恩師との邂逅

 私が中高生の頃、様々な外国語や情報が飛び交っている大牟田でしたが、英語に関してはそれほど進んでいる街ではありませんでした。今とは異なり、公立の中学校や高等学校にはネイティブの教師はおらず、英語と言えばあくまでも教科の1つで、読解に特化した教科でした。街にはほとんど外国人は住んでおらず、実際私が外人と話したのは大学に入学してからのことでした。
 私が英語に興味を抱いたのは浪人して予備校に通うようになってからのことです。当時の予備校は福岡市に九州英数学館と水城学園という2つの地元の大手予備校がありました。現在のように駿台予備校や河合予備校など中央の業者が進出することはありませんでした。ただマンモス予備校で知られた代ゼミと水城学園が提携していたこともあり、代ゼミの有名講師の先生が週に2,3回来福されていました。私は水城学園に通い、そこで素晴らしい先生方と出会い、その分かりやすい授業や生き方を学び、英語に対する興味がわいてきました。当時は現役の大学教授が予備校の授業を担当していたこともあり、単なる受験勉強以上の生きた英語を学ぶことができました。その中でも一番影響を受けた先生方は成城大学の故小野嘉寿男先生、慶應義塾大学の故三浦新市先生、東京工大の松山正男先生、それに数学で大変お世話になった「なべつぐ先生」こと故渡辺次男先生には個人的に数学を指導していただきました。
 予備校時代から早40年ほどが過ぎ、ほとんどの先生方が鬼籍に入られましたが、それでも時々なつかしい授業風景を思い出し、この頃に英語教師としての土台が築かれた時代だったと思います。人生の節目で出会う人々に私たちは大きく影響されます。また自分の生き方を変えることがあります。特に教師が生徒に与える影響は良くも悪くも大きく、人の一生を変えるほどです。教師の何気ない一言が生徒を勇気づけたり、傷つけたりします。教職はすべての教員にとり天職であり、また他の職業よりも重責がかかります。教職を目指す人は覚悟して教職に就いてもらいたいと思います。

2018年04月10日