#59 オリンピックとドーピングとカンニング

 リオ・オリンピックも日本時間の明日(8/22)閉会式を迎えます。獲得したメダルの数にかかわらず日本選手の活躍は見事でした。特に水泳や、卓球、バドミントンなどの種目で金銀銅メダルを獲得することは一昔前では考えられなかったことです。各選手の日々の血のにじむ努力が実を結んだことと思います。4年後はいよいよ東京オリンピックです。今回以上の日本選手の活躍が期待できます。
 ところでドーピング問題が今回のオリンピックでも問題化しています。過去においては国家主体のドーピングが問題となり、WADA(世界アンチドーピング機関)は今回のオリンピック前にロシアが組織的にドーピングをしていたことを告発しましたが、IOCのあいまいな態度で結局ロシアがリオに参加することになっています。また陸上競技で一世を風靡した中国の馬軍団ですが、組織的なドーピングをしていたことが明らかになっています。選手が拒否したにもかからわず、コーチが強制的にドーピングをさせていたそうです。
 これほどまでにドーピングが行われている背景にはいくつかの理由が考えられます。まず組織的なドーピングは国家の威信や競技団体の名声などに得るためと考えられます。つまり不正を行っても他国に勝ちたいという偽我(醜い心)の存在です。また選手個人はオリンピックや世界大会でメダルを獲得することで、名誉と金銭が手に入ります。純粋にスポーツに勤しむのではなく、あくまでも我欲のため、ビッグマネーのためにドーピングを行っているのです。一昔のオリンピックはアマチュアリズムと平和の祭典でした。ところがオリンピックの商業化やプロ選手の参加により、オリンピックの精神が変貌していき、今日に至っています。
 このドーピング問題に関しては我々一人ひとりにも言えることです。卑近な例では試験での不正行為です。特に入学試験や検定試験での不正行為(カンニング)フェアプレイに反する行為です。何とかして他人よりも上に立ちたい。そのためには手段を選ばず、他人を蹴落としても上に立ちたい、という醜い精神の現れです。もちろんフェアプレイの精神で正々堂々と闘うのであれば称賛に値しますが、その真逆の精神です。これが拡大して究極的には国家同士の争い、戦争につながります。人間の持つ一番醜い心です。何事もフェアプレイに徹したいものです。

2016年08月21日