#291 桜が一斉に咲く理由

 今日は朝から曇っていますが、春らしい暖かな気温となっています。今朝当塾に来る途中で桜の木を見ましたが、2,3輪の花が咲いているだけで、この辺りは開花宣言が出せない状況です。来週にはもう少し春めいた天気が続き、桜花は七分咲きになっているでしょう。
 さて、新型コロナウイルスの話がしばらく続きましたので、本日は桜に関する話題見つけました。よく特集番組で扱われる「桜はなぜ一斉に咲くか」です。東洋経済オンラインに本日次の記事が掲載されましたので、それを転用します。

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桜の花が一斉に咲き始める"意外すぎる"理由 知れば知るほど面白い「メカニズム」
 間もなく花見の季節。新型コロナウイルスによるパンデミックもあり、人々の交流がさまざまな場面で制限されているが、外出時、道端の桜の木にふと目をやると、花芽がだいぶ大きく膨らんでいる。私たち日本人にとって大切な季節、春がいよいよやって来たのだ。
『雑学科学読本 身のまわりのすごい「しくみ」大百科』を著したサイエンスライターの涌井良幸・貞美両氏に、日本の代表的な春の風物詩である桜の開花と、それに関連した天気予報のしくみについて、図版を交えながらわかりやすく解説してもらった。

開花宣言で、なぜ「ソメイヨシノ」を使うのか?
 日本列島の桜の開花を示す桜前線は、西日本から関東、東北、そして北海道へと移っていく。でも、そもそもなぜ桜は春になると一斉に咲き始めるのだろうか。
 桜は、花が散って数カ月後の7~8月には葉の付け根に花芽をつけ、翌年に咲く花の準備を始める。そして、花芽を持った状態で休眠するが、秋に葉が落ちて冬の寒い空気にさらされると徐々に眠りから覚める。その後、気温が高くなるにつれて花芽が大きくなり、春に花を咲かすのだ。
 日本の多くの地域で桜の開花宣言に使われる桜は、ソメイヨシノという品種である。なぜこの桜の品種が指標に使われるのかというと、実は、ソメイヨシノはすべて同じ遺伝子からなるクローンだからだ。

ソメイヨシノのルーツ
 ソメイヨシノは江戸時代後期、染井村(現在の東京都豊島区駒込あたり)の植木職人によって作出されたといわれる。しかし、ソメイヨシノ同士では交配することができず、接ぎ木という方法でしか増やせない。そこで、1本のソメイヨシノの原木から接ぎ木によって増やしていったのである。
 野生のヤマザクラのように、異なる遺伝子なら個体によって開花のタイミングは違うのだが、クローンなら、地域や気候条件がそろえば一斉に咲き始め、満開となり、散っていくことになる。
 2019年3月、京都府立大学などの研究チームが、東京・上野公園にある、原木と推定されるソメイヨシノの全遺伝情報(ゲノム)の解読に成功したと報じられた。
 解読の結果、通説どおり、ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラを祖先に持つ可能性がわかったほか、祖先の桜から552万年前にいったんそれぞれの種に分かれた後、百数十年前に交雑によって再び1つになり、ソメイヨシノが生まれたことが判明したのである。
 気候に密接に関係している桜の開花を解説したところで、天気予報のそもそもについても触れておきたい。四季があり、天気の話題が好きな人も少なくない日本だが、知られていない知識は意外に多い。

「降水確率」「平年並」…天気予報で使う用語の意味
 天気や気温によって着る服を決めたり、降水確率で傘を持っていくかどうかを判断したりと、天気予報は私たちの暮らしに深く関わっているが、日本の気象情報を集めて天気を予測しているのは気象庁である。
 地域気象観測システム「アメダス」や気象衛星「ひまわり」、最新のスーパーコンピューターなどを用いて、天気や気温、降水量、風向、風速、日照時間といったさまざまな気象情報を分析している。
 ところで、この天気予報には「降水確率」や、季節予報の「低い」「平年並」「高い」の確率といった「確率」を用いた予報がある。
 たとえば降水確率60%とは、そのような予報を100回発表すると、予報区内において約60回で対象時間内に1㎜以上の降水があり、約40回で1mm以上の降水がないことを意味している。
 勘違いされやすいが、降水確率の数字は、雨の強さや降っている時間・範囲、雨の量などとは関係ないのだ。
 また「平年」も、天気予報の世界では統計学で厳密に規定されている。天気予報における平年の値とは過去30年間の平均値で、「平年並」は次のように求められる。

今年は観測史上最も早い桜の開花宣言に
 まず、各年の平均気温と平年の値(30年間の平均値)の差を求め、平年より平均気温が低い順に並べていく。この30年分のデータを「低い」「平年並」「高い」の3つの階級に分けたとき、真ん中の10年(平年並)の範囲を「平年並」としている。
 つまり、30年間で気温変動のばらつきが小さい10年を導き出しているのだ。これは統計学の言葉でいうと、「平年並」とは、平均値というより「中央値」に近い概念なのである。
 以上、この記事では、桜の開花と、それに深く関連する天気予報についてざっと解説した。東京では先日、観測史上最も早い桜の開花宣言となったが、最近は世相からしてどうしてもネガティブな思考に寄りがちだ。
 でも、私たちのメンタルをポジティブにし、心新たな気分にさせてくれるものは、実は身近に存在する。息が詰まるような今だからこそ、身の回りの自然に目を向けてみてはどうだろうか。
(https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/桜の花が一斉に咲き始める意外すぎる理由-知れば知るほど面白い%ef%bd%a2メカニズム%ef%bd%a3/ar-BB11waEO)
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 昨日テレビで上野公園の桜を中継していましたが、例年とは異なり人数が少なく、花見客でごった返している例年風景とは全く違う様子に、何か新鮮なものを感じました。都会の桜は人が見ていなくても立派に咲きます。人里離れた桜も誰にも見られずに健気(けなげ)に咲きます。どちらも同じ桜です。桜を愛でるこの国の文化を大切にしたいものです。

2020年03月22日