#191 七夕と公害(2)

 お盆休みも終わり、多くの人々はまた多忙な日常生活に戻っています。子ども達は夏休みの宿題に追われています。多くの学校では2学期の開始日が最近早くなってきています。エアコンを教室に設置しているために、大牟田地区の中学校では8/27日に2学期が始まります。厳しい残暑が続きますが、夏休みも残り1週間ほどで終わりを迎えます。
 さて、前回のブログの続きになります。
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 光害は経済至上主義社会が生み出したものです。というのは、光害の大きな原因となっているのが原子力発電だからです。
 現在日本の発電事業は、火力、水力、原子力の三つに支えられています。水力発電はダムを造り、落下する水の力でタービンを回し発電しています。火力発電は、石油などエネルギー資源を燃やし、その熱でお湯を沸かし、蒸気の力でタービンを回し発電します。原子力発電も、火力発電と同じようにお湯を沸かしてタービンを回すのですが、決定的に違うのは、原子力発電は生産量をコントロールすることができないという点です。
 原子力発電は、核融合エネルギーを用いるため、状況に合わせ発電量をコントロールすることができません。原子力発電は一度動かし始めてしまうと、電気があまり使われない真夜中でも、昼間と同量の電気を生み出し続けなければならないのです。
 電力会社によって深夜の電気使用量拡大策として考えられたのが、観光地の「ライトアップキャンペーン」でした。歴史的建造物や、橋、高層ビルやタワーが明るい光に照らし出される様子は美しいものですが、それによって夜は確実に明るくなり、人類は満点の星空を失いました。植物そのものに豆電球を飾り付ける電飾も都市などで盛んに行われました。夜のライトアップが植物を死滅に追いやっているにもかかわらず、人々は灯りを消そうとしません。
 それはなぜでしょうか。お金儲けにつながっているからです。観光地はライトアップすることで人を集め、都市ではネオンサインを使って自社製品を宣伝します。二十四時間営業のコンビニエンス・ストアが必要以上に明るいのも、人の購買意欲をそそるためです。
 すべてがただお金を儲けるために行われているのです。私たちはもうそろそろ、お金よりも大切なものがあることに気づかなければなりません。そのためには、私たちがこれからも地球で生き残っていくために本当に必要なものは何なのかということを見直すことが必要です。お金儲けを最優先事項にしている限り、人類は崩壊のシナリオを歩み続けるだけだ、ということに気づかなければなりません。
 地球で生きることを大前提とした産業構造や経済構造を考え、移行していくことが必要なのです。命というのは循環です。一つの命が滅びても、生み出された新たな命が生をつないでいきます。自然界でも、動物の死体は食物連鎖の中で別の命の栄養源となり、さらに大きな命の循環を支えていきます。この命の循環はどこかで度を越した余分や不足が出ると、崩れてしまいます。循環は限られたバランスの中でしか維持することができないからです。これが膨大な意識がつくり上げた、このゲームのルールなのです。
 しかし、人間だけが地球上のバランスを崩してしまっています。それは、命の循環よりもお金儲けや自分たちの欲望を優先してしまうからです。
 私たち個々の意識は膨大な意識につながっています。どうすればバランスを維持し、命を謳歌することができるのか、その答えを膨大な知識は知っています。どんな困難に直面しても、人はそれを乗り越えるだけの力を持っています。最後まであきらめずに、どうすれば環境のバランスを整えることができるのか、一人ひとりが自分の問題として取り組んでいけば答えは必ず見つかります。なぜなら私たち一人ひとりが膨大な意識そのものでもあるからです。
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 著者が主張していますように、私たちは電気や水資源などエネルギーの無駄遣いを日々行っています。地球の限りある資源を将来の世代につなぐことを考えないで母なる地球から搾取しています。昨今の地球温暖化はその結果生じたものでしょう。原子力発電も電力会社が主張する様な安価なエネルギーではありません。廃炉に必要な費用を考慮していないからです。廃炉に必要な費用がどのくらい必要かは福島の原発処理が良い例です。また原子力発電で生じた夜間電力を消費するのにNHKを始めとする大半のテレビ局は24時間放送を行っています。特に夜間の番組はショッピング番組など、どうでもいいような内容の番組を放送しており、電気エネルギーを大量に浪費しています。
 私たちは自然と切り離された環境では生存することができません。地球が与える環境下でのみ生きていくことができるのです。今年の夏は世界的に異常気象が発生しました。この事象が今後も続くのかどうか私たちは慎重に見守らなければなりません。宇宙船地球号は人類のためではなく、地球で生活するすべての命のものです。
 なお、著者の木内鶴彦氏は彗星探索家として名を知られています。彼が発見したスウィフト・タットル彗星は周期が135年ですが、次の接近の際(2126年)に地球に衝突する可能性があり、木内氏が主唱して1994年に将来世代にどのような地球環境を残すかを話し合う「将来世代フォーラム」という世界会議ができました。また氏は「臨死体験」ではなく医者が死亡を宣告した「完全死」を体験した人でも有名です。興味のある方は「生き方は星空が教えてくれる」(サンマーク文庫)をご一読ください。

2018年08月19日