大学時代の英語学習

 浪人生活を経験し、無事に西南学院大学外国語学科(英語専攻)に合格しましたが、1970年代当時公立学校の生徒がネイティブの授業を受けたことは全くなく、私もその一人でした。それだけに大学で英語のみで行われる授業についていくのが大きな課題となりました。受験勉強としての英語は理解していましたが、英会話やリスニングに関しては全く経験がありませんでしたので、当時の私はこれを克服することが一番の課題でした。今のようにインターネットで英語が飛び交う時代ではなく、まして英会話学校に行くにはお金がありませんでした。
 そこで、まずリスニングを鍛えるために利用したのが短波ラジオでした。今でこそインターネットラジオで世界中の放送局を聴くことができますが、当時の世界中の情報源は短波ラジオでした。特に熱心に聴いた放送局がアメリカのVOA(Voice of America)、イギリスのBBC、オーストラリアのABC、そして日本の海外放送番組であるNHKのラジオジャパンでした。当時行ったリスニング方法は好きな放送局を聴きながら5分ほどテープレコーダーに録音し、ディクテーションを行います。そして書き取った英文と録音した英語を聴き比べて間違えていないかどうか確認する作業を半年ほど続けました。その結果ラジオで話される英語を何とか聞き取れるほどにまでなりました。
 練習するのに一番困ったのが会話(speaking)です。英会話は大学の必須単位であり試験も行われるので、単位を取れる程度の英会話力が必要となります。会話相手がいない場合には一人で英語で考えて話すことがよく指摘されますが、どうしても限定的なやり方に留まります。また、実際会話相手がいませんと、うまくコミュニケーションができないことが多々あります。そこで私が利用したのがよく新聞の掲示板に載っている無料英会話講座です。当時はモルモン教の各支部が無料英会話講座を行っていましたが、それを3カ月ばかり利用しました。その講座の内容は1対1の対面形式ではなく、参加者の英語のレベルに応じたグループ形式で、様々なトピックについてお互いの意見を自由に出し合う形式で行われました。
 アットホームの雰囲気で行われましたので、気楽に参加することができましたが、時間が経つにつれて徐々に宗教的な勧誘が始まってきましたので、徐々に嫌気がさしてとうとう講座には行かなくなりました。しかしながら、外人(ここではモルモン教の伝道師)と話すことでコミュニケーションに慣れてきたことが一番の収穫でした。またこの時期にアルク社の月刊誌イングリッシュジャーナルで「ヒアリングマラソン」が始まり、リスニング力を養成するにも役立ちました。大学時代には英語の実用面に力を入れましたが、英語が上達するにはまだまだ時間がかかる状況でした。

2018年05月06日