#567 四当五落

 今日は冬寒の中、都大路で全国高校駅伝大会が行われました。福岡県代表として女子は筑紫女学園高校が七位入賞、男子は大牟田高校がみごと二位に入りました。両チームとも日頃の練習の賜物です。特に男子は八位入賞の中に九州の高校が4校入りましたので、九州勢は大変健闘したことになります。往時のマラソン強豪時代を彷彿とさせます。来年の活躍が楽しみです。
 さて、「春眠暁を覚えず」と言いますが、このことは春だけのことではありません。特に寒い冬の朝は温かい布団から抜け出すのに苦労します。また洗顔時に冷たい水を顔にかけると体全体に震えがきます。冬になったばかりですが、早くも春が待ち遠しい今日この頃です。
 ところで睡眠ですが、日本人は睡眠時間が少ないことで知られています。日本の平均は7時間22分と世界的に見ても短い水準にあります。さらに、令和元年(2019年)国民健康・栄養調査報告によると、40-49歳の1日の平均睡眠時間で、一番回答が多かったのは「5時間以上6時間未満」(36.5%)でした。もともと少ない睡眠時間が、働き盛り世代ではさらに少なくなっています。(https://www.ichiken.org/blog/2444-20240105/)
ちなみに世界で一番睡眠時間が長い国は南アフリカ(9.21時間)、次に中国(9.03時間)となっています。
(https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20180210070000/)
 また睡眠時間は健康と深い関係があり、睡眠不足は、日中の眠気や意欲の低下を引き起こし、作業能力を低下させます。さらに、自律神経にも影響し、食欲を抑えるレプチンというホルモン分泌が減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。食べ過ぎは肥満につながりますし、肥満があれば高血圧や脂質異常症など、様々な生活習慣病にかかりやすくなります。ただの睡眠不足と侮ってはいけません。(https://www.ichiken.org/blog/2444-20240105/)
 そのような日本人の睡眠習慣の影響でしょうか。多くの高校では朝課外授業を中止にする学校が増えてきています。この件に関して読売新聞は次のような記事を掲載しています。
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『「寝だめ」できない、中高生は夜型で早朝の勉強は効率悪い…睡眠の「新常識」』
 睡眠に関する誤解は多い。「若者は早起きして勉強すると効率がいい」「(短時間睡眠で済む)ショートスリーパーになれる」――。こうした情報は今もネット空間などで散見されるが、科学的には否定されている。睡眠の質を高めるコツはあるのか。専門家に改めて確認した睡眠の「新常識」をお伝えする。
<中高生 朝課外廃止相次ぐ>
 九州の高校では1時間目の授業前の早朝、大学受験などの対策に取り組む「朝課外」と呼ばれる非正規授業が開かれている。長年の習慣だが、熊本県の全県立高校が2022年度末で廃止するなど見直しが相次いでいる。
 朝課外は以前から教員の重い負担や生徒の寝不足の一因と指摘されていた。教育ベンチャー「スタディプラス」(東京)が高校生約760人に行ったオンライン調査では、約7割が「必要ない」と回答し、そのうち約8割が「寝不足になること」を理由に挙げた。
 「四当五落」(睡眠が4時間の人は合格し、5時間以上の人は不合格になる)――。受験を巡ってはこんな言葉もあったが、今は「六当五落」とも言われる。
 生物学的な研究でも、人は10代後半から急激に夜型に移行し、20歳前後でピークに達するとその後は年齢とともに朝型になると示されている。1998~99年に睡眠や覚醒を制御する物質オレキシンを発見した筑波大の柳沢正史教授は「中高生は夜型で、強制的に早朝に起こせば睡眠不足を招く。早朝の勉強は効率が悪い」と明言する。
<「目覚め良い90分サイクル」都市伝説>
 人の睡眠は人生の約3分の1を占める大切な休息の時間だ。ただ、科学的な研究のスタートは1920年代と比較的歴史が浅く、睡眠の実態は謎が多い。そのためか誤解も生まれやすい。
 ショートスリーパーに関する情報もその一つだ。現代は時間対効果「タイパ(タイムパフォーマンス)」を求める意識が高まっているが、日本睡眠学会の内村直尚理事長は「訓練ではなれない」と言い切る。必要な睡眠時間は遺伝子レベルで決まっており、個々人で違うことが研究でわかっているからだ。「3時間睡眠」で知られるナポレオンも居眠りしていたとされる。
 「90分サイクルで起きると目覚めが良い」との情報についても柳沢氏は「ほぼ都市伝説」と断言する。人は睡眠中、眼球がキョロキョロ動いて夢を見る「レム睡眠」とそれ以外の「ノンレム睡眠」を平均90分サイクルで繰り返す。だが同じ人でも一晩に60~120分のばらつきが出る。柳沢氏は「人がいつすっきり目覚められるのかは、よくわかっていない」と明かす。
 寝だめに関する誤解もある。経済協力開発機構(OECD)の2021年の調査によると、日本の平均睡眠時間は7時間22分。調査対象の33か国中で最も短く、米国の8時間51分と比べて1時間以上の差がある。「眠れない平日に備え休日に寝だめすればよい」とも考えがちだが、柳沢氏は「睡眠不足による『負債』を返すだけで睡眠を『貯金』することはできない」と話す。
 寝酒も問題だ。飲酒で中枢神経が抑制されて眠くはなるが、アルコールは体内で代謝されるとアセトアルデヒドという物質に変換され、交感神経の働きを活発にするなどして快眠を妨げる。柳沢氏は「睡眠の質は最悪で、眠るために飲酒をするなら睡眠薬を処方してもらった方がはるかに良い」と助言する。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20241213-OYT1T50208/
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 上記の記事にあるように、睡眠には個人差が大きいようです。3,4時間で充分だという人もいますし、8時間眠らないと体調が悪いという人もいます。個人に合った睡眠時間を取ることが一番いと思われます。以前は受験生にとって「四当五落」と言われた時代がありました。70歳以上の方々が受験生として大学受験をしていた頃の話です。睡眠4時間ならば合格、それ以上寝たら不合格と言われていた時代です。受験勉強の時間を確保することは大切ですが、睡眠時間を必要以上に削りますと一日中体調がおかしくなります。現在では受験生個人に応じた睡眠時間を確保することが一番です。共通テストまであと4週間です。体調管理に注意して悔いの無いように頑張りましょう。

2024年12月22日