#504 過ぎたるはなお及ばざるごとし

 今日は雨の1日です。前線や低気圧の影響で、深夜から降り出した雨が断続的に降り続いています。久しぶりの本降りです。そのせいで本日の最高気温が19度となっています。このまま本格的に秋になっていけば良いのですが、明日からまたしばらく夏日が続くようです。確かにここ数年間10月の中頃まで半袖で過ごしていますので、衣替えはもう少し先になることでしょう。今年も秋が短くなりそうです。
 さて、親の子どもへのいじめや虐待がニュースで報道されない日はないほど連日続いています。この種の犯罪を防ぐために、児童相談所や警察などの公的な支援が必要であるという意見が多数あります。また加害者に対して厳しい指導が必要とする意見もあります。しかしながら、児童虐待を防ぐために厳しい法律による指導はどうでしょうか。現在問題になっている自治体があります。埼玉県です。埼玉県では次のような条例案を考えているようです。東京新聞から転載します。
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『子どもだけの留守番・外出禁止 埼玉・自民党県議団が条例案 順守困難の声も』
 自民党県議団は4日、開会中の埼玉県議会9月定例会に、子どもだけでの留守番や外出を「置き去り」として禁じる県虐待禁止条例改正案を提出した。相次ぐ子どもの死亡事故を受けた提案。罰則はないが、条例案が想定する禁止行為は幅広い。他会派からは「共働きやワンオペ育児、ひとり親では守るのが困難。保護者が地域から監視されて孤立しかねない」との声も上がる。
 条例は、小学3年生以下の子どもを放置しないことを保護者など成人の「養護者」に義務付け、4~6年生については努力義務とする。自民によると、学童保育の主な対象が小学3年生までのため、学年を区切った。県民に禁止行為の通報も義務付ける。
 自民が9月28日の議会運営委員会で方向性を示し、上程案には県に待機児童解消などの施策を講ずるよう求める条項を入れた。共産党県議団は「養護者に過度な負担を強いかねない」と、改正案を議論する委員会での参考人質疑や公聴会の実施を求めている。
 4日の質疑では、伊藤初美氏(共産)が、改正案で禁止される具体的な行為をただした。答弁した小久保憲一氏(自民)は、成人の見守りのない状態での集団下校や公園での遊びなどを例示した。
 自民の田村琢実団長は同日の本会議後、改正案の狙いについて「『仕事だから、ちょっとだから留守番させてもいい』という社会慣習をどうにかしないと。虐待だという認識を高めたい」と報道陣に説明。学童保育やベビーシッターなどの需要を掘り起こし、整備拡大につなげたいと話す。施行後の経過を見て罰則を付けることも検討するとも説明した。
 改正案は6日の福祉保健医療委員会で議論。13日の定例会最終日に採決の予定で、可決されれば、2024年4月1日から施行される
https://www.tokyo-np.co.jp/article/281797
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 実際、上記の条例が施行されれば、どのような事態が発生するでしょうか。上記にあるように、共働きや、ひとり親家庭では親が常に子どもと一緒に行動するのは不可能です。条例案を提出した議員はこのような子育て実情を理解しているとは思えません。子どもは親の庇護にあるのが理想ですが、四六時中一緒にいるのは不可能です。何事もやり過ぎはいけません。このような言動にふさわしい格言があります。
  「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」
  (行き過ぎたことややり過ぎたことは及ばないことと同じで、正しい道には適っていない。
   物事の中庸を尊ぶべきである。)
 何事も法律の拡大解釈は害しかもたらしません。世の中の実情に応じた万人が納得する条例でありたいものです。

2023年10月08日