#281 オーストラリアの森林火災
今日は3連休の最終日になります。空には雲が出ていますが朝から晴れており、現在の気温が9度と冬らしい天気になっています。
ところで南半球は現在夏ですが、オーストラリアは大規模な森林火災で非常事態が続いています。Japan Forbes の昨日のネット記事では次のように伝えています。
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『オーストラリア森林火災で「種の絶滅」は必至、生物学者が指摘』
オーストラリアの山火事は壊滅的な被害をもたらし、依然として衰える気配を見せていない。貴重な野生動物が数多く生息する、現地の生態系に深刻なダメージが及んでいる。
火事でこれまで、推定10億以上の動物が命を失ったとされる。これは想像を絶する数字ではあるが、トータルの被害はさらに拡大する見通しだ。
「5億から10億の動物が犠牲になったとの議論もあるが、哺乳類や爬虫類、両生類及び鳥類に無脊椎動物を加えた場合、死亡した個体数の合計が兆単位に達する恐れもある」と、イーストアングリア大学の生物学教授でBBCの番組司会者としても有名なベン・ギャロッドは述べた。
「オーストラリア大陸はきわめて独特な生態系を誇り、この地域の維管束植物(シダ植物や種子植物)の85%と、哺乳動物の80%は、他の大陸では見られないものだ」と彼は続けた。
10億以上の動物が犠牲になったとするデータは、世界自然保護基金が発表した数値を元に、シドニー大学教授のクリス・ディックマンが試算したものだ。しかし、ディックマンの試算に無脊椎動物は含まれていないという。
今回の火災は既に1800万エーカーを焼き尽くしたが、ギャロッドはその影響が数カ月から数年の間、残り続けると予測する。火災から逃げた動物も棲みかを失い、食べ物の入手に苦しむことが予想される。結果として、いくつかの種が絶滅してしまうことが確実だとギャロッドは考えている。
「今のレベルの地球温暖化で、これほどの被害が起こるのであれば、仮に地球の平均気温が摂氏2度から3度上昇した場合、一体どのような事態になるだろう。今こそ人類は一致団結して行動を起こすべきだ」と彼は続けた。
(https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/オーストラリア森林火災で「種の絶滅」は必至、生物学者が指摘/ar-BBYRtRp)
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オーストラリアの森林火災(bush fire)は毎年発生しますが、昨年から今年にかけて発生した森林火災は数か月続いています。森林火災の原因はオーストラリア国内に群生するユーカリプスの木です。コアラの主食として知られていますが、この木は多量の油性分を含み、特に気温の高い夏には枝が風にあおられて、その摩擦熱により簡単に発火します。また落雷により多くの火災が発生します。
ニュース報道ではあまり知らせませんが、私がオーストラリアにいた時に、現地の人から聞いた話では、森林火災を防ぐために昔はオーストラリア先住民であるアボリジニは森林を少しずつ伐採し、適度の規模の森林火災を発生させて大規模な火災を防いでいたそうです。しかし現在では白人移住者によりアボリジニはエアーズロック近郊の保護地に追いやられ、森林を管理することをしていませんので、一旦火災が生じますと大規模なものになる傾向があります。
私の体験では、大学の図書館で勉強していた時に、ふと窓の外に目をやると、近くの森林が燃えていました。そのように森林火災は日常的なもので、オーストラリア人にとって夏の風物詩と言えるものですが、確かに今回の大規模火災は今までで一番ひどいものとなっています。上記の記事のように生態系にも大きな影響を及ぼしますので、一刻も早い消火が望まれますが、ご存じのようにオーストラリアは乾燥気候により、夏はほとんど雨が降りません。このまま自然消火に頼るしか方法はないようです。