#544 ランドセル

 今朝は不安定な天気が続いて、大牟田では早朝から雷を伴った激しい雨が断続的に降っていました。昼過ぎには晴れ間も見られ、午前中の嵐がうそのようです。九州北部もあすには梅雨明け宣言が出ることでしょう。ようやく夏休みとともに真夏がやってきます。
 公立の小学校、中学校、高校では19日に終業式を迎え、夏休みが始まりました。校庭には部活動以外は児童や生徒の姿が見られず、校内は静かなひと時を迎えています。ランドセル姿の小学生も見かけることはありません。
 ところで私達日本時にはおなじみのランドセルですが、海外の人々にとって日本式のランドセルは珍しいようです。実際、海外の学童たちはランドセルではなく、バックパック(リュックサック)が普通です。この日本のランドセルに対して海外から賞賛の声が届いています。今日はその一部を紹介します。

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『日本社会を結びつけるブックバッグ』
今回は「日本社会を結びつけるブックバッグ」と題されたニューヨークタイムズ紙の記事からで、日本のランドセルに焦点が当てられています。なおこの記事は、大きなニュースがいくつもある中で、15日に一面で報じられています。早速ですが、以下が要点です。

「日本ではランドセルが約150年間、日本の子どもたちの象徴となってきた。日本の文化に深く根付いた、
 同調性と調和を象徴するユニークな存在だ。

 1885年、皇族の子弟を教育する学習院が、オランダの軍用バックパックを模した、ハンズフリーモデルを公式通学カバンとして指定した。歴史家によれば、そこからランドセルは、日本の子どものアイデンティティの象徴となった。

 戦後には経済を再建するために、勤勉で献身的な労働者を育てる必要があり、大企業はランドセルの強い連帯感を認め、従業員の子どもたちに贈ることがあり、今年初め、ソニーグループ社長の十時裕樹氏は、ランドセル贈呈式においてランドセルを、『家族をつなぐ重要な絆』と表現した。

 ランドセルは祖父母が記念品として贈る事もよくある。この春、ランドセルを買いに来ていた一家は、『ランドセル以外の選択肢は考えたことがない』 と語っていた。

 近年、一部の親や子どもの権利擁護者は、小さな子どもたちには重すぎると訴えているが、努力、忍耐、根気に高い価値を置く文化の中では、子どもたちの負担を軽減しようという動きは、今のところあまり進んでいない。

 インタビューに答えてくれた6年生の女子生徒は、他の種類のバッグを欲しいと思ったことはないと言う。
 『みんなランドセルを使っているからです。それは良いことだと思います』と彼女は口にした」
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 記事には、このような伝統的な習慣があること、またランドセルの所有、あるいはその購入を通じて、家族や社会に強い結びつきが生まれている事などに対し、NYT紙の読者から羨望の声が相次いでいました。次に損も声の一部を紹介します。
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■ 祖父母が直接孫のためにランドセルを買うか、
  両親(祖父母からすれば自分たちの子ども)に
  ランドセルを買うお金を贈る習慣が日本にはある。
  義理の両親の心遣いはとてもありがたかった。
  子どもたちが自分たちのランドセルを手にしたとき、
  ものすごく喜んでいたのを覚えてるし、
  祖父母と孫の間に特別な絆が生まれたよ❤

■ 祖父母を讃えるあなたも素敵。
  日本の文化からは帰属意識、
  そして教育に対する健全な価値観、
  この2つが見て取れる❤️

■ 僕らアメリカ人がバックパックを"発見"したのは、
  1980年代になってからだと思う。
  一方で日本人は1世紀半以上も前にそれを手に入れ、
  美しく仕上げていたのか。

■ こういう面でも日本は世界の先にいる。

■ 何年も使えるっていうのがいいね。
  子どもが新しいものを欲しがったからと言って、
  ただ買って捨てればいいわけじゃない。

■ ランドセルはひとえに美しい!

■ ドイツにも似た伝統的なバックパックがあるよ。
  必ず持たなければいけないという決まりはないけど、
  ほとんどの子どもは持ってる。
  子どもたちに整理整頓を教える事は文化的に重要で、
  本は保護されるべきものであるという考えもある。
  日本の文化とは共通点が多いようだ。

■ ドイツや日本は集団的価値観を重視し、
  アメリカは個人主義を重視してる。
  これは社会のいたるところに反映されていて、
  良くも悪くも非常に個性的な人物が、
  日独から生まれてこないのはそれが理由。

■ キュートな黄色い帽子についても教えて!

■ 我が家の息子もそろそろ必要になる。
  ちなみにこのタイプのバッグの価格は、
  600ドルから900ドル近くするんだ。 😮

■ 自分は唯一の外国人として、
  日本の小学校に2年間通ってた。
  ランドセルと黄色い帽子を被ることで、
  自分が少しでも溶け込めてる気になれたんだ。
  ランドセルはかなり高価かもしれないけど、
  6年間しっかり使える耐久性がある。
  ランドセルは今屋根裏部屋にあるけど、
  箱から取り出したらその瞬間に、
  僕を東京の小学校に運んでくれるだろう!

■ 日本人は同調してるわけではないと思う。
  私には安定性、長持ち、調和、
  そして集団的経験の象徴に見える。
  それに環境にも優しいよね。
  小学校の間ずっと使えるものなのだから!

■ 日本の子どもたちは普通歩いて学校に通う。
  そう、歩いてなんだ!
  僕が日本で暮らしてる時に、
  小学生が1人で、あるいは集団で、
  交通量の多い通りを登下校してるのをよく見かけた。
  車のドライバーも歩行者の人たちも、
  誰もが子どもたちのことを強く意識して、
  毎日の移動が安全であるように気を配ってたよ。
  僕たちは安全な社会について、 
  日本から学ぶべきことが多い。

(パンドラの憂鬱より) http://pandora11.com/blog-entry-5025.html
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 日本人にとって当たり前のランドセルですが、海外の人々の目には珍しいものとして映っているようです。またランドセルと日本の文化を結び付けて考えることは、私たちにとって少し驚きです。日常生活に当たり前に存在する事物に関して特に意識することはありませんが、海外の人々からすれば自分の文化と異なるので、珍しく感じるのでしょう。海外からの観光客が増えていますが、彼らの目に日本文化がどのように見えているか知ることができれば面白いと思います。

2024年07月21日