#367 卒業
今日は2月末日で、明日から3月になります。3月1日は多くの高校で卒業式が行われます。卒業する高校3年生にとって次の段階へ進む節目となる大切な行事です。昨年同様、今年も新型コロナの影響下で、多くの学校で卒業生のみの卒業式が行われることでしょう。高校3年間の思い出を抱いて、卒業生はそれぞれの道を歩んでいきます。同じ学び舎で席を並べて学ぶことはもうありません。卒業式がお互い最後の出会いの日となる生徒も多くいることでしょう。
さて、卒業と言えば私事になりますが、教員生活30年ほどで高校3年生の担任を10回いたしました。また高校3年生を教科担当したのは教員生活の半分ほどになります。どういうわけか高2、高3の担任や学年主任を担当することが多く、生徒たちの人生に深く関係してきたことが今更ながら痛感します。特に高校3年生の担任は、他学年に比べて仕事量が圧倒的に多く、担当クラスの生徒や学年全体の生徒の進路指導に深く携わり、各学期の個人面談や模試ごとの面接等を通して、生徒本人の進路指導に深くか関わります。その意味で、生徒個人の状況を把握し、将来の進路を確保する意味で毎日が残業だったことを思い出します。実際、毎晩9時過ぎまで職員室に残り、授業の準備だけでなく様々な進路資料作成や学年の成績分析など多くの業務をこなしてきたことを今では懐かしく思い出します。あの頃は多忙過ぎて後ろを振り返る余裕がありませんでしたが、今当時をふり返ると多忙すぎる中にも充実感が溢れていたことを感じます。
さて、当塾も中学3年生2人、高校3年生2人が卒業します。全員進路を確保していますので、一安心です。学校教育と異なり塾は在籍している生徒の学力向上を主な目的としています。換言すれば、生徒の成績が向上しない塾には行かないことです。当塾では生徒の学力に応じた授業を行いますので、必然と個別対応になります。学校のように各コース別に数十人の生徒を集めて授業する場合、どうしても授業についていけない生徒や自分の学力を持て余す生徒が出てきます。これでは生徒個人の学力伸ばすことはできません。そのために当塾では個別指導を行っています。在籍している生徒は少ないですが、生徒一人ひとりの学力を把握できますので、より懇切丁寧な授業展開ができます。
ところで、当塾に在籍している高校3年生の一人に中学1年生から通っている生徒がいます。当塾の創立当時から在籍している「1期生」です。彼女は努力家で、志望大学にいくつか合格し、さらに現在国公立大学を受験しています。彼女からの朗報を心待ちにしています。
「卒業」という言葉は最近になり様々な状況で使われています。芸能人が「今日で卒業します。」と言えば、芸能界からの引退を表します。また携わっている仕事から辞めるときも、「卒業します。」という表現を使っています。英語では
"graduation" の単語が知られていますが、"commencement"という単語もあります。"graduation"
は文字通り「卒業」の意味ですが、"commencement"は「始まり」という意味の「卒業」です。これから社会に出ていく卒業生への花向けの言葉となります。
世の中には様々な「卒業」があります。学生時代の「卒業」は次の段階へ進むための学校からの卒業、社会人の「卒業は」「退職」や「転職」を意味します。人生の「卒業」は「この世を去ること」です。人生の卒業を迎える前に様々なことを体験し、たくさんのみやげ話を抱えて故郷(あの世)に帰りたいものです。この世に存在する目的は「出世などの俗世界の成功」ではなく、生きている間に様々な体験をして大切なことを学び、どれほど人を愛したかによります。私たち一人ひとりが人生という旅の途上にいます。人生を大いに楽しみましょう。