#207 日仏戦争勃発?

 寒気のせいで今朝は最低気温が大牟田では1.8度を記録し、今秋一番の寒い朝となりました。また最高気温も12.6度となり、晩秋というよりも初冬の一日になりました。季節は日一日と冬に向かって進んでいきます。今週末は冬支度の準備が必要になる週末になりそうです。
 さて、ここ数日間日本だけでなく世界も驚かせているのが日産前会長のカルロス・ゴーンの逮捕劇です。連日テレビや新聞等で報道されていますので、すでにご存じと思いますが、共同通信では本日次のように伝えています。
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共同通信「報酬不記載120億円かゴーン前会長、具体的指示」
https://this.kiji.is/438607481650201697

 金融商品取引法違反の疑いで逮捕された日産自動車の前代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が有価証券報告書に記載しなかった報酬は、逮捕容疑を含め少なくとも総額120億円前後とみられることが23日、関係者への取材で分かった。ゴーン容疑者が実際の報酬額と報告書に記載する額を、側近の前代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者(62)に書面で具体的に指示していたことも判明。東京地検特捜部はこの書面を押収し、虚偽記載の実態解明を進めている。
 逮捕容疑の計約50億円に加え、直近3年間に計約30億円の報酬も記載しなかったとして、特捜部は立件を検討する。
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 今回の事件ではゴーンの単なる報酬の虚偽記載では終わらないような気がします。様々な憶測が飛び交っています。フランスのルノーと日本の日産・三菱は連合関係(不平等提携)の立場を取っていますが、ルノーは元々フランスの国営企業だった経緯があります。ルノーはゴーンをCEOとして残すと発表していますし、たとえ日産がゴーンの会長職を解任してもルノーに留まることになります。日産が経営危機に陥ったときには資本提携でルノーの力を借りましたが、現在は日産の売り上げによる利益がルノーの経営を支えている現実があります。
 様々な報道から憶測しますと、「ルノーが日産と三菱を完全支配下にする計画を日産が見抜き、ゴーンの虚偽記載を発端として日本側が資本提携の解除を画策したのではないか」ということです。フランス側では今回の事件を日本側のクーデターと考えているようです。ルノーにはフランス政府が支援しています。一方では日産・三菱グループには日本の通産省が支援しています。今回の件がカルロス・ゴーン個人の事件として片づけられない様相が溢れています。ルノーは以前にドイツのダイムラー社との資本提携をしていましたが、ルノーがダイムラーを傘下に引き入れる状況を危惧し、ダイムラー資本解消をした経緯があります。
 同じことを日産に対して画策していたのでしょうか。フランス政府とカルロス・ゴーンの動きを読み取り、今回の事件を契機として日産・三菱(日本側)の逆襲が始まったような感がしています。今回の事件がどのような結末を迎えるかはまだ分かりませんが、ゴーンは産業スパイとして日本の技術を他国に持ち出したというような憶測もあります。今回の事件では一企業を通して国家の戦略が見えてきます。いわゆる産業戦争です。武器を使わずにいかに相手国の経済を支配するかが現代の戦争の一形態です。事の顛末は推理小説よりも奇妙な結末を迎えるかもしれません。しばらくこのニュースから目を離せない日々が続きます。

2018年11月23日