#298 自然との共存へ

 当塾へのアクセス数がいつの間にか1万回を超えてしまいました。ホームページを開設して5年が経ちますが、1日10回程度アクセスがあります。HPを訪問して下さった皆様に御礼申し上げます。
 さて昨日政府は全国の都道府県に緊急事態宣言を出しました。遅きに失している感がありますが、それでも全国民が同じ意識で新コロに立ち向かうことが大事です。もし3週間で新コロの疫災の収束に向かう兆しが見られれば、日本人の団結力が優れている証左にもなります。世界中が日本の対策に注目しています。日本人の底力を示しましょう。
 さて今回の新コロだけでなく、従来から科学者の間で危惧されてきたことがあります。それは新コロのような新感染症に効く薬はなく、一度感染症が勃発すると、交通機関の発達のおかげで世界中が瞬時にパンデミックになりえる、ということです。その理由の1つは人類が科学技術の発達により、今まで踏み込まなかった原野に踏み込み、そこを開発した結果、寝ていた未知のウィルスを起こしてしまうことです。
 また地球温暖化によりシベリアの永久凍土が解けて、その中に封じ込められていた未知のウィルスが働き始めることも以前から指摘されてきました。新コロのパンデミックを体験している今、人類全体が経済活動を含めて今までの生き方をもう一度考え直す時期に来ているのではないでしょうか。自然と共存していかなければ、人類の生存はありません。
 ここで興味ある記事を紹介します。霊長学者で著名なジェーン・グドール氏の記事です。
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コロナパンデミックの原因は「動物の軽視」 霊長類学者グドール氏
【AFP=時事】世界的に有名な英出身の霊長類学者、ジェーン・グドール(Jane Goodall)博士(86)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は、人類が自然を無視し、動物を軽視したことに原因があると指摘している。
 アフリカで先駆的な研究に取り組み、チンパンジーの本質を明らかにしたことで知られるグドール氏は、ナショナルジオグラフィック(National Geographic)の新ドキュメンタリー番組「ジェーンのきぼう(Jane Goodall: The Hope)」公開に先駆けて行われた電話会見で、今後の災難を防ぐために過去の失敗から学ぶよう世界に訴え、誰もが変化を起こすことができると語った。

■今のパンデミックについてどう考えますか?
グドール氏:われわれが自然を無視し、地球を共有すべき動物たちを軽視した結果、パンデミックが発生した。これは何年も前から予想されてきたことだ。
 例えば、われわれが森を破壊すると、森にいるさまざまな種の動物が近接して生きていかざるを得なくなり、その結果、病気が動物から動物へと伝染する。そして、病気をうつされた動物が人間と密接に接触するようになり、人間に伝染する可能性が高まる。
 動物たちは、食用として狩られ、アフリカの市場やアジア地域、特に中国にある野生動物の食肉市場で売られる。また、世界中にある集約農場には数十億匹の動物たちが容赦なく詰め込まれている。こうした環境で、ウイルスが種の壁を越えて動物から人間に伝染する機会が生まれるのだ。

■このような動物市場に対し、私たちはどんなことができますか?
 中国が生きた野生動物の市場を閉鎖したのは非常に良いことだ。一時的な禁止措置だが、われわれはこれが恒久的な措置になり、他のアジア諸国も後に続いてくれたらと願っている。
 しかしアフリカではブッシュミート(食用の野生動物の肉)の販売に多くの人の生活が懸かっているため、これを禁止するのは非常に難しいだろう。
 自分自身や家族を養うためのお金を全く持っていない人々に対して(食用野生動物販売の)禁止をどう行うべきかは、かなり慎重に検討する必要がある。ただ少なくとも今回のパンデミックはわれわれに、新たな流行を防ぐにはどんなことをすべきか教えてくれたはずだ。

■私たちは何に希望を持てば良いですか?
 私たちは自然界の一部であり、自然界に依存しており、それを破壊することは子どもたちから未来を奪うことに他ならないということに気付かねばならない。
 世界中で行われている前例のないロックダウン(都市封鎖)という対応によって、より多くの人が目を覚まし、ひいては、どうすれば自分たちの生き方を変えられるのかということを考えるようになればと思う。
 日々の小さな選択をする時にその選択がもたらす結果を考えるようにすれば、誰でも、毎日、影響を与えることができる。何を食べるか、その食べ物はどこから来たのか、その食べ物は動物を虐待して得られたものか、集約農業によって作られたものか(大抵の場合そうだが)、子どもの奴隷労働で作られたから安いのか、生産過程において環境に悪影響を及ぼしたか、どこから何マイル移動してきたのか、車ではなく徒歩で移動できないか。
 それから、貧しいとこういった倫理的な選択ができないため、どうすれば貧困を和らげられるのかも考えてほしい。貧しい人たちは生き延びるために、自分たちにできることをせざるを得ない。どれを買おうかと考える余裕はなく、最も安いものを買うだけだ。食べ物をもっと栽培できる土地を必死に探し、最後の木を切り倒してしまうのだ。
私たちが生活の中でできることは、一人一人少しずつ異なるが、私たち皆が変化を起こすことができる。誰もがだ。
(https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/コロナパンデミックの原因は「動物の軽視」-霊長類学者グドール氏/ar-BB12vhoi)
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 私は英語の問題集からたまたまグドール氏のことを知りました。彼女の活動を説明した英文が過去の進研模試に登場したのです。彼女が警告しているように、現代人は自然と共存するよりも拝金主義者と化しており、経済第一主義を唱道しています。言い換えれば他の生命体を犠牲にし、自然を軽視した生き方を選んできたのです。
 日本では明治以前の時代は人々は自然とともに歩いてきました。特に江戸時代は完璧なエコ・リサイクル社会として知られています。江戸時代は廃物という考えはなく、残飯や糞尿は肥料として畑で使用されました。エコロジー(生態学)としては最先端を歩いていたわけです。
 今度の新コロ厄災を契機として、人類が生き方を改めないと、第2、第3の新型ウィルスが発生し、人類の生存を許さないでしょう。そこに地球の意志があるような気がします。あまりにも自然を破壊し、他の生命体の存続を脅かす人類は生命の母なる地球にとって邪魔者でしかありません。

2020年04月17日