#384 AMラジオが消える日

 今日は梅雨の中休みらしく、朝から晴れています。室内の温度はすでに28度を超えており、最高気温が32度を超えるものと思われます。真夏のような一日になるようですが、日中のマスク着用はマスク内に汗をかいて不快感が増します。汗を吸い取ってくれる夏用のマスクに替える時期が来たようです。
 さて先日とんでもないニュースが飛び込んできました。AMラジオの終わりが近づいています。それも令和10年度までには廃止する予定だということです。産経新聞では次のような記事をネットに掲載しています。
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『AMラジオが消える日 文化部・道丸摩耶』
 学生時代、深夜ラジオを聞くのが楽しみだった。特に熱心に聞いたのは、応援していた音楽ユニットがパーソナリティーを務める番組。メンバーの出身地、愛知県のAMラジオ局が放送していた。
 といっても、当時私が住んでいたのは横浜市。ラジカセのアンテナを限界まで引っ張っても、昼間は雑音ばかりで何も聞こえない。ところが深夜になると、かなり小さな音ではあるが、確かに番組が聞こえたのである。悪天候の日はまるで聞こえなかったり、違う放送局の音が聞こえてきたりもしたが、番組をカセットテープやMDに録音し、自分の投稿が読まれた日は何度も聞き直したものだ。
 そんな「AMラジオ」がなくなる日が来そうだ。AMラジオ放送を行う民間事業者全47社でつくる「ワイドFM対応端末普及を目指す連絡会」は15日、全国44のAMラジオ局が、令和10年秋までにFM局への転換を目指すと明らかにした。一部の局は10年以降も補完放送としてAMを継続するが、在京3社(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)は同時期までにAMを完全に停波する方針だ。
 AMラジオを送信するには、広い敷地に高さ100メートル規模のアンテナが必要。設備が老朽化する中、比較的簡易な設備で維持費も安いFM放送に切り替えたいと各局が考えるのは仕方がない。転換後のFMは原則、旧来のラジオで受信できない周波数の「ワイドFM」のため、受信機器の普及が急がれる。
 もっとも、AMラジオが消えるころには、ラジオはインターネットで聞くものになっているかもしれない。パソコンやスマートフォンで全国のラジオ局の番組が楽しめる「radiko(ラジコ)」の利用者は増え続け、放送波を上回る聴取者を獲得している。リアルタイムで楽しむだけでなく、放送終了後も一定期間聞ける番組もある。地域も時間も電波の長短も飛び越えられる、ラジオ好きには喜ばしい時代が来た。
(https://www.sankei.com/article/20210619
                   -OVMSVRS2YFNK7JS3C7UX62D3DE/)
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 福岡県内のAMラジオ放送局RKBやKBCもAM放送をFM放送に移す予定だそうです。FM放送は音声がきれいで、NHKFMは主にクラシック音楽を、FM福岡はポピュラー音楽を流すイメージがあります。しかしながら、電波の届く範囲が狭く、福岡県以外の地方の放送局の番組を聞くことはできません。もちろんネットで有料の「ラジコ」を視聴すれば全国の放送局を視聴できますが...。
 おそらく50代以上の人々にとって10代の頃はAMラジオが情報を収集する唯一の手段だったと思います。インターネットが普及するまでは今のようにネットやSNSから情報を入手する手段はなく、若者たちはラジオを通して同世代の情報を入手していました。当時の深夜放送は若者たちの情報を交換する場でもありました。オールナイトニッポン、パックインミュージックなど全国の若者たちが投書の形式で様々な情報を交換したものです。深夜放送を通してヒットした新曲も数知れません。そのために中学・高校生は帰宅して仮眠を取り、勉強するふりをして深夜放送を聞いていたものです。
 いまでは様々な媒体が情報を交換する場として存在していますが、当時の深夜放送のような1つの媒体を全国の若者が共有する時代は終わりを告げました。情報交換はオタク文化に象徴されるように同じ関心を持った者同士が集まる場へと変化しています。
 ラジオの放送はAMラジオの終焉で1つの文化が終わりを告げます。放送自体が終わるわけではありませんが、ラジオのダイヤルを回して放送局を探していたアナログの時代が終わるのです。深夜何気なくダイヤルを回していると、遠い地方の放送が聞こえました。北海道や京都、東京や大阪の放送局が雑音交じりにラジオから流れ、遠い地域に憧れを抱いたものです。また外国からの放送も届き、韓国や中国からの放送はもちろん、ロシア語や不明の言語がラジオから流れて、異国情緒を感じたものです。日本ではラジオ文化において1つの時代の終焉を迎えます。

2021年06月20日