#489 ウミガメ放流会は無駄?

 気象庁によりますと、本日沖縄地方が梅雨明けとなりました。今後は九州を始めとする本土が本格的な梅雨の後半を迎えることになります。大雨の災害に対する充分な備えをする必要があります。
 さて、梅雨明けした夏の沖縄と言えば、何をイメージするでしょうか。青い空と海や白い砂浜でしょうか。あるいは水中散歩でしょうか。美しい海中で出会う熱帯魚やウミガメでしょうか。
 ところで、ウミガメが産卵のために浜に上陸し、卵を産みますが、ウミガメ保護のためにその卵を人工的にふ化させ、ウミガメの赤ちゃん海へ帰す「ウミガメ放流会」が各地で行われています。あくまでもウミガメ保護のためです。ところが、このウミガメ放流会が無意味であるというのです。どういうことでしょうか。毎日新聞より転載します。

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『ウミガメ放流会、やめて 日中の放流「ほぼ死ぬ運命」研究会会長が訴え』
 大きくなって帰っておいで――。こんな書き出しで盛んに新聞記事にされた、子どもたちによる日中の「ウミガメ放流会」への疑問が、関係者の間で高まっている。「日中に放流してもほぼ死ぬ運命。やめた方がいい」。奄美海洋生物研究会の興克樹会長(52)は、5月25日にあった鹿児島県とウミガメが産卵する沿岸の32市町村の県ウミガメ保護対策連絡協議会で訴えた。ふ化したカメの生き延びる可能性が大きく低下するためという。
 興会長によると、卵からふ化したウミガメは24時間以内に沖まで出ないと、体力を失って生き残れない。自然状態では真夜中などに浜から一目散に泳ぎ出す。それが、日中まで待って放流すると、その段階で何時間もロスしているうえ、日中は魚や鳥の活動時間帯に当たり、大半が餌食になるという。
 卵が波にさらわれないように移設することにも慎重論が出ている。ふ化率が著しく下がるためといい、日本ウミガメ協議会の「保護ハンドブック」には「移設は他に保護する手立てがない場合にのみ選択されるべきだ」と書かれている。
 放流会への疑問の高まりにつれ、実施する自治体も減っているとみられるが、それでも5月25日の連絡協議会では3市1町が放流会を予定すると報告。報告しなかったものの実施予定の市もあった。
 奄美市は2023年度から取りやめた。担当者は「代わりにウミガメ観察会を開き、なぜ放流会が望ましくないか伝えることで、子どもたちにより考えを深めてもらえるようにしたい」と話した。
 「実施する」と報告した自治体も、毎日新聞の取材に対し、「日中がだめな理由は納得できた」「よかれと思っていたが、初めて問題点を知った」などと回答。改善を検討する考えを示した。
 興会長は「相談を受ければ、やめるように伝え、それが難しければせめて夜間に放流するようお願いしてきた。真に保護につながるかどうかを考えて判断してほしい」と話している。
https://mainichi.jp/articles/20230625/k00/00m/040/032000c
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 善意で行っている「ウミガメ放流会」ですが、自然のおきては厳しく、自然の生き物に人工的に手を加えることは自然界にとってためにならないという事でしょうか。厳しいようですが、自然の法則(適者生存の法則)に従うしかありません。私たち人類もこの星に住まわせてもらっている一種族です。この星が人類を必要としないと判断すれば、自然災害や伝染病などをを用いて迅速に人類をふるい落としにかかるでしょう。そうならないように、私たちは他の生物との共存共栄を図り、他の生命体や地球の破滅のためではなく、その進化・発展のために科学技術を利用しなけれななりません。それこそが人類が将来生き残る道でもあります。

2023年06月25日