきません。最悪の場合、店を廃業することになります。
 少しでも世の中の現状が理解できる国会議員であれば、「自分たちの年収を3割にしてもいいので、削減した分を医療関係者や生活困窮者の足しにして頂きたい。」と言えるのではないでしょうか。ちなみに衆議院・参議院併せて713人です。年収7割削減でおよそ1人当たり3000万円となり、議員713人の削減額が約21億3900万円となります。このような英断をする国会議員はいないのでしょうか。(それ以外に所属の政党から支援金がでますので、実質的にはもっと年収が増えます。)
 国家存亡の時に、まず国会議員が身を正し、国民に評価されるような言動を自ら行うべきです。そうしないと政府や国会議員に対して国民は信頼しません。
 今回のウィルス騒動で明らかになったのは、平時体制では日本社会はうまく機能しますが、一旦緊急事態(戦時体制)になると、現憲法や法律の制限により、政府の強権発動ができないということです。このことは戦後ずっと議論されてきましたが、幸いにも紛争や戦争に巻き込まれることなく70余年を過ごしてきて、その間一度も国家非常事態の対処方法を考えてこなかったことにあります。これは与野党問わず国家を運営する者の怠慢でもあります。
 確かに大地震や台風などの自然災害においては死傷者が多数出ますので迅速な災害対応を国家はしてきました。今回の新コロによる疫災を通して、再度「国防とはなにか、社会を守るとはどのようなことか」を、考える時期が来たと思います。その意味で今は「人の真価がわかる時」「国の非常事態を考えるとき」だと思います。

2020年04月19日