#198 アルツハイマー病は脳の糖尿病だった!?

 今日は秋分の日です。昼間と夜の時間が同じで、明日からは夜の時間が長くなっていきます。また本日はお彼岸の中日でもあり、多くの人が墓参に出かけていくことでしょう。日本以外でお彼岸の習慣があるかどうか分かりませんが、春と秋の彼岸に墓参するのは祖先を敬う意味でも日本の素晴らしい伝統だと思います。
 さて9月21日は「世界アルツハイマーデイ」でした。世界中でアルツハイマー病に罹る人が急速に増えています。本日のブログのテーマである「アルツハイマー病は脳の糖尿病だった」は以前私が読んだ本(『アルツハイマー病は「脳の糖尿病」 2つの「国民病」を結ぶ驚きのメカニズム (ブルーバックス)』)の感想ですが、それ以降の情報が今週の「週刊新潮」で特集記事が掲載されていましたので、ここに取り上げてみます。
 私は専門家ではありませんので、詳細に説明することができませんが、2025年には患者数が国内で700万人を超えると言われている認知症のうち8割がアルツハイマーと言われています。この病気には現在根本的な治療法がありません。換言すれば病気の進行を止める薬や治療法がないのが現状です。現在行われている研究で分かっていることは脳内のたんぱく質であるアミロイドβが溜まることによりアルツハイマー病が引き起こされるということです。
 ところが最近の研究で”アルツハイマーは脳の糖尿病ではないか”、という仮説が出ており、それを元に様々な研究が現在行われています。この説によると、糖尿病患者にアルツハイマーを患う割合が多く、糖尿病と深い関係のあるインスリンがアルツハイマーの発症と深く関わっていることが判明したそうです。「新潮」の記事を引用しますと、
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「健康な状態では、すい臓で作られたインスリンは血液脳関門という、脳にある”関所”を通過して脳で作用する。ところが、インスリン抵抗性の状態(体がすい臓から分泌しているホルモンのインスリンが、標的とする細胞(筋肉や脂肪)に十分作用しないこと)だと、インスリンは血液脳関門を超えられず、脳まで届かない。インスリンは記憶を司る海馬などにブドウ糖を取り込む働きがありますが、インスリンが届かなければそれが出来ず、記憶力が低下する。また、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンはブドウ糖で作られるために、インスリンが脳で上手く作用しないと、アセチルコリンの機能低下にも繋がるのです。」
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 人が長生きすことは素晴らしいことですが、人がより長生きすることで以前は発症しなかった老化に関連する様々な病気が発症するようになります。アルツハイマー病も「恍惚の人」や「老人ボケ」などと呼ばれた時代もありましたが、現代では国民病と呼ばれるくらいに事態は深刻化しています。私事ですが、先日若年性アルツハイマー病で私の友人の一人が亡くなりました。
 この病気は誰にでも発症する可能性があり、他人事とは思えません。この病気は患者本人が気づかないままに、発病する20ほど年前に脳内にアミロイドβの沈着が始まるそうで、年を取れば誰にも罹患する可能性があります。アルツハイマー病を始め、根本的な治療法のない病気に対する研究が進み、少しでも病気に悩む人たちへの福音となるように医学研究の進展を望みたいものです。

2018年09月23日